酸化コレステロールは, ヒト動脈硬化巣や, 血漿中の動脈硬化惹起性の低密度リポタンパク質 (LDL) サブフラクション中に多量に存在することから, 動脈硬化の発症・進展への関与が推測されている。ヒト動脈硬化巣や循環血中で最も多く検出される27-Hydroxycholesterolは, 胆汁酸への異化過程で酵素的に生成する酸化コレステロールで, 動脈壁のような末梢組織からの過剰なコレステロールの排泄に関与している。一方, フリーラジカルの関与で生成する酸化コレステロール (C-7, C-5, 6酸化生成物) は, 細胞内コレステロール代謝 (合成, 取込み, エステル化, 排泄) や血管への影響 (反応性, 傷害性) から, 動脈硬化惹起性であると思われる。しかし, 現在までのところ, 酸化コレステロールがヒト動脈硬化を促進するという直接の証拠は得られていない。
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