アレルギー
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70 巻, 4 号
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専門医のためのアレルギー学講座 43.アレルゲンの全て
ガイドラインのワンポイント解説
綜説
原著
  • 林 典子, 柳田 紀之, 小倉 聖剛, 髙橋 亨平, 朴 善美, 渡邉 八寿子, 佐々木 渓円, 佐藤 さくら, 海老澤 元宏
    2021 年 70 巻 4 号 p. 293-301
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/15
    ジャーナル フリー

    【背景・目的】食物アレルギー(以下FA)児の保育所等の受け入れの現状を明らかにする.

    【方法】2018年9~12月に国立病院機構相模原病院を受診中のFA児の保護者に,保育所等の入所を拒否された経験,その理由等について自記式質問紙調査を行った.

    【結果】205名に質問紙を配布し168人(有効回答率82%)から回答を得た.調査時の年齢中央値(範囲)は4.5(0~12)歳,入所時の除去食物は2(1~11)品目であった.56人(33%)に入所前のアナフィラキシー(以下An)の既往を認め,29人(17%)にアドレナリン自己注射薬が処方されていた.20人(12%)に入所を拒否された経験があり,拒否回数の中央値は1.5(1~30)回であった.入所前のAn既往(オッズ比[95%信頼区間]=2.80[1.08-7.22]),除去食物5品目以上(同=3.44[1.27-9.32])が入所拒否と関連していた.拒否理由は,〔FA児に関する要因〕,〔施設に関する要因〕,〔職員に関する要因〕が抽出された.

    【結語】FAの既往だけでなく,施設,職員に関する要因が保育所等への入所のハードルになっているため,FA児の生活環境を包括的に支援するシステムが必要である.

症例報告
  • 水橋 啓一, 藤村 政樹
    2021 年 70 巻 4 号 p. 302-309
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/15
    ジャーナル フリー

    症例は19歳のタイからの留学生で,結核治療歴が2回あった.右上肺に陰影を認め,紹介受診となったが,抗酸菌検査は陰性で,一方,非特異的IgE,抗アスペルギルスIgE及びIgG抗体は高値であった.気管支鏡検査では,右上葉支は炎症で狭窄し,吸引にて黄色粘稠喀痰が流出した.ステロイドを局所散布した後,Aspergillus fumigatusを含む大量の喀痰を喀出した.ステロイドとイトラコナゾールを投与したところ,塊状陰影の内部が抜け,拡張気管支が出現した.Rosenberg-PattersonのABPAの診断基準を厳密には満たさなかったが,治療経過と合わせABPAと診断した.過去の結核菌検査も陰性と判明し,当初からABPAであったと考えた.病状は安定し,帰国した.肺結核とABPAは異なる疾患であるが,症状と臨床所見に類似点が多く,過去病歴を盲信せず,適切な検査の上,正確な診断を行う事が肝要と考えられた.尚,初診から18年後の胸部CTを目にする機会があったが,全肺で著しい気管支拡張所見を呈していた.

  • ―成人例における呼吸機能障害との比較を中心に―
    田端 克彦, 植田 穣, 岡田 慶介, 清水 貴寛, 小川 俊一, 古賀 健史, 盛田 英司, 板澤 寿子, 徳山 研一
    2021 年 70 巻 4 号 p. 310-314
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/15
    ジャーナル フリー

    12歳男児.慢性咳嗽と呼吸困難で受診.胸部X線にて両肺野びまん性散布性粒状影を,胸部単純CTにて両肺野の“Tree-in-bud appearance”を認めた.また,副鼻腔炎も存在し,呼吸機能上,拘束性優位の呼吸機能障害を認めた.びまん性汎細気管支炎(DPB)と診断しクラリスロマイシンの少量長期療法を開始したところ,治療開始1カ月以内に臨床症状は著明に改善し,2カ月以内に呼吸機能所見は正常化した.成人のDPB例では閉塞性障害から始まって混合性障害に至る場合が多いが,本例では初期から拘束性障害が著明であった.小児のDPB例は稀であるが,文献的に病初期から拘束性障害の報告が多く,小児と成人ではDPBの呼吸機能障害機転が異なる可能性が示唆された.

  • 佐々木 真知子, 清水 薫子, 鈴木 正宣, 鈴木 雅, 中丸 裕爾, 今野 哲
    2021 年 70 巻 4 号 p. 315-320
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/15
    ジャーナル フリー

    現在,重症喘息の治療には4種類の生物学的製剤が使用可能である.その薬剤選択においては,各種2型炎症関連バイオマーカーの測定値,及び好酸球性副鼻腔炎,アレルギー性鼻炎,アトピー性皮膚炎などの併存疾患の有無を考慮すべきと言われている.

    今回,好酸球性副鼻腔炎,好酸球性中耳炎を合併し,結果的に4種類の生物学的製剤を使用し,上・下気道それぞれの反応性の違いを観察しえた重症喘息の1症例を経験した.4剤の使い分けに関する明確なアルゴリズムは確立されていない現状を鑑み,生物学的製剤による総合的な治療戦略を考える上で意義が大きいと考え,報告する.

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