The production of miso has been decreasing due to changes in eating habits and social environments. In addition, there has been a recent move towards reduced salt intake to diminish lifestyle-related diseases. To maintain the demand for miso, it is important to develop salt-free miso manufacturing technology. Thus, collaborative research involving industry, academia, and the government was conducted to develop salt-free miso. The production of salt-free miso requires the control of lactic acid bacteria, spore-forming bacteria, and hygiene-related bacteria. In addition, it is necessary to propagate specific fermentation microorganisms such as yeast and lactic acid bacteria to improve the taste of miso soup. Here, miso production was divided into two steps. In the high-temperature digestion step, miso was heated to 55°Cand the temperature was maintained for 1 to 5 days. In the second, low-temperature addition and multistage fermentation step, a fermentation microorganism corresponding to the desired product quality was added at a temperature of approximately 10°Cand the fermentation temperature was then raised in multiple steps. The microflora produced in each manufacturing step was analyzed by PCR-DGGE to identify hygiene-related bacteria and lactic acid bacteria. Processing conditions during the high-temperature digestion step were set as the critical control point in manufacturing.
多様な日本の発酵食品と食文化を含む周辺情報を格納した発酵食品データベースを構築した(予定URL:https://ffdb-web.dc.affrc.go.jp/pub).このデータベースの特長は次の点である.① 4種類の中心的なデータ(食品,微生物,原材料,食文化)や他の種類のデータ(ファイル,文献,問合せ先,機能)が関連付けられ総合的な体系になっている.② 人文科学的な情報(食文化)が含まれており,自然科学的な情報がと結びついている.③ データを見ながらデータベースの検索操作が継続できるユーザインターフェイスを採用したことにより,新たな発想が生まれやすい環境を提供している.発酵食品関係者が期待する情報を簡単に発見できる,いわば,発酵食品のポータルサイトにするために,今後もこのデータベースに格納する情報を幅広く収集し続け,充実したデータベースにしていきたい.
ウンシュウミカンは日本国内で最も消費量の多い国産果樹の一つであり,近年,ウンシュウミカンに多く含まれる β-クリプトキサンチンが骨の健康維持に有効であることが示されている.本研究において,可視・近赤外分光法による非破壊光センサーと最近新たに開発された β-クリプトキサンチンの簡易測定法を組み合わせることで,果実中の β-クリプトキサンチン含有量を非破壊で推定できるか検証を行った.2016年度に入手した340個のウンシュウミカン果実について,非破壊光センサーによる吸収スペクトルと簡易測定器による含有量データとの関連についてPLS回帰分析を行った.これらの回帰分析から得られた検量線の妥当性を評価したところ,決定係数(R2)は0.897,RMSEP値は0.169,RPD値は3.01であった.これらの結果から,β-クリプトキサンチン簡易測定器と非破壊光センサーを組み合わせることで,ウンシュウミカン果実中のβ-クリプトキサンチン含有量を精度高く非破壊で推定できることが判明した.
粳,糯を主原料とする米菓12種類について,官能評価により口どけ感の評価を行い,それと同時に米菓内部構造と理化学的性質を測定して,口どけ感を目的変数とし,構造的理化学的測定値を説明変数に選び,重回帰分析を行った.
その結果,米菓内部の気泡サイズと米菓を破断した際の最大荷重が大きく口どけ感に影響を与えている事を明らかとし,それだけでは捉えきれない材料的性質を加味し,壁厚,気泡サイズ,気泡数,圧縮試験の最大破断荷重,米菓破砕物を α-amylaseにて分解した際の粘度半減期,その残渣粒度から,口どけ感をヒトの評価によらず推定できる判定式を作った.
沖縄県農業研究センターで保存するパインアップル18品種・系統のカロテノイド含量・組成を明らかにするためHPLC分析を行った結果,パインアップル果肉部のカロテノイドの蓄積量により3つのグループに分けられることが示された.すなわち,ビオラキサンチン,9-cis-ビオラキサンチンと β-カロテンを多く含み,カロテノイドの総量が1000µg/100g-FWを超える高蓄積タイプ(「A882」等),ビオラキサンチン,9-cis-ビオラキサンチンと β-カロテンを中程度に含み,総量が500~1000µg/100g-FW程度の中蓄積タイプ(「ゴールドバレル」等),総量が500µg/100g-FWよりも少ない低蓄積タイプ,であった.さらに低蓄積タイプにおいては,カロテノイド少量蓄積する品種・系統(「N67-10」等)と,ほぼ蓄積しない品種・系統(「ソフトタッチ」等)に分けられた.カロテノイド蓄積量によるグループ分けは果肉色の評価区分とよく一致していた.これらの結果は,パインアップルの高品質・高付加価値化のための高カロテノイド品種の育成に役立つものと考えられる.