オレオサイエンス
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13 巻, 1 号
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総説
  • 石原 一彦
    2013 年 13 巻 1 号 p. 3-9
    発行日: 2013年
    公開日: 2016/02/01
    ジャーナル フリー
    生体内埋め込み型医療デバイスの表面処理について解説する。一般の材料は生体組織と接触すると様々な好ましくない生体反応を誘起する。これが,埋め込み型医療デバイスを利用した治療に大きな問題となっている。特に高齢者に対しては,安全・安心な医療を提供するという観点からは,生体親和性の高いバイオマテリアルが求められる。表面の特性を改善するために,細胞膜表面の構造に着目し,リン脂質極性基を有するポリマー,2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPC)ポリマーを創製した。 このポリマーを利用して,運動器障害の修復に利用する人工股関節の寿命延長を試みた。すなわち,関節慴動面における摩耗を低減し,摩耗粉による生体反応を低減する試みである。人工股関節に利用されている架橋ポリエチレン(CLPE)にMPC をグラフトすることで,表面にポリマー層を構築すると,摩擦抵抗が激減し,これに対応して摩耗がほぼ抑制された。また,人工関節周辺の骨溶解も抑制され,人工股関節置換手術の寿命の延長が見込まれた。現在,日本において臨床使用できるようになり,高齢者医療に貢献している。
  • 池山 和幸
    2013 年 13 巻 1 号 p. 11-16
    発行日: 2013年
    公開日: 2016/02/01
    ジャーナル フリー
    香粧品は女性の様々な生活シーンで使用され,女性の日常生活の行動と密接につながっている。 高齢期の生活は健康状態,生活環境,ライフスタイルなど様々な要因によって変化し,それに伴い日常生活の行動が変化する。高齢者をはじめすべての人の日常の生活を把握するツールとして国際生活機能分類が知られている。本稿では,高齢期の生活という観点から化粧行動の変容と化粧による行動変容について紹介する。
  • 柴田 博
    2013 年 13 巻 1 号 p. 17-23
    発行日: 2013年
    公開日: 2016/02/01
    ジャーナル フリー
    国際的比較データをみると,1人あたりの脂肪摂取量が多いほどその国の平均寿命は有意に長いことが分かる。筆者たちの高齢者の地域比較研究では余命の長い地域は短い地域と比較して脂肪摂取量が多い。同一地域の縦断研究も脂肪摂取の多い群の余命が長いことを示している。欧米には脂肪の過剰摂取の害も示されている。しかし,欧米の半分程度しか脂肪を摂取していない日本人にその結果を外挿することは誤りである。
  • 大越 ひろ, 渡邉 愼二
    2013 年 13 巻 1 号 p. 25-31
    発行日: 2013年
    公開日: 2016/02/01
    ジャーナル フリー
    高齢化が進む社会において,「食」 に関する重要な問題として,咀嚼・嚥下機能の低下と,低栄養状態(PEM)が挙げられる。人は加齢に伴う唾液分泌能の低下,喉や口周辺の筋力低下,嚥下反射機能の低下,或いは脳血管疾患等によって,咀嚼・嚥下機能(噛む力,飲み込む力)が低下する。また,こうした咀嚼・嚥下機能や消化・吸収等の生理機能低下,介護に関する社会的要因,さらには精神的要因等によって低栄養状態(PEM)に陥る。近年,こうした状況に対応すべく,様々な介護食品が研究・開発されている。
    脂質は9kcal/gと他の栄養素に比べて最も高いエネルギーを有し,少量で高いエネルギー摂取が可能になる。また,油脂には,特異的な潤滑作用により食材を滑らかにする作用もある。さらに中鎖脂肪酸やEPA等の脂肪酸について,高齢者にとって新たな有益な生理機能を有することが解明されつつある。脂質のこうした特徴に着目した介護食品への利用研究が始まっており,今後の利用が期待される。
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