ユスリカ抗原は吸入性抗原として重要と考えられ, 富山市近郊の小児気管支喘息患児を対象とした調査では, オオユスリカ抗原に対するRAST陽性率は44%の高率を示した.ユスリカ喘息の臨床的特徴を更に検討するため同一の抗原を用いて全国調査を行った。全国の11施設でも6〜15歳の気管支喘息患児718名に対し, 10, 000倍のオオユスリカ抗原を用いて皮内テストが行われ, 年齢, 性別, IgE値, HD, ダニ, キヌの皮膚テスト, HD, ダニのRAST値, 重症度, 発作の好発季節, 更に居住環境についても検討した.陽性率は市立札幌病院(北海道)17.1%, 由利組合病院(秋田)12.6%, 厚生中央病院(東京)23.2%, 滋賀医大病院(滋賀)31.0%, 市立堺病院(大阪)43.5%, 高槻病院(大阪)33.3%, 香川小児病院(香川)42.9, 南福岡病院(福岡)20.0%, 県立南部病院(沖縄)45.5%, 県立吉田病院(新潟)30.9%, 富山医薬大病院(富山)35.4%となり, 全体での陽性率は27.9%で, 加齢とともに陽性率は上昇する傾向がみられた.ダニ, HD, キヌの皮膚テスト, RASTではキヌのブリックテストでのみ関連を認めた.居住環境では水田地帯居住群で陽性率が高い傾向がみられたが, 都市部でも高い陽性率を示しており, 吸入性抗原としてのユスリカの普遍性が窺われた.
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