アレルギー
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70 巻, 10 号
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ガイドライン
専門医のためのアレルギー学講座 45.好酸球性副鼻腔炎・中耳炎
ガイドラインのワンポイント解説
綜説
原著
  • 岡野 光博, 近藤 健二, 竹内 まき子, 田口 有里恵, 藤田 浩之
    2021 年 70 巻 10 号 p. 1376-1382
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/12/14
    ジャーナル フリー

    【目的】鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎(chronic rhinosinusitis with nasal polyps:CRSwNP)患者へのより良い治療選択の検討を可能にするために,日常診療下における手術への意識を把握する.

    【方法】CRSwNPによる手術歴がある,または手術を勧められたことがある300例を対象に,インターネットによるアンケート調査を実施した.

    【結果】手術の有効性への満足度は高いものの,安全性・不安や苦痛,経済性,病欠に関しては不満を持つ患者が2~3割程度存在し,特に年齢が高い患者や複数回の手術を受けた患者ではその傾向が顕著であった.手術を躊躇する理由としては,手術に対する恐怖感,時間の確保,経済的理由が上位であった.

    【結語】本研究からは,手術の有効性への患者満足度は高いものの,手術への不安や社会的・経済的理由により手術に踏み切れない患者の存在が明らかになった.治療効果のみならず,患者の意向や事情に沿った治療選択肢の検討の必要性が示唆された.

  • 豊國 賢治, 山本 貴和子, 吉田 明生, 宮地 裕美子, 樺島 重憲, 福家 辰樹, 野村 伊知郎, 大矢 幸弘
    2021 年 70 巻 10 号 p. 1383-1390
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/12/14
    ジャーナル フリー

    【背景・目的】アトピー性皮膚炎(AD)は低蛋白血症を伴う重症AD;severe protein-loss in atopic dermatitis(SPLAD)がしばしば問題となる.本研究では,SPLADの急性期治療と予後を明らかにする.

    【方法】国立成育医療研究センターアレルギーセンターで入院加療を行ったSPLAD患者61人を対象に,入院中と治療開始3年後までの経過について診療録情報を用いて後方視的に検討した.

    【結果】全例が入院中に外用剤治療にて寛解導入を行い低蛋白血症や電解質異常が改善した.全身性ステロイド薬・免疫抑制剤,生物学的製剤を含む全身療法を行った児は認めなかった.寛解維持のためにステロイド外用薬(TCS)の間欠塗布によるプロアクティブ療法を行い,3年後に95%がTCS使用頻度を週2日以下へ減量して寛解を維持した.入院時に1歳未満の乳児で,3年後に卵,牛乳,小麦いずれか1つ以上の食物を除去していた児は29%であった.

    【結語】アトピー性皮膚炎の最重症型であるSPLAD患者は急性期に外用剤治療を行うことで寛解導入可能であり,多くの患者が長期間ADの寛解維持が可能である.

症例報告
  • 久米 裕昭, 植松 学, 冨田 ひかる, 福原 敦朗
    2021 年 70 巻 10 号 p. 1391-1397
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/12/14
    ジャーナル フリー

    アレルギー性鼻炎の治療歴がある68歳男.原因不明の発熱で入院.抗生剤(セフトリアキソンなど)を投与後に,両側肺野にびまん性のスリガラス状陰影,両側胸水貯留が出現し,急性呼吸不全となった.末梢血好酸球数増多の状態で薬剤性急性好酸球性肺炎が生じたと判断し,メチルプレドニゾロンによるパルス療法を開始した.治療は効果的で,胸部陰影は消失し,急性呼吸不全も改善した.プレドニゾロンを漸減する経過中に,好酸球性肺炎の再燃に続いて左前腕部の皮膚に軽度の掻痒感をともなう境界不明瞭な発赤,腫脹が出現した.皮膚生検では,真皮深層,脂肪組織内に好酸球が著明に浸潤する所見で,血管炎を示す所見はなかった.flame figureは証明されないが,臨床および病理所見から好酸球性蜂窩織炎と判断した.プレドニソロンを増量したところ,皮膚症状は軽減し,ステロイド薬の漸減を進めているが,皮膚症状の増悪はない.この症例は,アトピー体質があり,好酸球性肺炎,好酸球性蜂窩織炎を連続性に生じる稀な経過をたどった.病態の基本にはhypereosinophilic syndromeの存在が疑われる.

アレルギー用語解説シリーズ
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