アレルギー
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72 巻, 5 号
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専門医のためのアレルギー学講座 52.アレルギー性鼻炎
ガイドラインのワンポイント解説
綜説
原著
  • 木村 友之, 鈴木 慎太郎, 熊木 良太, 岸本 圭子, 宇野 知輝, 能條 眞, 島村 美理, 岩住 衣里子, 田中 明彦, 相良 博典
    2023 年 72 巻 5 号 p. 453-462
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/15
    ジャーナル 認証あり

    【背景・目的】アナフィラキシーショックは生命を脅かす重篤な病態であり,患者はエピペンを迅速かつ確実に使用することが求められる.患者は薬剤師から指導をうける場合がほとんどであり,薬剤師の知識の習熟度や指導内容によって大きく影響をうけるが,これまでエピペンの知識や指導実態に関する調査はほとんど存在しない.今回我々はその実態を把握すべく全国調査を行った.

    【方法】本学外部の調査会社のシステムに会員登録している薬剤師のうち過去にエピペンの処方箋取り扱い実績のある薬局に勤務する薬剤師を対象としアンケート調査を行った.

    【結果】エピペンがアナフィラキシーショックの第一選択薬であることは多くの薬剤師が知っているが,投与経路や第二選択薬の候補など深い知識の習得は不十分であり,処方頻度や処方経験が少ないことが判明した.

    【考察】アナフィラキシーの再発に備えた医師から提示されたアクションプランまで患者と相談が可能な技能や知識を獲得するべくアレルギーの関連学会や,医療従事者向けの講習会などで学修することが望ましい.

  • 國上 千紘, 今井 孝成
    2023 年 72 巻 5 号 p. 463-470
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/15
    ジャーナル 認証あり

    【目的】外食事業者における食物アレルギー対策やその認識の実態を明らかにする.

    【方法】2018年2月に外食事業者向けのアレルギー講習会を受講した参加者を対象に,食物アレルギー対策の実施の状況,誤食事故・ヒヤリハットの件数,食物アレルギー対応推進のために必要な事項などについてアンケート調査を行った.

    【結果】アンケートの回収率は78%(257/331)であった.81%の事業者が「何らかのアレルギー対策をしている」と回答したが,特定原材料7品目の表示率は55%であった.食物アレルギー対応のマニュアル作成率は51%であった.ヒヤリハットや誤食事故は29%の事業者が経験し,このうち34%は医療機関の受診が必要であった.食物アレルギー対応推進のために必要な事項として49%の事業者が「業界内の標準づくり」をあげた.

    【結論】事業者による必要十分な食物アレルギー対策が実施されていないことが明らかとなった.今後,事業者の食物アレルギーに関する理解の向上,適切なアレルギー対策の構築の必要性がある.

  • 粒来 崇博, 上野 純子, 駒瀬 裕子, 大山 バク, 村岡 弘海, 篠崎 勇輔, 西山 和宏, 田中 智士, 西 由紘, 沼田 雄, 檜田 ...
    2023 年 72 巻 5 号 p. 471-478
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/15
    ジャーナル 認証あり

    【背景】気管支喘息の増悪因子として真菌は重要である.吸入抗原としてAspergillus(Asp),Alternaria(Alt)は特に重要視される.

    【目的,方法】プライマリケア医管理のAsp,Alt感作状況が気管支喘息の増悪,重症化につながる可能性について調査するため,2009年から2018年までに喘息病診連携を導入しプライマリケア医で管理している成人気管支喘息288例のうち,2年間3回継続してAsp,Altに対するIgE(IgE-Asp,IgE-Alt)を測定しえた119症例(女性91名)を分析した.

    【結果】119例中,IgE-Asp陽性症例は19例,IgE-Alt陽性例は11例,両者陽性症例は9例であった.経過中,IgE-Aspについては7例が陽性化し3例が陰性化,IgE-Altについては3例が陽性化し3例が陰性化した.全体で32例に喘息症状の増悪を認めたが,IgE-AspまたはIgE-Alt陽性群(感作群),途中から陽性化した群(変化群),陰性群の3群間で増悪頻度に有意な差は認めなかった.観察開始時において感作群では陰性群に比較し吸入ステロイド(ICS)使用量が有意に多く,またIgEおよびIgG4が高値であった.他の指標の前値,および変化については3群間で有意な差は認めなかった.

    【考案】病診連携管理の気管支喘息症例において,AspまたはAlt感作は16%存在し,また一部の症例で感作の変化を認めた.2年間の観察では明確な増悪や悪化傾向は認めなかったが,Asp,Altの感作症例ではIgE,IgG4,ICS使用量が多く,管理において重症化に注意する必要があると考えられた.

症例報告
  • 熊谷 淳, 足立 厚子, 永濱 陽, 山田 はるひ, 増田 泰之, 北村 弘子
    2023 年 72 巻 5 号 p. 479-484
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/15
    ジャーナル 認証あり

    20代,女性.下部消化管感染症に対し,抗生剤点滴に加え点滴用複合ビタミン剤を投与したところ,アナフィラキシーを発症した.原因精査のため当科紹介.点滴用複合ビタミン剤1%皮内テストが陽性となり,成分別検査ではビタミンB1誘導体のリン酸チアミンジスルフィドのプリックテストが陽性.点滴用複合ビタミン剤中のリン酸チアミンジスルフィドによるアナフィラキシーと診断した.既報告ではビタミンB1誘導体間の交差反応はないとされていたが,自験例ではフルスルチアミン塩酸塩で陽性を示し,交差反応が示唆された.点滴用複合ビタミン製剤は日常臨床で使用されており,発症頻度は少ないがアナフィラキシーに至る可能性があり注意が必要である.

  • 尾下 豪人, 緒方 美里, 井上 亜沙美, 佐野 由佳, 吉岡 宏治, 池上 靖彦, 山岡 直樹
    2023 年 72 巻 5 号 p. 485-489
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/07/15
    ジャーナル 認証あり

    症例は気管支喘息,尋常性乾癬で治療中の72歳女性.3カ月前から倦怠感を自覚し,胸部異常陰影を指摘され,当院を受診した.胸部CTで肺野末梢側のすりガラス影と気管支肺胞洗浄液中の好酸球増多を認め,好酸球性肺炎と考えられた.Antineutrophil cytoplasmic antibody(ANCA)は陰性であったが,乾癬に混在した下腿部の丘疹を生検したところ,病理所見で小血管周囲に好酸球浸潤を認め,好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)と診断した.本症例は皮膚科との連携により,乾癬に混じった軽微な皮膚病変を評価し得た.EGPAの診断においてはステロイド開始前に全身を慎重に精査し,軽微な所見を見逃さないことが重要である.

アレルギー用語解説シリーズ
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