現在臨床に使用されているβ刺激剤には多少ともα, β作用を有しているため, 生体の反応はその受容体の活性度に応じた反応を呈するものと考えられる。α作用の少ないβ刺激剤であってもα反応をきたし, かえって気管支狭窄をもたらすこと(bronchoconstriction)がある。動物実験において, Airaksinen, Palmer, 石原らは, α遮断剤としてヒデルギンを使用し, 気管支拡張作用が増強, あるいは作用時間が延長されることを報告している。臨床治験にヒデルギンを, 難治性の慢性通年型気管支喘息者で, 喘息歴5年以上の気管支喘息患者22例について実施した。ヒデルギン1日3mg, 1-2週間連用させ, その前後における肺機能測定(薬物負荷)を実施し, 22例中有効例8例(36.4%), やや有効例6例(27.3%)で, 63.6%(信頼限界 40.66-82.80, p<0.05)のこれら有効例にはむしろ重症のものが多い傾向がみられた。無効例のうちステロイド依存性のものが(62%)を占めている。本実験中, ヒデルギンによると思われる副作用は認めなかった。
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