【目的】大豆アレルギー患者血清を使用して,ボンラクト® i(BL)の抗原性を脱脂大豆(SP)及びBLの原料である分離大豆タンパク質(SPI)と比較することを目的とした.
【方法】SP,SPI,及びBLからPBSを用いてタンパク質を抽出し,SPを固相化した阻害ELISA,SDS-PAGE,及びイムノブロットにて抗原性を解析した.一次抗体として経口負荷試験(OFC)で診断した大豆アレルギー患者(OFC+ Pt)血清6検体及び無症状の大豆IgE抗体陽性者(sIgE+ Pt)血清7検体を使用した.また,SP及びBLと牛乳タンパク質との交差抗原性も牛乳アレルギー患者血清を使用した阻害ELISAにて解析した.
【結果】SDS-PAGEの結果,BLでは低分子領域にスメア状のバンドが確認された.阻害ELISAの結果,OFC+ Pt及びsIgE+ Pt血清ともにBLはSPに対して有意に低い阻害率を示した.イムノブロットの結果,SP及びSPIと比較してBLのバンドは薄く検出された.また,SP及びBLは牛乳タンパク質との交差抗原性を示さなかった.
【結論】BLに含まれる大豆タンパク質は予備消化されており,抗原性はSP及びSPIと比較して低いことが示唆された.
【対象と方法】ダニSLITを開始した44児に対して自覚的・他覚的評価で有効性を検討した.患児あるいは保護者は3年間,毎日アレルギー日誌を記載し,冬休み・春休み・夏休みの年3回,日本アレルギー性鼻炎基準QOL調査票の記入を行い,他覚的評価としてハウスダスト鼻誘発検査,鼻腔通気度検査,血液検査を施行した.
【結果】3年間の治療を継続できたのは44例中29例(66%)であった.症状スコア,QOLスコア,症状薬物スコアは1年で半減したのち,2,3年目でスコアが維持された.また他覚的評価であるハウスダスト鼻誘発試験や鼻腔通気度検査についても有意に改善を認めた.ダニ特異的IgEは,一旦は増加するものの減少に転じ,ダニ特異的IgG4は経年的な増加を認めた.
【結語】小児におけるSLITの有効性の検討において,自覚的評価だけでなく,他覚的評価においても有効性を示した.
症例は69歳女性.便秘症に対し乙字湯が処方され,14日後に肝機能障害を来し,22日後に胸部CTで広範なすりガラス影を伴う呼吸不全のため入院した.重症呼吸不全に進展したが,乙字湯中止とステロイドパルス療法により軽快した.乙字湯のリンパ球刺激試験は陽性であり,臨床経過と併せ,アレルギー機序の乙字湯による薬剤性肺障害と診断した.本例のように,乙字湯は肝障害だけでなく重症薬剤性肺障害を続発させる可能性がある.乙字湯などの黄芩(オウゴン)含有漢方薬による肝障害を来した場合は,肺障害の評価と薬剤中止が重要である.