オレオサイエンス
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5 巻, 1 号
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総合論文
  • 佐藤 清隆
    2005 年 5 巻 1 号 p. 3-11
    発行日: 2005/01/01
    公開日: 2013/06/01
    ジャーナル フリー
    油脂の結晶化には, 結晶多形という構造的な要因に加えて, 熱力学的・速度論的な要因が複雑に関与している。本稿では, バルク状態と分散系 (とくにエマルションとゲル) 状態における共通性と独自性を比較しながら, 油脂の結晶化プロセスを考察する。エマルションでは, 界面により誘起される不均一核形成, またゲルにおいては多形転移と関連する結晶モルフォロジーの問題が, バルク状態における結晶化とは異なる特徴を表している。
  • 松村 康生
    2005 年 5 巻 1 号 p. 13-19
    発行日: 2005/01/01
    公開日: 2013/06/01
    ジャーナル フリー
    油脂結晶がエマルションの品質に与える影響は, 化粧品, 医薬品, 食品工業など様々な分野で, 非常に重要な問題である。大部分の食品エマルションにはタンパク質が含まれおり, そのタンパク質は脂質粒子表面において厚い吸着層を形成する。油脂結晶の役割を論ずる際には, この吸着層との相互作用を考えねばならない。本稿では, 主に著者らのデータに基づいて, 油脂結晶がエマルションの物性や安定性に与える影響を, 特に油脂結晶とタンパク質および乳化剤との相互作用の観点から詳しく述べた。具体的には, 油脂とタンパク質の脂質粒子表面での相互作用について, NME, ESR, 動的粘弾性測定など, 様々な手法を用いて検討を行った。それらの結果より, 油脂結晶が, どのようなメカニズムで脂質粒子表面でのタンパク質の吸着挙動やコンフォメーションに影響を与え, クリームの分散安定性に影響を与えるのか, 考察を行った。また, そのような油脂結晶によるクリームの物性や安定性の変化に対して, 有機酸モノグリセリドやレシチンなどの乳化剤が与える影響についても触れた。今後, 脂質粒子表面での油脂結晶と他成分との相互作用についての理解が深まってゆくにつれて, 実際の食品エマルションの品質を適格に制御することが可能になるものと期待される。
  • 園田 智之
    2005 年 5 巻 1 号 p. 21-28
    発行日: 2005/01/01
    公開日: 2013/06/01
    ジャーナル フリー
    今日, ゲノム創薬, コンビナトリーケミストリーといった創薬技術の進歩をうけて, 加速度的に新薬化合物の合成及びスクリーニングが行われている。しかしながら, 探索される化合物の特性として難水溶性を示すものが増加する傾向にあり, このような化合物を製剤として実用化する場合は, さまざまな製剤化技術を駆使する必要がある。
    製剤化技術の一つであるリピッドスフェアーは, バイオアベイラビリティの改善を主目的に, コントロールドリリース, ターゲッティングといった機能を持った製剤としての応用について研究が行われている。これらの新規製剤の開発においては, 製剤としての安定性, 包括される化合物の量, ハンドリング性といった種々の問題があり, これらを改良することで, より良い新規製剤として実用化できると考えられる。
    本論文では, まず難水溶性化合物の可溶化・製剤化を目的に研究がすすめられているリピッドスフェアーについて, その特徴や最近の研究事例の説明を行い, さらに我々が具体的に製剤化を目的として行っている最近の研究事例を (1) 安定性, (2) 物性制御とコントロールドリリース, (3) 包含率に着目して紹介する。
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