エンケファリナーゼは, 気道系において, 上皮細胞, 平滑筋, 腺組織, 神経線維等に存在し, タキキニン類などの気道収縮物質を水解していることが知られている。今回我々は, 二相性反応を呈する喘息モデルをモルモットにおいて作成し, 誘発前, IAR時, LAR時の3群に分け各々の気管, 肺のホモジネート, およびBALF中のエンケファリナーゼ活性を測定した。その結果, IAR時, LAR時のエンケファリナーゼ活性は, 気管では, 各々誘発前の79.7%, 73.4%, 肺では各々誘発前の74.3%, 55.7%と低下し, 特にLAR時に強く抑制される傾向を示した。また摘出気管平滑筋を用いた薬理学的張力測定においてもLAR時に採取した標本は, NKAに対する反応が強く, その用量反応曲線は対照群と比較すると左方移動し, ホスホラミドンを添加した場合のものに近づいた。今回の結果より特にLAR時には気道中のエンケファリナーゼ活性が抑制されることが示唆された。このエンケファリナーゼ活性の低下がLARの病態に関与している可能性が推察された。
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