アレルギー
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66 巻, 9 号
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専門医のためのアレルギー学講座 XXVIII.各subspecialtyからみた新たなアレルギー専門医の役割と育成
ガイドラインのワンポイント解説
綜説
原著
  • —1年目調査—
    吉川 沙耶花, 上條 篤, 中込 一之, 杣 知行, 小林 威仁, 内田 義孝, 盛田 英司, 永田 真, 井上 智恵, 加瀬 康弘
    2017 年 66 巻 9 号 p. 1165-1171
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/11/11
    ジャーナル フリー

    【背景・目的】スギ花粉舌下免疫療法(以下SLIT)1年目例における脱落例とアドヒアランス不良例の背景を検証することにより,その要因について検討する.

    【方法】2014年11月から2015年9月までの間に治療開始した38例を対象とした.患者属性や治療に対する理解度,自己申告による経時的な服薬状況を調査し,脱落例や不良例(週に5回以下の服用しかできなかったと,1度以上回答したもの)の背景を分析した.

    【結果】脱落は4例であった.そのうち3例の脱落理由は,副作用による治療への不安であった.不良は5例存在した.理解度に関しては,良好,不良,脱落の間で有意差は認めなかった.脱落4例を除き,良好例と不良例の比較では,年齢,罹患年数,喫煙に有意差が認められた.治療継続率は90%前後であり,概ね高かった.

    【結語】副作用による治療への不安が脱落につながることが示唆された.理解度によるアドヒアランスの差は認めなかったが,年齢が低く,罹患年数が短く,喫煙習慣があることがアドヒアランス不良に関連する可能性が示された.

  • 湯田 厚司, 小川 由起子, 鈴木 祐輔, 荻原 仁美, 太田 伸男, 神前 英明, 清水 猛史
    2017 年 66 巻 9 号 p. 1172-1180
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/11/11
    ジャーナル フリー

    【背景】スギ花粉舌下免疫療法(SLIT)が開始されて3年が経過した.我々は2年目までの治療成績を報告している.

    【目的】2017年(中等度飛散年)にSLIT3年目の臨床効果を他治療と比較して検討する.

    【方法】2017年の花粉飛散ピーク時にSLIT3年目112例,皮下免疫療法群(SCIT)38例,初期療法群364例,飛散後治療群258例,未治療群333例で症状および総鼻症状薬物スコア,視覚的症状尺度(visual analog scale:VAS),日本アレルギー性鼻炎QOL調査票での評価を行った.

    【結果】評価した全ての評価法で,SLITはSCITと同等に効果的であった.SLITとSCITは他の薬物治療よりも有意に効果が認められた.併用薬がなく,鼻症状スコアが1以下の例が33%で,症状スコア0の例が9%であった.

    【結語】SLIT3年目例はSCITと同等の効果を示し,初期療法などの薬物治療より有意に効果的であった.

症例報告
  • 山崎 真弓, 磯崎 淳, 田中 晶, 安藤 枝里子, 中村 陽一, 栗原 和幸
    2017 年 66 巻 9 号 p. 1181-1184
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/11/11
    ジャーナル フリー

    症例は26歳,女性.幼少期より,鶏卵の誤食による誘発症状を認めていた.治療の希望があり,急速経口免疫療法の目的で当院に入院した.二重盲検負荷試験で陽性を確認し,オープン法による閾値決めを行った.生卵白乾燥粉末を症状誘発閾値の1/10量(3.0mg)より1.2倍ずつ増量し,5回/日で摂取した.1gに達したところでスクランブルエッグ8gに変更し,その後は1.5倍ずつ増量した.治療18日目に目標の鶏卵1個分(60g)に達した.治療中に蕁麻疹や軽い呼吸困難などの誘発症状を2回認めたが,抗ヒスタミン薬を内服して症状は消失した.鶏卵摂取後の運動誘発試験は陰性,鶏卵入りの加工品を摂取しても誘発症状は認めなかった.現在,1日に鶏卵1個を摂取する維持療法を継続中であり,2年の経過で誘発症状を認めていない.小児期に耐性獲得できない成人に対しての急速経口免疫療法は,選択肢として考慮される治療法である.

アレルギー用語解説シリーズ
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