Evansの診断基準に照らし, 伝染性単核症 (infectious mononucleosis, IM) 36例の臨床像をレトロスペクチブに検討した。IMの診断は最終的にはEBウイルス特異抗体の検索が決定打となる。自験例で抗体の検索を行った33例中, IM研究班の定める血清学的診断基準を満たしたものは21例であった。
主要症状は発熱97%, リンパ節腫大86%, 扁桃・咽頭炎75%, 肝・脾腫大63%, 発疹38%の順に認められた。また, これらの主徴に加え, 末梢血リンパ球の増加49%(異型リンパ球の出現・平均10.5%) や, 高率に肝機能障害が認められた。
IMはキス病と言われるように唾液を介して感染することが伺えるので, 今後文化風俗が開けていくにつれ将来に向けて増加が予想される。また, 続発性や原発性免疫不全にもEBウィルスの感染が増えることが予想される。EBウイルス感染症としてのIMの把握の意義が将来更に深まるであろうことが考えられる。
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