オレオサイエンス
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6 巻, 7 号
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特集総合論文
  • 石井 一夫
    2006 年6 巻7 号 p. 355-362
    発行日: 2006/07/01
    公開日: 2013/06/01
    ジャーナル フリー
    東京理科大学DDS研究センターでは, 結核菌をターゲットとして, 肺胞マクロファージの貪食能を利用したPLGA-マイクロスフェアによるDDS製剤の検討を行ってきた。本稿では, これらの製剤の薬効の効率化のために, 糖鎖による修飾あるいは, 糖鎖を介した細胞間, もしくは細胞と細胞間マトリックスの相互作用を利用したDDS製剤の可能性について述べる。糖鎖は, 主に細胞の表面上に存在し, 細胞間, もしくは細胞と細胞間のマトリックスの相互作用を介して, 細胞の機能を調節している。マクロファージが, 異物を取り込む際には, 主に糖鎖に反応する特異的受容体を介して取り込む。その受容体は, 細胞膜上のラフト (マイクロドメイン) と呼ばれる分画に集積しており, ラフトは細胞外の異物と接触する際のインターフェースになっていると考えられている。本稿では, 特に, マクロファージの貧食受容体とそれが構成するマイクロドメインの機能を利用したDDSについて現状を述べる。
  • 二井 智子
    2006 年6 巻7 号 p. 363-370
    発行日: 2006/07/01
    公開日: 2013/06/01
    ジャーナル フリー
    微粒子キャリアーはDDSの有望なツールとして盛んに研究が行われてきた。本報では, 天然および合成リン脂質を用いて調製したリボソームとエマルションの粒子サイズに影響を及ぼす要因を検討した。合成リン脂質を用いた実験の結果より, リン脂質が二重膜を形成して水中に分散するリボソームではリン脂質の物理的形状が, リン脂質が油水界面に配向するエマルションではリン脂質の親水基と疎水基のバランス (HLB) が, それぞれ粒子サイズに影響を及ぼすと考えられた。天然リン脂質を用いたエマルションの粒子サイズは, 飽和度の高いリン脂質を用いた場合, 合成リン脂質のデータから求めた回帰関数による予測粒径と実測値が比較的近い値を示した。また, リン脂質の構造に類似し, リボソームの素材であり, 遺伝子送達のキャリアーとして用いられるカチオニック脂質および抗悪性腫瘍効果が期待されるアルソノ脂質を例に取り, これらの脂質の構造と調製したリボソームの性質に関する報告の一部を紹介する。リン脂質により調製されたリポソームに関する情報の蓄積が, 類似の脂質を用いたリボソームの形成に関わる種々の要因についても考察の糸口を与える可能性があると考えられる。
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