単層カーボンナノチューブ(SWCNT)はその魅力的な性質をデバイス応用することが期待されているナノ炭素材料である。しかしながら,SWCNTは溶解性に乏しく,このことが応用への妨げになっている。この課題を解決する道筋の一つとして,我々はSWCNT表面の物性を分子の吸脱着を利用して制御することを試みた。SWCNTのグラファイト表面と効率的に相互作用できるように,複数の芳香環を光反応する官能基で繋ぎ,光照射前後でのSWCNT表面への(分子構造による)親和性変化を利用した。この光応答性分散剤はSWCNTを非常に効率的に分散することができ,光照射で簡単に外すことができる。この光応答性分散剤をつかって得られた分散液に,超遠心操作と光照射を組み合わせると,市販のSWCNTを精製することができ,また,調製した分散液で製膜後にマスク露光すると微細加工薄膜を作製することもできた。
両親媒性分子が形成する二分子膜閉鎖体であるベシクルは,細胞膜の構造との類似性から人工の細胞膜モデルや,ドラッグデリバリーシステム(DDS)における薬物担体としての応用の試みが活発に行われている。また,ベシクルはその内部に水溶性物質を保持可能であり,また二分子膜内部には油溶性物質をも保持(可溶化)可能であることから,最近では香粧品・食品・化成品など幅広い分野への応用も試みられるようになってきている。本稿では,ベシクルの形成条件やその安定性を支配する因子について概説する。さらに,両親媒性分子混合系における分散安定性に優れるベシクル・ニオソームの調製,さらにはベシクルを構造指向剤として利用したナノサイズのシリカ中空粒子の調製法について紹介する。