【背景・目的】ウサギを使用した結膜充血の評価方法は,血管拡張の程度を目視でグレーディングすることが一般的である.しかし,グレーディングは離散変数であることと再現性が低いことが課題である.そこで我々は,画像解析によってウサギの結膜充血の程度を連続変数である血管面積率として定量し,算出された血管面積率と充血スコアの比較を行った.
【方法】0.1%アラキドン酸点眼前後の結膜をデジタルメディカルスコープVersaCam®(株式会社ニデック)で撮影し,充血解析ソフトで血管を抽出して関心領域に占める血管面積を算出した.充血スコアは結膜の血管拡張の程度を目視でグレーディングし,充血スコアと血管面積率を比較した.
【結果】アラキドン酸点眼15分後に結膜の血管面積率が有意に増大し,時間経過と共に徐々に減少した.その傾向は充血スコアと相関していた.
【結語】ウサギを用いた新たな評価方法として結膜充血の程度を数値的に定量評価できることがわかった.本方法はアレルギー性結膜疾患における結膜充血の評価にも有用であると考えられる.
【背景】声帯機能不全(vocal cord dysfunction:VCD)の原因の多くは心因反応とされるが,気管支喘息と合併することもあり,難治性喘息と鑑別が必要となる.
【症例】30歳女性.呼吸困難感を主訴に近医受診して気管支喘息と診断され,吸入ステロイド等で一時症状が軽度改善したが,コントロール不良となり当院に紹介された.吸気時stridorと呼気時wheezesが認められた.気道過敏性検査で陽性で,フローボリューム曲線で吸気相が平坦化していた.気管支鏡検査で声帯を評価したところ吸気時の声帯の閉塞が認められ,VCDの合併と診断した.口すぼめ呼吸法の指導を中心とした理学療法で軽快した.
【結語】難治性喘息の中にはVCDの併存も念頭に入れる必要があり,その診断に気管支鏡検査等が重要であると考えられた.