オレオサイエンス
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18 巻, 3 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
特集総説論文
  • 西野 梓, 市原 敬司, 安井 裕之, 眞岡 孝至
    2018 年 18 巻 3 号 p. 91-97
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/09/02
    ジャーナル フリー

    近年,酸化と老化や疾病との関連が注目されている。カロテノイドは活性酸素種に対する強い抗酸化活性を有するフィトケミカルとして知られ,サプリメントや健康食品に多く利用されている。我々はLC/MSとESRスピントラップ法によりカロテノイドの抗酸化機構を詳細に解析し,パプリカ由来カロテノイド(パプリカカロテノイド)が一重項酸素に加え,ヒドロキシラジカルに対しても優れた抗酸化力を示すことを明らかにした。また,経口摂取したパプリカカロテノイドが効率よく血中へ吸収されることを臨床試験で確認した。

    本総説では,カロテノイドの抗酸化機構とパプリカカロテノイドの血中動態を中心に紹介する。

  • 白川 仁, 何 欣蓉, 駒井 三千夫
    2018 年 18 巻 3 号 p. 99-106
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/09/02
    ジャーナル フリー

    ゲラニルゲラニオール(GGOH)はメバロン酸経路やデオキシキシルロースリン酸経路から生成される天然のイソプレノイドである。動物細胞内で,GGOHはゲラニルゲラニル二リン酸へと変換され,タンパク質のプレニル化修飾やUBIAD1によるビタミンK2生成の基質として利用される。プレニル化タンパク質は,ヒトにおいて300種以上知られているが,プレニル基を介して膜に局在し,細胞増殖,分化,細胞骨格機能,小胞輸送に関与するシグナル伝達と関わっており,この制御破綻は,さまざまな疾病と関連している。一方,プレニル化に関与しない作用も報告されている。本レビューでは,GGOHのヒトや実験動物における作用と筆者らの結果も含めたGGOHに関する最近の知見をまとめた。

  • 池本 敦
    2018 年 18 巻 3 号 p. 107-112
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/09/02
    ジャーナル フリー

    アケビ種子油はかつて秋田で作られていた伝統的食用油であり,主成分が1,2-ジアシルグリセロ-3-アセテート(DAGA)であるという特徴を有する。通常の植物油の主成分であるトリアシルグリセロール(TG)と比較して,DAGAはリパーゼによる加水分解効率が低い。このため,消化・吸収されにくい性質を有し,体脂肪がつきにくく太りにくいという優れた特性がある。アケビ種子油の実用化には,原料の確保のためにアケビ栽培を拡大させる必要がある。また,種子のみでなく実や果皮を利用し,アケビを丸ごと活用することが必要であり,現在これらの課題に産学官連携で取り組んでいる。

  • 高桑 直也
    2018 年 18 巻 3 号 p. 113-120
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/09/02
    ジャーナル フリー

    農作物の新用途創出による付加価値向上を目指す一環として,収穫や加工時に副生する残渣(農業副産物)における有用脂質の含量について調べた。リンゴ搾汁残渣,ビートパルプおよびビートトップには,グルコシルセラミド,ステリルグルコシドおよびα- リノレン酸が高濃度含まれていた。また,ビートモラセス,チーズホエーおよび廃グリセリンを原料とした有用脂質の微生物生産についても検討し,食用・燃料用双方で活用可能なトリグリセリド生産性酵母等を見出した。

総説
  • 市橋 正光, 吉本 聖, 安藤 秀哉
    2018 年 18 巻 3 号 p. 121-129
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/09/02
    ジャーナル フリー

    健康で社会貢献しながら楽しく長生きしたいとだれもが望む。しかし,現状では,成長期が過ぎると,身体を構成する細胞・組織の機能が低下し始め老化を実感する。老化を少しでも遅くするためにはどのような努力をすべきか,近年多くの科学的知見が提示されている。見た目の老化は内臓を含め全身の老化を反映している。皮膚に視点を置き筆者らの私見を述べる。簡単に皮膚の構造と機能については,表皮のバリア機能,自然免疫,および紫外線による皮膚の損傷とその防御について簡単に紹介する。皮膚のアンチエイジングにおける食の重要性についてはまだ科学的に納得できる報告は少ないが,過去20 年くらいの主だった論文を紹介したい。また,一般にまだ十分に理解されていない紫外線A の皮膚老化への影響に関する新しい筆者らの知見も紹介する。

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