【背景】吸入薬Symbicort®(SMB)に代わり,後発薬ブデホル®(BF)の処方が増加している.吸入器の特性は薬物放出に強い影響を持つが,ブデホル®の吸入器特性は良く知られていない.
【方法】吸入シミュレーターを用いて,両剤から様々な強度のramp-upないし三角波形の吸引を行い,マウスピース内圧と吸気速度から内部抵抗(IR)を算出し,粒子放出量(ED)とその時間推移をレーザー光反射法で測定した.
【結果】SMBとBFのIRは0.119および0.105 kPa0.5/L/minで有意差なく,ともに粒子放出は放出後約0.2秒でピークに達した後に約0.5秒で終了した.両器具からの最大吸気速度とEDには直線関係があり,何れの吸入波形でも近似直線は近接していた.
【結語】今回の実験系からはBFとSMBの吸入器はほぼ同等の特性を有している.
症例は全身性強皮症,二次性シェーグレン症候群を長期治療中の70歳女性.ステロイド薬を減量中に発熱が出現し,胸部CTで小葉中心性粒状影とすりガラス影を認めた.経気管支肺生検の病理および気管支肺胞洗浄液所見は過敏性肺炎に合致し,血清抗Trichosporon asahii抗体が陽性だった.家屋清掃後に症状と画像所見が改善したため,夏型過敏性肺炎と診断した.膠原病患者において肺病変を認めた場合には,多様な病態を鑑別する必要がある.特にアレルギー性疾患はステロイド薬投与によって診断が難しい可能性がある.正確に診断をするためには,丁寧な問診と画像読影に努め,積極的に組織学的検索を行う必要がある.
症例は13歳男児.小麦摂取後の運動時に即時型症状を呈するエピソードを数回繰り返していた.誘発試験を2回実施しいずれも陽性であったことから,小麦による食物依存性運動誘発アナフィラキシー(FDEIA)と診断し,小麦摂取後の運動制限を指示した.もともと特発性慢性蕁麻疹があり抗アレルギー薬で対応していたが,蕁麻疹の増悪を認めたためオマリズマブを開始し,症状は改善した.その後,誘発試験を再度実施したところ陰性であり,小麦摂取後の運動制限を解除したがアナフィラキシー症状を認めていない.食物アレルギーや運動誘発アナフィラキシーに対して本邦では適応外であるが,オマリズマブが有効であったという報告があり,FDEIAに対しても有効である可能性が示唆された.