オレオサイエンス
Online ISSN : 2187-3461
Print ISSN : 1345-8949
ISSN-L : 1345-8949
19 巻, 12 号
選択された号の論文の3件中1~3を表示しています
工業技術賞受賞総説論文
  • 宮崎 絹子, 神山 和夫
    2019 年19 巻12 号 p. 489-496
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/06
    ジャーナル フリー

    3-MCPD脂肪酸エステル類(3-MCPDEs)とグリシドール脂肪酸エステル類(GEs)は,近年,食用油脂の精製工程で生成することが明らかとなった物質である。当時,これら物質を精度良く定量できる分析法はなかったため,各国で分析法の開発が進められてきた。弊社も原料油脂の安全性保証のため,分析法の開発を試みた。エステル型分析種の加水分解の手法としてリパーゼに着目して研究を進めた結果,迅速かつ簡便な酵素的間接分析法を確立することができた。食用油脂を対象とした分析法は,日本油化学会 基準油脂分析試験法に基準法2.4.14-2016及び奨7-2017として登録された。また,適用範囲を油脂含有食品に拡大した酵素的間接分析法を活用し,油脂を原料とした食品の加熱調理における3-MCPDEs,GEsの動態に関する研究にも取り組んだ。

特集総説論文
  • 吉永 和明
    2019 年19 巻12 号 p. 497-505
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/06
    ジャーナル フリー

    食用油脂の主成分であるトリアシルグリセロール(TAG)は,結合する脂肪酸の種類によって数多くの分子種が存在する。TAG分子種は油脂の栄養機能や物性に大きく影響を及ぼすことから,食用油脂中のTAG分子種組成を正確に把握することは,食品を研究・開発するうえで重要な課題である。そこで我々は,食用油脂中のTAG分子種組成をGC-FIDにて正確に測定するため,TAG標準品から求めた補正係数を用いる定量技術を確立した。また,これらの技術を応用し,乳脂肪の主要な香気成分であるラクトン類をGC-MSにて正確に測定する技術を確立した。

  • 上田 守厚
    2019 年19 巻12 号 p. 507-512
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/06
    ジャーナル フリー

    近赤外分光法は,電磁波である近赤外光を未粉砕の固体・粉体や液体試料に照射し,その吸収を測定・解析することにより,定性または定量分析を行う方法である。近赤外分光法は試薬等の化学物質を必要とせず,前処理なく非破壊・非侵襲で迅速・簡単に同時多項目分析ができる利点がある。したがって原料や製品の品質管理,工程管理に重要な分析ツールとなりうる。さらに近赤外分光法は,装置をライン上(例:ベルトコンベア上)に設置するか,ラインに設置したセンサから光ファイバーケーブルを使用して反射・透過光を得ることにより,インライン・オンライン分析にも利用されている。本稿では品質管理で利用されているフーリエ変換型近赤外分析計(FT-NIR)による油脂の迅速分析について,海外の公定法の内容を交えて紹介する。

feedback
Top