125例の鼻アレルギー患者の血清 IgE 濃度を一元平板免疫拡散法で測定し, 日常行なつているアレルギー諸検査との関連性を調べ, アレルギー臨床における血清 IgE 測定の意義を検討した.1)アレルゲンが判明し, アトピーが証明され, 高い IgE 値を持つものは, 背景にある免疫学的異常が濃厚である.2)アレルゲンが不明で, アトピーが証明されず, 高い IgE 値を持つ場合には, 病歴の再聴取, 皮内反応の再検査, 寄生虫感染の有無の確認が必要である.3)皮内反応で1種類のアレルゲンにのみ陽性で, 高い IgE 値を持つ場合には, そのアレルゲンに対する特異的なレアギンが, 血中に存在する可能性がつよい.4)誘発テスト陽性で高い IgE 値を持つ場合には, 誘発テスト陽性のアレルゲンが, 真のアレルゲンである可能性がつよい.血清 IgE の測定によつて, 以上のごとき診断的利点が考えられるが, 実際の臨床のうえでは直接的な利益はもたらさないように思われる.
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