難治性喘息の臨床的特徴を把握し喘息臨床の一指標を得る目的で, 問診, 呼吸音の記録, 肺機能検査(VC.FEV_<1.0>, %FEV_<1.0>, ), 鼻粘膜上皮の線毛運動数や血清免疫グロブリンの測定などの方法により, 難治性喘息群とその他の喘息群とを比較検討し, 次のような成績を得た.難治性喘息の臨床像は, 15.3%の発生比率で性差はとくになく, 遺伝傾向が強くみとめられ比較的若年発病者が多く, 70%以上のものが11年以上の長期罹病社である.そして難治性群はその他の群と同様早朝に悪化する例が多いが, 悪化季節についてはperennialなものが多く, そのうえ種々の非特異的とも思われる要因で容易に誘発される傾向を示した.また難治性のものは自覚的に無症状のさいにも, 呼吸音図および聴診上肺野の一部に乾性ラ音がみとめられ, 難治性患者の鼻粘膜上皮の線毛運動数は低下傾向を示したが, 肺機能検査ではその他の群に比し著名な低下はみられなかった.また予期に反して免疫グロブリンの異常や感染型喘息例はむしろ難治例に少なく, またSnyder らのいう asthma triadは私の成績からは肯定しがたい結果となった.
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