目的:予防接種液によるアレルギー性副反応の予知に皮膚テストが行われるが,確立した一定の方法はない.今回我々は,麻疹ワクチンの皮膚テストの方法や副反応について検討した.対象,方法:当科受診の患児75例に,ワクチン原液と10倍希釈液のプリックテスト,100倍希釈液の皮内テストを2種以上組み合わせて行い,3種の皮膚テスト結果の関連性と副反応の予知に対する感度,特異度を比較した.皮膚テスト陰性で全量を一度に接種した通常群と,いずれかの皮膚テストで疑陽性以上で分割漸増接種した分割群の患者背景,総IgE,各種特異的IgEを比較し,接種後の副反応を検討した.結果:100倍希釈液の皮内テストは疑陽性も含めると副反応の予知に対する感度が88%,特異度が75%と高率であった.通常群は49例,分割群は26例.分割群は卵以外にも除去食品のある児が多く,総IgE,卵白,牛乳,小麦,ネコのフケに対する特異的IgEが有意に高かった.分割群で卵白IgEは26例中25例がclass3以上,ネコのフケIgEは11例中8例がclass 1以上であった.副反応を認めた症例は通常群で1例,分割群は7例で,8例中7例は局所の紅斑,腫脹であり,アナフィラキシーの例はなかった.結論:皮膚テストは100倍希釈液皮内法が推奨される.卵以外にも除去食品があるか,卵白IgEがclass 3以上,ネコのフケIgEがclass 1以上のいずれかの条件を有する要注意者と考えるべきである.
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