オレオサイエンス
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23 巻, 2 号
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特集序言
特集総説論文
  • 林 雅弘, 松田 綾子, 東海 彰太, 受川 友衣乃, 宇髙 尊己
    2023 年 23 巻 2 号 p. 65-72
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/02/04
    ジャーナル フリー

    様々な微細藻類の社会実装が検討される中で,独立栄養か従属栄養かの選択,太陽光による光合成への日周サイクルの影響,培養密度と光合成効率のバランス,培養液中の炭素源濃度の影響,培養槽の形状や機能の問題,目的物の抽出残渣処理,株の育種や無菌化など,実用化に向けてクリアすべき問題は多い。

    微細藻類の中でもユーグレナは特徴的な培養特性を持ち,光合成による独立栄養培養,光合成に加えて有機炭素源を利用した光従属栄養培養,光を利用せず培地中の有機炭素源を利用する従属栄養培養のいずれの培養による増殖も可能である。いずれの培養様式もそれぞれ特徴を持ち,目的や規模に応じて使い分ける必要があるが筆者らのグループは従属栄養培養に焦点を絞り,ユーグレナの工業レベルでの大量生産を行っている。本稿では筆者らが行っているユーグレナの工業レベルの大量培養を1つの題材に,微細藻類の社会実装に向けた大量培養技術について考える。

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  • 中澤 昌美
    2023 年 23 巻 2 号 p. 73-78
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/02/04
    ジャーナル フリー

    単細胞真核藻類のユーグレナ(和名ミドリムシ)は,好気・嫌気の両環境にフレキシブルに適応できる代謝系を有している。細胞が嫌気状態にさらされると,貯蔵多糖パラミロン(直鎖状β-1,3 グルカン)を分解して,脂肪酸-脂肪アルコールエステルであるワックスエステルを生成する。この代謝過程ではATPを消費しないミトコンドリア局在脂肪酸合成系が利用されることから,長らく「ワックスエステル発酵」と呼ばれてきた。しかし,近年の研究から,ATPを消費しないだけではなく,ミトコンドリア嫌気的呼吸鎖と共役したATP合成が同時に行われていることが明らかとなってきた。本稿では,嫌気下でのワックスエステル合成発見から,現在明らかになっている代謝メカニズムまでを概説する。

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  • 玉木 峻, 腰塚 悠貴, 篠村 知子
    2023 年 23 巻 2 号 p. 79-86
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/02/04
    ジャーナル フリー

    カロテノイドは食品,化粧品,医薬品の分野で私たち人間の生活を豊かにする脂溶性色素分子である。カロテノイド自体は植物や藻類などの光合成生物において生合成され,光合成や光防御といった光環境に関わる多様な機能を持っている。特に,紅藻の二次共生によって成立したユーグレナ藻,珪藻,渦鞭毛藻など微細藻類群は,陸上植物や緑藻にはない多種多様なカロテノイド(ジアジノキサンチンなど)を生合成するが,その生合成経路や光環境に対する生理機能については未解明な部分が多い。本稿では,二次共生藻類の中でも,産業利用での研究開発が目覚ましいユーグレナについて取り上げ,ユーグレナにおけるカロテノイドの生合成経路やカロテノイドを介した光環境への適応機構に関して,最近の研究成果を紹介する。

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  • 芝上 基成
    2023 年 23 巻 2 号 p. 87-93
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/02/04
    ジャーナル フリー

    培養が比較的容易とされるミドリムシがその細胞内に大量に蓄積する多糖(パラミロン)を出発原料とする「藻類ものづくり」について紹介する。低ライフサイクルCO2が期待されるパラミロンから,熱安定性に優れたプラスチック,高アスペクト比のナノファイバー,天然成分率100%の接着剤など,「パラミロンならでは」の新材料を創り出すことが可能となる。

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