耳鼻咽喉科展望
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55 巻, 6 号
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カラーアトラス
研究
  • 近澤 仁志, 谷口 洋, 山崎 ももこ, 八代 利伸, 石井 正則
    2012 年 55 巻 6 号 p. 410-416
    発行日: 2012/12/15
    公開日: 2013/12/15
    ジャーナル フリー
    過去にわれわれは前庭神経炎急性期患者における脳血流変化について, easy Z-score imaging system (eZIS) を用いた脳血流SPECTで検討して報告した。今回, われわれは罹患後6ヵ月に脳血流SPECTを再施行し得た3症例において, 急性期と回復期の脳血流の経時的変化と眼振所見, 半規管麻痺および自覚症状との関連を検討した。前庭神経炎の罹患側の対側で認めたparieto-insular vestibular cortex (PIVC) の血流増加は自発眼振, 頭位眼振の軽減や消失に伴い正常化への傾向を認めた。一方, 両側性のVisual cortexにおける血流低下は明らかな経時的変化を示さなかったが, 急性期に認めた左側に優位なBrodmann area 40 (BA40) の血流低下は, 罹患後6ヵ月に眼振が消失した症例においてのみ改善傾向を認めた。PIVCの血流増加の正常化や眼振の消失と, BA40の血流低下の正常化傾向には何らかの関連性があるのではないかと考えられた。
臨床
  • ―現在における問題点を中心として―
    力武 正浩, 小島 博己, 森山 寛, 加我 君孝
    2012 年 55 巻 6 号 p. 417-424
    発行日: 2012/12/15
    公開日: 2013/12/15
    ジャーナル フリー
    難聴を合併する重複障害の幼小児は非常に多く, 障害児における難聴の原因または原因疾患は様々である。我々は心身障害児総合療育医療センターを受診した1980年から2011年の過去30年における326症例において, ①疾患・原因の分類, ②年代ごとの比較, を行い, 難聴を伴う障害児の障害の種類・合併症の変遷と, その中で多く認められた染色体異常児における難聴の有無を調査し, 現在における重複障害児あるいは障害者における聴覚障害の現況と問題点を検討した。難聴を合併する疾患としては脳性麻痺, 先天奇形, 精神発達遅滞, 染色体異常, 髄膜炎・脳炎, 近年では低体重出生, 先天性サイトメガロウイルス感染症, auditory neuropathyなど様々である。染色体異常に関しては64症例中33例 (51.6%) で難聴が認められ, 21トリソミーでは56例中27例 (48.2%) で難聴が認められた。染色体異常児において難聴を合併する頻度は非常に高かった。障害児においてコミュニケーション方法の一つとして聴覚は非常に重要であり難聴の早期発見・早期療養が必要である。診断・検査・治療それぞれが大きく進歩し, それに伴い難聴を伴う障害児もより多様化しつつあり, 患児それぞれに適応した補聴・療育方法を検討していく必要がある。
  • 吉田 隆一, 谷口 雄一郎, 田中 康広, 志和 成紀, 小島 博己, 森山 寛
    2012 年 55 巻 6 号 p. 425-433
    発行日: 2012/12/15
    公開日: 2013/12/15
    ジャーナル フリー
    今回われわれは1984年より2011年までの間に東京慈恵会医科大学附属病院耳鼻咽喉科において外傷性直達性耳小骨損傷の診断で手術を施行した30例30耳についてその病態, 手術成績について検討した。術中所見ではキヌタ・アブミ関節の離断を18例で認め, アブミ骨病変は21例で認めた。また外リンパ瘻を認めた例は14例であった。手術ではアブミ骨骨折の有無や, アブミ骨底板の状態に応じて耳小骨再建, アブミ骨の位置の整復, 外リンパ瘻閉鎖などの処置を行った。手術成績は良好であり聴力の改善率は96.7%であった。外リンパ瘻やアブミ骨病変を有する症例では, 病態に応じた手術時期・方法と慎重な手術操作を考慮する必要があると考えられた。
  • 吉田 拓人, 浅香 大也, 中山 次久, 大櫛 哲史, 松脇 由典, 吉川 衛, 飯田 誠, 森山 寛, 鴻 信義
    2012 年 55 巻 6 号 p. 434-439
    発行日: 2012/12/15
    公開日: 2013/12/15
    ジャーナル フリー
    片側性副鼻腔炎には歯性上顎洞炎や上顎洞性後鼻孔ポリープなど多彩な病態が含まれており, それぞれの病態を反映した自覚症状が出現していると予測される。しかしこれまで片側性副鼻腔炎における自覚症状の検討を行った報告は少ない。そこで今回我々は, 手術に至った片側性副鼻腔炎の患者を対象に, 内視鏡下鼻内手術による自覚症状の改善について検討した。さらに, 片側性副鼻腔炎の原因疾患別に各種自覚症状を比較検討して報告した。対象は, 2007年4月から2008年3月までの間に東京慈恵会医科大学附属病院及び関連病院計5施設で内視鏡下鼻内手術を行った片側性副鼻腔炎患者166例とした。手術治療による改善を術前後の自覚症状スコアおよびQOLスコアを用いて検討した結果, すべての項目で有意に改善を認め手術治療の有効性を確認できた。次に, 対象となる片側性副鼻腔炎症例を病態別に慢性副鼻腔炎群, 歯性上顎洞炎群, 副鼻腔真菌症群, 上顎洞性後鼻孔ポリープ群の4群に分類し, 病態別に術前の自覚症状について検討した。術前自覚症状の「鼻閉」において慢性副鼻腔炎群と上顎洞性後鼻孔ポリープ群では, 副鼻腔真菌症群よりも有意に高値を示した。また, 「後鼻漏」において歯性上顎洞炎群では慢性副鼻腔炎群よりも有意に高値を示した。片側性副鼻腔炎は, 原因となる疾患によって様々な自覚症状を引き起こすことがあるので, 診断治療に際しては留意が必要であると考えられた。
  • 川口 顕一朗, 嶋根 俊和, 小倉 千佳, 下鑪 裕子, 中村 泰介, 徳留 卓俊, 藤居 直和, 五味渕 寛, 小林 斉, 三邉 武幸
    2012 年 55 巻 6 号 p. 440-444
    発行日: 2012/12/15
    公開日: 2013/12/15
    ジャーナル フリー
    甲状腺乳頭癌を初発とし, その後に腹部症状を契機に家族性大腸ポリポーシスと診断した症例を経験したので報告する。症例は23歳, 女性。前頸部腫瘤を主訴に当院を紹介受診し, 頸部造影CT検査, 超音波検査で甲状腺右葉に最大径15mmの腫瘍を認め, 穿刺吸引細胞診で乳頭癌と診断した。甲状腺右葉切除術とD1郭清術を施行し, 病理組織検査では高分化型乳頭癌であった。その術後経過観察中に腹部膨満を認め, 精査の結果, S状結腸癌, 右卵巣転移, 傍大動脈, 左鎖骨上リンパ節転移を認め, また大腸には多数のポリープが存在し家族性大腸ポリポーシスと診断した。
論壇
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薬剤の特徴と注意点
学会関係【第11回 頭頸部表在癌研究会】
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