オレオサイエンス
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16 巻, 10 号
選択された号の論文の3件中1~3を表示しています
特集総説論文
  • 瀬戸 秀紀
    2016 年 16 巻 10 号 p. 463-471
    発行日: 2016年
    公開日: 2019/02/01
    ジャーナル フリー

    中性子散乱は中性子の回折現象を利用した構造解析手法で,同位元素置換法や磁気散乱,非弾性散乱等を用いることによりX線や電子線では得られない情報を得ることができる。特にコロイド系においては,同位元素置換を用いた中性子小角散乱や中性子準弾性散乱が有効である。水/油/界面活性剤による油中水滴構造のマイクロエマルションを例にしながら,中性子散乱の有効性を明らかにする。

  • 平井 光博
    2016 年 16 巻 10 号 p. 473-486
    発行日: 2016年
    公開日: 2019/02/01
    ジャーナル フリー

    現在,放射光X線の利用は,生命科学や物質の基礎研究のみならず,創薬設計,新素材開発,様々な産業応用にとって,欠かせない極めて重要な一般的な手法となっている。そのため,欧米はもとより,アジア,オセアニア,南米など世界各地で大型の放射光施設の建設が続いている。一方,中性子の利用に関しては,放射光X線と同様に物質研究にとって有用であるにも関わらず,専用の原子炉や大型加速器を必要とするため,研究施設が限定されている。その点に関して,国内には,大型放射光施設のSPring-8とKEK-PF,研究用原子炉JRR-3Mと世界最大強度のパルス中性子源J-PARC MLFが存在するため,物質研究にとって大変有利な環境にある。また,中性子は,放射光X線が苦手とする水素を多く含有する生体物質やソフトマターの構造とダイナミックスの観測に適しており,両者を併用することで,ユニークな構造情報を得ることが可能である。本小論では,中性子と放射光X 線を相補的に用いた,生体膜の構造と膜とタンパク質との相互作用に関する研究例を中心に解説する。

  • 岩瀬 裕希
    2016 年 16 巻 10 号 p. 487-492
    発行日: 2016年
    公開日: 2019/02/01
    ジャーナル フリー

    茨城県東海村にある大強度陽子加速器施設(J-PARC)の物質・生命科学実験施設(MLF)に設置されている中性子小角・広角散乱装置「大観(TAIKAN)」について紹介する。大観では白色中性子線(波長範囲:0.5~7.8 Å)を利用し,大面積の検出器で散乱中性子を検出することで,一度に広いQ領域(Q=5×10-3~18Å-1)を測定することができる。また,さらに一桁小さいQ領域をカバーできるように,集光素子および超小角検出器の整備を進めており,最終的には観測可能なQQmin)は5×10-4Å-1に到達する。装置の性能向上と並行して,レオメータなどの試料環境機器の整備も進めている。さらに本稿では,大観における研究例として,SANSとSAXSの相補利用による球状ミセルの解析,およびRheo-SANSによる紐状ミセルの解析について紹介する。

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