アレルギー
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ガイドラインのワンポイント解説
綜説
原著
  • 江畑 俊哉, 大矢 幸弘, 大嶋 勇成, 安東 嗣修, 冨永 光俊, 片岡 葉子, 福井 宣規, 海老原 伸行, 長谷川 俊史, 小林 茂俊 ...
    2024 年 73 巻 2 号 p. 171-179
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/03/22
    ジャーナル 認証あり

    【背景・目的】アトピー性皮膚炎患者が最も困っている症状である痒みに着目した治療には適切な痒み評価が必要である.痒み治療や研究に精通した医師および研究者で構成されるアトピー性皮膚炎痒みコンセンサス会議において,痒み評価の課題および最適な痒み評価法を協議した.

    【方法】2歳未満,2~6歳,7~14歳,15歳以上の年齢区分について,最適な痒み評価法のコンセンサス案を作成した.会議参加者の80%以上の同意をもってコンセンサスが得られたと定義した.

    【結果】参加者20名(皮膚科医8名,小児科医7名,研究者5名)の投票の結果,同意率95%で現状の最適な痒み評価法のコンセンサスが得られた.また,乳幼児は主観評価が困難であるため,養育者が代わりに行う痒み評価のチェックリストを作成した.

    【結語】患者本人による評価尺度を用いた痒みの主観評価あるいは乳幼児では養育者によるチェックリストを用いた評価と,医師による皮膚病変などの客観評価を組み合わせた評価が推奨される.今後,より客観的な痒み評価指標の確立が期待される.

  • 川野 聖明, 高瀬 章弘, 安成 大輔, 本村 知華子, 池田 政憲, 松井 照明, 緒方 美佳, 鈴木 修一, 手塚 純一郎, 長尾 みづ ...
    2024 年 73 巻 2 号 p. 180-188
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/03/22
    ジャーナル 認証あり

    【目的】海外では食物アレルギー児の養育者に対するQOL質問票があるが,日本では翻訳版のみで文化や食生活を反映した尺度はない.食物アレルギー児養育者QOLを評価するための質問票開発を目的とした.

    【方法】食物アレルギー児(0歳-15歳)の養育者からQOL質問項目を飽和するまで収集し,一次質問票を作成した.再び養育者から回答を得て,因子分析により質問を選定し二次質問票を作成した.二次質問票と食物アレルギー児QOL質問票(FAQLQ-PF日本語版),小児用および成人用包括的健康関連QOL尺度(KINDL,SF-8)に回答を得て質問票の妥当性を検証した.

    【結果】407名の回答を得た.二次質問票はFAQLQ-PFと正相関,KINDLおよびSF-8精神的健康と弱い負相関を認めた.原因食品数3以上,日常食品への重症反応,アナフィラキシー既往,アドレナリン自己注射を所持している児の養育者は得点が高く,QOLが低下していた.

    【結語】質問票は食物アレルギー児の養育者自身のQOL質問票として妥当性が示された.

症例報告
  • 深浦 彰子, 沼田 貴史, 千代反田 雅子, 前田 龍郎, 江草 智津, 伊藤 友章, 原田 和俊, 大久保 ゆかり
    2024 年 73 巻 2 号 p. 189-195
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/03/22
    ジャーナル 認証あり

    2歳男児.生後6カ月頃より顔面を除く全身に2cm大までの茶褐色斑と結節が左右非対称に多発した.瘙痒(+),Darier徴候(+).病理では,H-E染色で細胞質が淡い両染性で大型の核を有する類円形細胞がみられ,c-kit染色が陽性であった.血液生化学検査と画像検査で異常所見はなかった.遺伝子解析でKIT遺伝子のexon8領域でAsp419delの変異が検出された.以上より,斑状丘疹状肥満細胞症(MPCM)と診断した.オロパタジン塩酸塩を用いて治療し,初診1年後,瘙痒は改善傾向であるが,褐色斑は残存している.本邦からのAsp419delに変異がある皮膚肥満細胞症(CM)の報告は自験例を含め3例ある.自験例以外の2例はdiffuse CMであり,MPCMは自験例が初である.これまで,小児のMPCMは思春期までに肥満細胞の浸潤を反映した皮膚症状やmast cell mediator-related syndromeが軽快するとされてきた.しかし,近年,MPCMの一部でこれらの症状が遷延・増悪することが指摘されている.そこで,本報告では,本邦でKIT遺伝子の検索をされた小児のCM53例を検討し,その臨床経過について報告する.

  • 丸山 祐樹, 平野 康次郎, 関野 恵里子, 上村 佐和, 成川 陽一郎, 洲崎 勲夫, 嶋根 俊和
    2024 年 73 巻 2 号 p. 196-200
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/03/22
    ジャーナル 認証あり

    舌下免疫療法(SLIT)は広く行われている治療法であり,アナフィラキシーなどの重篤な副反応は稀である.SLITの副反応に喉頭浮腫をきたしたが,投与方法の変更により継続できた2症例を報告する.症例1は15歳男性.6歳時に埃によるアナフィラキシーを起こした疑いがある.ミティキュア®10000JAU投与10日目の服用30分後に喉頭浮腫を認め,静脈内点滴で治療された.症例2は48歳の女性.シダキュア®5000JAU投与5日目の服用1時間後に呼吸苦があり,喉頭浮腫を認めたが治療介入なく軽快した.いずれの症例も,舌下吐き出し法に変更し初回投与量から慎重に再開し,継続可能であった.SLITは安全な治療法だが,緊急を要する副反応が発生する可能性もある.喉頭症状が出現しても,舌下吐き出し法への変更により継続可能な例があると考えた.

  • 安部 信吾, 大坪 裕美
    2024 年 73 巻 2 号 p. 201-205
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/03/22
    ジャーナル 認証あり

    スギ花粉は鼻粘膜,結膜,皮膚におけるアレルギー症状,いわゆる花粉症の代表的なアレルゲンとして知られているが,外陰部粘膜にも同様の炎症を起こしうることはあまり知られていない.今回,尿沈渣の直接鏡検でスギ花粉を認めたことが,スギ花粉アレルギー性外陰膣炎の診断の契機となった2例を経験した.症例は4歳女児と10歳女児.いずれもスギ花粉の飛散時期に,外陰部掻痒,頻尿による夜間不眠等を主訴に受診.外陰部の皮膚・粘膜に,発赤・腫脹・膿性分泌物などの所見はなかった.尿沈査の直接鏡検で,多数の脱皮したスギ花粉を認めた.後日,スギ花粉特異的抗IgE抗体価の上昇が判明し,スギ花粉アレルギー性外陰膣炎と診断した.抗ヒスタミン薬の投与と下着の屋内乾燥を指導し,軽快した.スギ花粉はアレルギー性外陰膣炎を起こしうる.尿沈渣の鏡検は有用であり,特異的IgE抗体検査に組み合わせることで,適切な診断につながる.スギ花粉の飛散時期に外陰部不快感を訴える症例では,本疾患も考慮すべきである.

喘息予防・管理ガイドライン2024WG委員会報告
  • 岡田 直樹, 加畑 宏樹, 田中 佳人, 本間 哲也, 三倉 直
    2024 年 73 巻 2 号 p. 206-212
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/03/22
    ジャーナル 認証あり

    成人喘息患者の長期管理において,中用量以上の吸入ステロイド薬(ICS)により12週間以上コントロール良好な場合にICSの減量(ステップダウン)は推奨されるかに関してシステマティックレビューにより検討した.対象となったRCTは7試験であった.LABA併用の有無に関わらず,ICSのステップダウンは全身性ステロイド加療が必要な喘息増悪を増加させなかった.ICSにLABAを併用した2つのRCTの統合解析では入院を要する喘息増悪を増加させなかった.呼吸機能(%FEV1,PEFR)や喘息コントロール(GINAの基準,ACQ-7 score),QOL(AQLQ,mini-AQLQ,SGRQ,EuroQoL score)への影響も認めなかった.また,LABA併用の有無に関わらず重篤な有害事象やステロイド関連有害事象は有意差を認めなかったが,観察期間が不十分であったため骨粗鬆症や肺炎などの長期的な有害事象についての評価はできなかった.以上より,中用量以上のICS投与にて12週間以上コントロールが良好な成人喘息患者のICSのステップダウンを弱く推奨する(エビデンスレベルC)が,長期的な喘息コントロールやステロイド関連有害事象の発生率については今後さらなる検討が必要である.

アレルギー用語解説シリーズ
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