分娩後1週間以内の初乳 107検体を採取し, 超遠心後乳清部分を使用した.同時に母親の血清を採取し13例の paired samples を得た.初乳および血清中のIgE値を radioimmunosorbent test (RIST), paper radioimmunosorbent test (PRIST)で定量し, 同時に immunoadsorbent による IgE の吸収試験を行い検討した.結果:1)分娩後1-6日までの RIST で得られた IgE 値の平均値は, 538.9-304.2unit/ml と高値であつた.2)初乳中の IgE 値を PRIST で測定すると, 19例中13例は 0.5unit/ml 以下で, 測定し得たものでは 0.5-1.7unit/ml と低値だつた.母親の血清中の IgE 値については, r=0.981(p<0.001) とRIST と PRIST との間に相関を認めた.3)初乳から anti-human IgE による IgE の吸収試験では, RIST で得られた IgE 値の吸収率は0-44.5%で, 平均23.3%と吸収率が悪かつた.すなわち, 特異的に IgE を吸収したにもかかわらず RISTでは吸収後も高値を示しており, IgE 以外の物質によつて interfere されていることが考えられる.4)PRIST で得られた初乳中の IgE 値と血清中の IgE 値との比は, 0.0079±0.0043と低値であつた.以上の結果より, 初乳中の IgE が secretory immunoglobulin として存在する可能性は少なく, 血清からの passive diffusion によるものと考えられる.また初乳中には, RIST に非特異的に interfere する物質があるものと思われる.
抄録全体を表示