StavitskyのBDB反応を用いて同一血清について同時に牛乳のアルブミン, グロブリン, カゼイン, 鶏卵の卵白, 卵黄に対する抗体価を, 新生児からか成人に至る種々の年令層729名について検査した.牛乳の3分劃に対する抗体価は, 新生児期, 0-3ヵ月の時期までは一般に低値であった.その後急に上昇し, 4-6ヵ月, 7-12ヵ月頃に山を示し, 幼児前期頃から低下し始め, 青春期および成人期には, ほとんど証明されなくなった.抗体価の年令的変動に関して, 牛乳の3分劃の傾向は, ほぼ平行していた, 鶏卵の卵白, 卵黄に対する抗体価は, 4-6ヵ月の時期までは, ほとんど証明されず, 7ヵ月以後より急に上昇し, 幼児前期に山を示し, 幼児後期から低下し始め青春期および成人期には, 殆んど証明されなくなった.抗体価の年令的変動に関して, 鶏卵の2分劃の傾向は一致していた.牛乳および鶏卵の抗体価の変動は, 両者に山のづれがあるが, 抗体のない時期から一旦上昇し, ある期間かなりに抗体価を認め, その後再び低下し, 抗体が証明されなくなるという, 年令に伴う変動の傾向は一致していた.また抗体価には, かなりの個人差を認めた.抗体価の高低を検討する場合には, その年令における一般的傾向を参考にすべきである.BDB法は, 抗体価を感度高く, かつ量的に安定して表現出来る優れた方法と考えられ, 臨床面への応用が期待されよう.
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