耳鼻咽喉科展望
Online ISSN : 1883-6429
Print ISSN : 0386-9687
ISSN-L : 0386-9687
46 巻, Supplement1 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 西澤 芳男, 西澤 恭子, 吉岡 二三, 山田 まゆみ, 安田 理絵, 平田 弥生, 川田 陽子, 永野 富美代, 雨森 保憲, 野坂 修一 ...
    2003 年 46 巻 Supplement1 号 p. 3-14
    発行日: 2003/08/15
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
    神秘湯 (Shen-bi-tang : SBT) 吸入療法のアスピリン喘息に対する効果に関してsodium cromoglicate (DSCG) の多施設無作為比較対照試験を施行した。インフォームドコンセント後同意を得た114例の閾値濃度決定済みのアスピリン喘息患者をコンピューターで2群に振り分けA群 (n=61例) DSCG用カプセルに神秘湯500μgを充鎮, (B群 : n=53例 : 同一カプセルに充鎮) を1日4回, 6時間毎にDSCG用スピンヘラで吸入させた。検討期間は1年間とした。 (1) 神秘湯はヒト気道粘膜胞活細胞の5-リポキシゲナーゼ活性を抑制しロイコトリエン産生を抑制した。 (2) 両群背景因子に有意差はなく, A群ではB群に比較して, (3) 有意に気管支肺胞洗浄中ロイコトリエンを減少させ, (4) 閾値濃度リジン-アスピリン吸入時の1秒量低下を改善した。 (5) 気管支肺胞洗浄中ロイコトリエンの有意の低下をもたらし, (6) 内科的苦痛即ち慢性疹痛と健康関連QOL (H-QOL) を有意に改善した。 (7) アスピリン喘息発作はA群でより有意に抑制された。神秘湯は5-リポキシゲナーゼ活性抑制によりロイコトリエン産生を抑制しアスピリン喘息発作を抑制し, 内科的慢性疼疹痛, H-QOL改善をもたらすと考えられた。
  • 横田 稔, 吉山 友二, 矢崎 知子, 千代田 健志, 田中 孝則, 浦江 昭憲, 新島 眞文, 内田 勝正, 菅家 甫子
    2003 年 46 巻 Supplement1 号 p. 15-19
    発行日: 2003/08/15
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
    吸入ステロイド薬使用後の二, 三の含嗽液による口腔内残存薬物の除去効果を検討した。口腔内に付着した薬物除去効果は, これまで当然として用いられてきた水よりも縣濁化剤であるCMC-Naによる噺のほうが有意に多く除去されたことから, 吸入ステロイド薬使用後の口腔内含嗽におけるCMC-Naの有用性が初めて認められた。今後は, 水より除去効果が高く社会一般的に入手しやすい素材を検討開発することが臨床においても大変有用であることを指摘したい。また, 口腔内を人工唾液で覆ったほうがより除去量が多いことが認められた。今後, 患者への服薬指導に際しては, 含嗽前の口腔内の保湿にも留意することを盛り込むことが有用と考えられる。今回の結果は, 吸入ステロイド薬使用後の口腔内付着剤を除去するための含嗽方法をより科学的にし, 適正な含嗽方法を確立するために有用であるとともに.服薬指導の基礎資料として有用であろうことを強調したい。
  • 山本 陽児, 土肥 雅彦, 上嶋 康秀
    2003 年 46 巻 Supplement1 号 p. 20-23
    発行日: 2003/08/15
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
    ペプチド製剤は通常, 注射等の侵襲性の投与ルートで処方されるが, 非侵襲性の代替投与ルートの一つとして経鼻投与が期待できる。今回, 高分子量の分泌性白血球蛋白分解酵素阻害物質の組換え断片ペプチド (分子量約5,500) について, その経鼻吸収を検討した。本ペプチドを液剤と粉末製剤とに調製し, ウサギに経鼻投与した結果, 粉剤は液剤に比べ, 最大で20倍の最高血中濃度 : Cmax並びに100倍の血中濃度曲線下面積 : AUCを示した。また興味深いことに, 60分以上という長時間にわたりほぼ一定の血中濃度を維持するという, 薬剤の血中消失半減期から考えると, 今までにない血中プロファイルを示した。
  • 山本 陽児, 土肥 雅彦, 上嶋 康秀
    2003 年 46 巻 Supplement1 号 p. 24-27
    発行日: 2003/08/15
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
    経鼻剤を粉剤化することにより, 液剤に比べて著明に薬物吸収を向上した例は多々報告されている。今回, モデル薬物を用い, 微結晶セルロース, カルボキシメチルセルロース並びにそのNa塩とCa塩を基剤とする粉末製剤を調製し, これらの高分子基剤の経鼻吸収に対する影響について考察した。その結果, ウサギにおいて経鼻吸収率の向上のみならず, 用いた基剤の違いにより血中パターンに明確な違いが見られた。粉剤中の高分子基剤の物性を利用することにより, 経鼻吸収のコントロールが可能であることが示された。
  • 荒木 倫利, 寺田 哲也, 竹中 洋, 伊藤 尚, 高巻 京子, 東野 正明, 坂倉 淳, 三好 昌子, 池田 進, 八木 美和, 林 与志 ...
    2003 年 46 巻 Supplement1 号 p. 28-33
    発行日: 2003/08/15
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
    急性副鼻腔炎, 慢性副鼻腔炎それぞれについて, 副鼻腔自然口開大処置の効果を検討するため, 無作為に開大処置の有無で振り分け, 自覚症状と画像上の改善について比較した。急性副鼻腔炎, 慢性副鼻腔炎いずれにおいても, 自覚症状の改善は副鼻腔自然口開大処置を行ったもので有意に改善していた。一方, 画像上の改善には有意差を認めなかった。これらの結果は臨床的経験とも矛盾せず, 保存療法としての副鼻腔自然口開大処置の効果を示していると考えた。
  • 古城門 恭介
    2003 年 46 巻 Supplement1 号 p. 34-40
    発行日: 2003/08/15
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
    YAMIKカテーテルによる治療 (YAMIK療法) の副鼻腔炎に対する有用性について検討するため, 臨床症状・X線所見の変化について検討した。さらにYAMIKカテーテルにより採取された副鼻腔貯留液中の炎症性サイトカイン濃度 (IL-1β, IL-8, TNF-α) と副鼻腔炎の病態との関係を検討し, 炎症性サイトカイン濃度変化の観点からYAMIK療法の有用性についても検討した。YAMIK療法施行後に, 全症状スコアの合計は957%の症例で減少を認め, 鼻漏, 鼻汁, 後鼻漏, 頭痛はそれぞれ455%, 78.9%, 5a5%, 7a5%の症例で症状の消失を認めた。また, 全X線スコアの合計は85.3%の症例で減少を認め, 節骨洞, 上顎洞においてX線スコアが改善または消失した割合はそれぞれ51.7%, 875%であった。一方, 副鼻腔貯留液中の炎症性サイトカイン濃度は正常例よりも有意に高く, X線所見と弱い正の相関を認めた。さらに, 注入液に生理食塩水を用いた群 (生食群) とベタメタゾンを用いた群 (ベタメタゾン群) との比較をしたところ, 臨床症状とX線所見の変化においては差を認めなかった。炎症性サイトカイン濃度 (IL-1β, IL8, TNF-α) の検討において, IL-1βとIL8濃度は生食群とベタメタゾン群はともにYAMIK療法1週間後に有意な減少を認めた、TNF-α濃度はYAMIK療法後に生食群では有意な減少を認めなかったが, ベタメタゾン群は有意な減少を認めた。このようにYAMIK療法は副鼻腔炎に対して有効な臨床効果を得ることができ, 特に副鼻腔貯留液を排除するだけでも副鼻腔炎に対して治癒を促していることが示唆された。さらに, 副鼻腔にステロイド剤を注入することにより副鼻腔貯留液の排除だけとは異なった治癒機転を呈している可能性についても示唆された。
  • 吉山 友二, 関 和恵, 三野 杏子, 矢崎 知子, 菅家 甫子, 荒井 真人, 朝井 慶, 寺田 隆雄
    2003 年 46 巻 Supplement1 号 p. 41-44
    発行日: 2003/08/15
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
    今回, ネブライザー専用薬剤の塩酸セフメノキシム他をモデル薬剤として用い, 新型メッシュ式超音波式ネブライザーNE-U22 (オムロン) 使用時における各薬剤の噴霧特性および使用性について比較検討した。塩酸セフメノキシムはNE-U22により, ほぼ100%の薬剤噴霧率を示し, フィルターや薬液槽, 振動子等にわずかに付着残存するのみであった。硫酸サルブタモール吸入液は, NE-U22での噴霧による変化は認めることなく超音波処理に対して安定であり, 薬剤噴霧効率も96.3%と良好であった。ステロイド懸濁液のブデソナイド噴霧が可能となるとともにブデソナイドの薬剤安定性も保持し得ることが明らかとなった。また, NE-U22の使用性についてアンケート調査より, NE-U22は携帯性や周囲への配慮などにおいて改善がみられ, 利便性が向上した新型超音波ネブライザーとして臨床で有用であることが示唆された。また, 小型, 携帯化により, 外来患者のみならずICUなどの病床にある患者にも適応が拡大できる可能性と相侯って, 適正なネブライザー療法が患者に福音をもたらすことを強調したい。
  • 高野 頌, 薮内 悟史, 吉田 真也, 伊藤 正行, 兵 昇, 西城 隆一郎, 間島 雄一
    2003 年 46 巻 Supplement1 号 p. 45-50
    発行日: 2003/08/15
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
    薬剤の局所沈着特性が吸入器の種類や薬剤の噴射角度によりどの程度の差異を生ずるのかという点を明らかにするために, 鼻内内視鏡手術後に上顎洞自然口が10mm程度に拡大した場合を想定した鼻・副鼻腔数値解析モデルを用いて, 鼻・副鼻腔における薬剤粒子の沈着挙動解析を行った。計算条件として, 吸入器の器差は超音波ネブライザーとジェットネブライザーを, またエアロゾル薬剤の噴射角度は鼻前庭における水平方向から30, 45, 60度において比較検討した。これらの薬剤粒子軌道の数値解析結果から, 超音波ネブライザーで噴射角度が45~60度の場合に鼻腔全体に薬剤粒子は比較的均質に沈着し, しかも副鼻腔への薬剤粒子の到達度はジェットネブライザーの場合より高い値を示すことが明らかとなった。これらの数値解析結果はシリコン製の鼻・副鼻腔鋳型モデルによる実験結果を支持するものである。
feedback
Top