オレオサイエンス
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5 巻, 10 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
総合論文
  • 野村 浩一
    2005 年5 巻10 号 p. 447-454
    発行日: 2005年
    公開日: 2013/06/01
    ジャーナル フリー
    ヒトの皮脂腺から分泌してくる皮脂は湿潤性, 摩擦性, 伸展性などの面で皮膚を保護していると考えられており, 皮脂分泌量が減少すると, ヒビ, アカギレ, カサツキなどの原因となる。しかしその一方, 皮脂分泌量が過度に増大すると, ベタツキなどを感じたりニキビ発生の要因や過酸化脂質による肌へのダメージも報告されている。またメークアップへの影響として化粧くずれという問題も考えられる。消費者は現在のメークアップ品の持続性に満足しておらず皮脂とメークアップ膜の関連を知ることは化粧品の設計にとって非常に有用である。本報告では前半でヒト皮脂の特性を紹介し, 後半でその皮脂に対するメークアップ化粧料としての対策法をトピックス的に述べる。
  • 高柳 正明
    2005 年5 巻10 号 p. 455-461
    発行日: 2005年
    公開日: 2013/06/01
    ジャーナル フリー
    環境に対する意識が高まるにつれて, さまざまな分野で環境保全型製品が開発されている。自然環境に漏洩する可能性のある潤滑油には, 生分解性を有する潤滑油が開発されている。通常, 潤滑油の基油には, 生分解しにくい鉱物油が使用されている。生分解性潤滑油の基油としては, 植物油や合成エステルなどが使われる。特に植物油は, 生分解性だけでなく, 再生産可能な資源であり, 生育時に炭酸ガスを固定化するなどの特長を有する。さらに, 植物油は優れた潤滑性や高い粘度指数などの特長も併せ持つ。生分解性潤滑油について, 規格や製品開発, 各国での取り組みなどの現状をまとめ, 今後の展望を述べる。
  • 宮坂 広夫
    2005 年5 巻10 号 p. 463-471
    発行日: 2005年
    公開日: 2013/06/01
    ジャーナル フリー
    家庭用柔軟仕上げ剤の主成分は2鎖型カチオン界面活性剤である。その性能は, カチオン界面活性剤や併用する化合物の相状態や配向性に関係することが, 種々の実験によって示唆される。ポリエーテル変性シリコーン (PMS) は, 柔軟仕上げ剤の粒子を微小化し, トライボロジー特性を低下させる。PMS併用粒子は, 単繊維内部へ均一に高吸着するため衣料の風合いや耐久性を改善, 外観を維持する。特に, 変性度が低く, 高分子量化したPMSは, 併用化合物として適している。PMSは粒子の中で, 海島状に微分散していると推定される。
  • 小林 英明, 高宮 満, 長谷川 峯夫
    2005 年5 巻10 号 p. 473-479
    発行日: 2005年
    公開日: 2013/06/01
    ジャーナル フリー
    各種の食品が, 空気中の酸素によって酸化されることにより風味劣化を起こすことは広く知られている。マヨネーズは水中油型乳化食品であり, 植物油, 卵黄など多価不飽和脂肪酸を含む脂質成分が配合されており, しかも卵黄由来の鉄イオンも豊富に含むため, 酸化による品質劣化が起こりやすい食品である。そこで, 海外で市販されている製品ではEDTAなどの酸化防止剤を配合し酸化劣化を防ぐことが一般的となっている。-・方, 日本でのマヨネーズ製造80年の歴史においては, 製造工程や容器包材において徹底的な酸素遮断を行うことでほぼ品位の安定した製品を作ってきた。
    しかし, 食品の風味は非常に微妙であり, ごくわずかずつではあるが, やはり若干の酸化劣化は進行している。いつでも, どんな場面でもマヨネーズをよりおいしくお客様に味わっていただきたいと考えた時, 溶存酸素 (DO) に着目した。食品中のDO制御技術は, ビール, コーヒー, 牛乳などの微妙な風味を大切にする飲料分野では導入されている例があるが, マヨネーズなどの高粘性の乳化食品については, 従来技術的に容易ではなく一般的ではなかった。
    そこで, まず高粘性の乳化食品のDO測定法を検討し, 非破壊蛍光式溶存酸素計を用いることでDO測定を可能とした。次に, 液体原料のDOを予めN2バブリング法にて下げ, 他工程でも酸素巻き込みをさせないことでマヨネーズ充填直後のDOを低い範囲に制御する製造工程を可能とした。こうすることで, マヨネーズなど高粘性の乳化食品においても, DO制御技術により長期保存中の酸化劣化を今まで以上に防げることを確認した。
    このDO制御技術は, 2002年12月よりキユーピーマヨネーズにおいて導入され, お客様にマヨネーズのおいしさをより楽しんでいただけるようになった。
  • 飯野 久
    2005 年5 巻10 号 p. 481-487
    発行日: 2005年
    公開日: 2013/06/01
    ジャーナル フリー
    印刷における環境対応は, 単なる危険有害物を排除すればよいという考え方から, 大気汚染, 環境汚染につながるおそれのある全てのものを対象とした地球環境保全型に考え方が変わってきている。このような背景の下, 環境対応インキとして, アロマフリーインキ, 大豆油インキ, non VOCインキ, ハイブリッドインキが開発されてきているo開発には環境対応と同時に従来と同等の印刷効果, 印刷適性を付与する必要があり, 構成素材の新たな開発や改良が必要となる。具体的にはアロマフリー溶剤の使用は溶解性保持のための樹脂の変性, 大豆油の使用は乾燥性維持のための組成変更とローラー収縮抑制のための極性素材の添加等が検討されている。現在最新の環境対応インキとしてnon VOCインキやハイブリッドインキが開発されているが, レベルアップのための更なる検討が期待される。
  • 坂本 裕之
    2005 年5 巻10 号 p. 489-496
    発行日: 2005年
    公開日: 2013/06/01
    ジャーナル フリー
    従来のカチオン型電着塗料では, 「ビスフェノールA型エポキシ樹脂」を樹脂骨格とし, 水和官能基に「酸で部分中和したアミノ基」を, 「ブロックドイソシアネート硬化剤」と組み合わせ適用している。これにより優れた性能を発揮しているが, 同時に本質的限界も有している。この限界を超えるべく, 我々は, これまで塗料成分の析出のみに費やされていた電気エネルギーを, 析出以外の二つの電気化学反応にも利用することを試みた。すなわち, プロパルギル基からアレニル基への異性化反応を利用した架橋反応の制御とスルフォニウム塩の電解還元反応を利用した析出膜電気抵抗の制御である。
    その結果, 環境特性, 付き廻り性をはじめとする各種性能が飛躍的に向上でき, 上述の限界を打破できる可能性を見いだした。また, これらの技術に加えて, 「触媒を付加した主樹脂」の適用により, 反応効率の向上と-層の環境の改善が達成できた。ここでは, 新規な環境適応性に優れた高絶縁機能を有する電解活性型電着材料 (商品名INSULEED®) 特有の析出, 及び硬化の挙動と, その塗膜、の特性について報告する。
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