東京理科大学DDS研究センターでは, 結核菌をターゲットとして, 肺胞マクロファージの貪食能を利用したPLGA-マイクロスフェアによるDDS製剤の検討を行ってきた。本稿では, これらの製剤の薬効の効率化のために, 糖鎖による修飾あるいは, 糖鎖を介した細胞間, もしくは細胞と細胞間マトリックスの相互作用を利用したDDS製剤の可能性について述べる。糖鎖は, 主に細胞の表面上に存在し, 細胞間, もしくは細胞と細胞間のマトリックスの相互作用を介して, 細胞の機能を調節している。マクロファージが, 異物を取り込む際には, 主に糖鎖に反応する特異的受容体を介して取り込む。その受容体は, 細胞膜上のラフト (マイクロドメイン) と呼ばれる分画に集積しており, ラフトは細胞外の異物と接触する際のインターフェースになっていると考えられている。本稿では, 特に, マクロファージの貧食受容体とそれが構成するマイクロドメインの機能を利用したDDSについて現状を述べる。
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