オレオサイエンス
Online ISSN : 2187-3461
Print ISSN : 1345-8949
ISSN-L : 1345-8949
5 巻, 12 号
選択された号の論文の3件中1~3を表示しています
学会賞受賞論文
  • 岩橋 愼夫
    2005 年 5 巻 12 号 p. 563-571
    発行日: 2005/12/01
    公開日: 2013/06/01
    ジャーナル フリー
    表面圧力, 表面積, 放射能計数, 密度, 粘度, 自己拡散係数, 近赤外吸収, SEM, ESR, NMR, X線回折, 中性子散乱など様々な測定を行い, 脂肪酸やアルコール, アシルグリセリン, ステロイドなどの脂質の水面上単分子膜やLB膜の「二次元における構造と物性」, さらに結晶, 融液および溶液の「三次元における構造と物性」を研究した。その結果, KMnO4水溶液表面上のオレイン酸やトリオレイル単分子膜の分子占専有面積の経時変化が, 従来言われていたジオールの生成ではなく, エポキシ化合物の生成と溶解に起因すること。3H標識脂肪酸Cd塩のLB膜を薄く均一で, 強力なβ線源として用いることでニュートリノの質量の上限値を決定した。また, 14C標識脂肪酸を使って, 脂肪酸LB膜が作製直後の不安定状態から安定結晶へ変化する際に, 「大気と基板との問に存在する脂肪酸の蒸気相を通して脂肪酸分子が移動することで結晶が成長する」新しい機構を発見した。アシルグリセリンのキラル体およびラセミ体の水素結合性と物性の関係を明らかにした。さらに, 融液中の脂肪酸分子の動的挙動と液体構造, および水素結合との関係を明らかにした。すなわち, カルボキシル基問の強い水素結合で会合した脂肪酸ダイマーは高温でも安定で, このダイマーが運動の単位粒子であること。また, ダイマーが指組み構造的に互い違いに集合し, スメクチック液晶類似のクラスター構造を形成し, そのクラスター構造が種々脂肪酸の自己拡散係数, 密度, 分子内運動性等の融液物性に影響を与えること。また, 二成分混合系においても脂肪酸は同種分子間でしかダイマーを形成しないことを明らかにした。
  • 坂本 一民
    2005 年 5 巻 12 号 p. 573-587
    発行日: 2005/12/01
    公開日: 2013/06/01
    ジャーナル フリー
    アミノ酸は生命活動の維持に不可欠な物質であると同時に多様な機能性素材の原料としても有用である。種々のアシルアミノ酸を合成し, それらの両親媒性物質としての特性を構造活性相関の観点から研究した。特にソフトな自己組織体としての性質と, そのハード構造への展開について検討した。ソフト系自己組織体としては高次不斉を持つミセル溶液, 親媒性コレステリック液晶を, またハード系としてそれらから転写して得られる不斉構造を有するメソポーラスシリカについて紹介した。
進歩賞受賞論文
  • 秋 庸裕
    2005 年 5 巻 12 号 p. 589-599
    発行日: 2005/12/01
    公開日: 2013/06/01
    ジャーナル フリー
    高度不飽和脂肪酸は, 生体膜脂質の構成成分として, 多くの生体反応の調節や細胞機能の恒常性維持に重要な役割を果たすとともに, 生理活性物質及びその前駆体として多彩な生理機能を発揮している。高度不飽和脂肪酸の食品, 医薬品, さらには工業素材としての利用を促進するため, 本研究では, それまで未解明であった哺乳類や真菌類における高度不飽和脂肪酸の生合成分子メカニズムを解明するとともに, 生理機能の一つとして抗アレルギー作用の分子細胞機序を明らかにし, また, 高生産性微生物を単離して, その脂質生産特性を解明し, 効率的工業生産のための基盤的知見を提示した。
feedback
Top