【症例1】35歳男性.30歳時,モモ1個を摂取後に口腔内〓痒と蕁麻疹が出現した.嘔吐,呼吸困難,血圧低下,意識低下も伴った.血液検査所見では血清総IgE値は436IU/ml,モモの特異的IgE測定(CAP)は陰性であった.プリックテスト(SPT)では,モモは生と缶詰共に陽性で,ハンノキ花粉は陰性であった.【症例2】33歳女性.27歳時,白桃のケーキを摂取後に手掌の〓痒から始まり,眼瞼浮腫,咽喉頭刺激感,蕁麻疹,鼻汁,嘔気,腹痛,下痢が出現した.血液検査所見では血清総IgE値が85IU/ml,モモのCAPは陰性であった.SPTで桃缶詰は陽性であったが,ハンノキ花粉は陰性であった.原因抗原検索では,2例共にrPru p 1,3,4のCAPは陰性であったが,IgEイムノブロットで約10kDaにバンドを検出した.モモによるアレルギーでは,CAPが陰性となっても重篤なアナフィラキシーを呈することがあり,またリンゴ抗原,アプリコット抗原,及びプラム抗原といったバラ科果物抗原と交叉抗原性を有しているとの報告があるので注意が必要である.
抄録全体を表示