極めて単分散性が高く,広いサイズ範囲で粒径を制御してエマルションを作製できる,マイクロ流体デバイスについて概説する。まず比較的簡便に作製できるガラスキャピラリー製マイクロ流体デバイスとそれによる単分散エマルションや粒子作製例を紹介する。さらに3Dプリンティングの一種である光造形によるマイクロ流体デバイスの作製例と単分散ダブルエマルション作製例を紹介する。
高分子ゲルの新規な構造制御技術であるエマルションゲル化法を開発した。本手法は,モノマーを含むプレゲル水溶液に不活性な微小油滴(例えば数μm)を分散させたoil-in-water(O/W)エマルションの水相を重合反応でゲル化させるものである。これにより,微小油滴を内包する高分子ハイドロゲルであるエマルションゲルが作製され,さらに油滴を洗浄除去することで球状の独立した孔を有する多孔質ゲルが得られる。これらの新規な形態のゲルの油滴または孔を分離・反応・貯蔵の場に用いる機能性ゲルの開発が期待され,筆者が開発した分離材や触媒担体としての応用例を紹介する。また,本手法に関連して,waterin-oil(W/O)エマルションの油相をゲル化させるW/Oエマルションゲル化法,およびマイクロカプセルを孔の鋳型に用いるサスペンションゲル化法の開発と応用について紹介する。
両親媒性ブロック共重合体を水中に分散することで水溶液中には液晶ナノミセルが形成される。 我々は液晶ナノミセルのコア部分に第3の成分となる液晶分子を混合して膨潤させることで,液晶秩序を内包する液晶エマルションのサイズを自由に制御することに成功した。さらに,数100 nm程度の狭小空間に閉じ込められた液晶秩序の配向揺らぎを動的光散乱法により捉え,ナノ狭小空間内での液晶相転移の特異性を発見した。