オレオサイエンス
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6 巻, 5 号
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総説
  • 高麗 寛紀
    2006 年6 巻5 号 p. 247-255
    発行日: 2006/05/01
    公開日: 2013/06/01
    ジャーナル フリー
    抗菌性第四アンモニウム塩は1935年にDomagkにより発明されて以来, 殺菌剤として医薬品, 病院環境衛生および抗菌加工製品分野において世界中で広く使用されてきた。第四アンモニウム塩の最適化分子設計のためのリード化合物としてヨウ化N-アルキルピリジニウムを選択した。抗菌活性と化学構造の定量的構造活性相関には分子疎水性, 1Hと13Cのケミカルシフト, 酸解離定数および微生物表面疎水性をパラメーターとして解析した。この結果, 分子内に2個の第四アンモニウム塩残基を有し, 対称型の特徴的構造を持った新規薬剤第四アンモニウム塩の開発に成功した。このジェミニ型の第四アンモニウム塩は分子内に1個の第四アンモニウム塩残基を持ったモノ型よりも細菌, 黴および酵母に対して強い微生物破壊活性を持つ。さらに, この第四アンモニウム塩の抗菌活性は共存タンパク質, 環境pHおよび温度の影響を受けなかった。これらの結果より, このジェミニ型第四アンモニウム塩は薬剤耐性菌を生じさせない優れた性質を持つことを明確にした。
  • 市川 和昭
    2006 年6 巻5 号 p. 257-264
    発行日: 2006/05/01
    公開日: 2013/06/01
    ジャーナル フリー
    n-3系多価不飽和脂肪酸は, すばらしい生理作用を有し, その代謝系がヒトの健康や疾病に関与する重要な要因であることが認められている。α-リノレン酸を豊富に含有するエゴマやエゴマ油は, 健康食品として注目され, 食用油や栄養補助食品として売られている。n-6系およびn-3系の各脂肪酸の摂取量を適切に確保することが2005年版日本人の食事摂取基準で求められている。これまで議論がなされてきたn-6/n-3脂肪酸の適切な摂取比率については, 現状はまだ研究者の問で統一した見解は得られていない。一方, エゴマ油は不飽和度が高いので酸化安定性が悪く充分に利用や応用がなされていない。本報告ではエゴマの有効利用を目的として, エゴマの栄養特性, 本邦エゴマの産地による脂肪酸組成比較, エゴマ油の酸化安定性の向上, ドレッシングやパンへのエゴマ油の利用について述べる。エゴマ油は, 食用油やドレッシング利用において低温保存, 遮光, 抗酸化剤としてのカテキン添加を組み合わせることにより著しく酸化安定性が向上した。酸化防止に対して一般的に用いられているトコフェロール・アスコルビン酸の添加はあまり有効でないように思われた。パン用油脂への改質を試み, エゴマ油利用の可能性を広げることが出来た。エゴマ種子はn-3系脂質源であると同時に, また有効な生理作用をもつポリフェノールも多く含有していて食物繊維も多く, 有用な食材として活用が望まれる。
研究備忘録
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