気管支喘息の発作に関与する形態的特徴は気管支平滑筋の肥大・〓縮と粘液産生亢進像である.このような形態的変化と発作発現機序とに関与する肺組織結合抗体とさらにアレルギー反応の場を証明する目的で, 螢光抗体法を使用して検索した.材料は窒息で死亡した気管支喘息の4剖検例である.気管支喘息の肺組織における特異螢光は, 室内塵抗原, 細菌類抗原(Candida, Aspergillus, Broncasma Berna)および抗免疫グロブリン抗血清をもちいて比較観察した.室内塵, 細菌類抗原に対する特異螢光は3例全例に, 免疫グロブリンに対する螢光は被検2例に認められた.螢光発生部位は気管支上皮, 平滑筋, 気管支腔内の粘液, 脱落上皮, 細胞などであり, 基底膜, 粘膜固有層, 結合織, 軟骨, 肺動脈, 肺胞などには螢光を認めなかつた.感作モルモットでもほぼ同様の成績を得た.生前の皮内反応と肺組織結合体との関連は不明ある.以上のことから肺組織結合抗体は気管支上皮, 平滑筋, 平滑支腺, 気管支腺などに存在し, またそれらの部位がアレルギー反応の場としてもその形態的変化と共に重要な役割を演じている考えた.
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