オレオサイエンス
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21 巻, 2 号
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特集総説論文
  • 二神 岳, 草森 浩輔, 西川 元也
    2021 年 21 巻 2 号 p. 55-61
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/02/04
    ジャーナル フリー

    エクソソームは,脂質二重膜で覆われたナノサイズの細胞外小胞(EVs)であり,その中には核酸やタンパク質,脂質など,エクソソームを産生する細胞固有の物質が含まれる。エクソソームを含むEVsの様々な生理的状態や疾患との関連性の深さから,幅広い疾患において診断あるいは治療用のツールとしてのEVsの応用が期待されている。しかしながら,EVsは産生される細胞の起源やそのサブタイプによって体内動態が異なることが報告されていることから,個々のEVsの体内動態特性を理解することは極めて重要である。そこで,EVsの体内動態の解明や治療効果向上に向けた体内動態制御,さらには低分子化合物やタンパク質,核酸などの様々な薬物のデリバリーキャリアとしての適用拡大を目的とした研究が盛んに行われている。本稿では,エクソソームを含む直径100nm程度のsmall EVsに焦点を当て,標識方法を含むEVsの体内動態と,その制御方法および制御技術に関するこれまでの研究報告を紹介する。

  • 吉岡 祐亮, 落谷 孝広
    2021 年 21 巻 2 号 p. 63-68
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/02/04
    ジャーナル フリー

    私たちの血液や尿などの体液中には様々な種類の物質が多く存在しており,それら物質を検出することで診断を行うリキッドバイオプシーは新たな検査法として注目されている。近年,細胞が分泌する細胞外小胞(エクソソーム)がリキッドバイオプシーの幅を広げるリソースとして注目されている。細胞はエクソソームにメッセージとして様々な分子を詰め込んでいるが,このような様々なメッセージをどのように読み解き,診断に使うのか,そして,どのようなポテンシャルを秘めているのか,本稿で概説する。

  • 西田 奈央
    2021 年 21 巻 2 号 p. 69-75
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/02/04
    ジャーナル フリー

    脂質二重膜で包まれた小胞であるエクソソームは,細胞同士の比較的新しい情報伝達ツールとして注目を集めるようになった。エクソソームに含まれる脂質成分は,エクソソームの中身と外界の境界線を形作るのに必要不可欠であるとともに,最近の研究ではエクソソームの形成過程や取り込み,細胞間シグナル伝達にも関わることが分かってきた。エクソソームに含まれる脂質成分は,基本的に細胞膜と似ているが一部組成が異なり,目的をもって選択的にエクソソームに搭載されていると考えられる。しかし,脂質分析やメカニズムの解明には技術的な課題も多く,理解も進んでいない。本総説では,エクソソームに含まれる脂質成分とその機能について,現在の知見と課題をまとめて紹介する。

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