日本食品科学工学会誌
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50 巻, 8 号
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  • 谷藤 健, 金子 成延, 松倉 潮
    2003 年 50 巻 8 号 p. 333-338
    発行日: 2003/08/15
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    小麦デンプンのアミロース合成を支配するWx遺伝子型について3通りに分類される5品種・系統,およびオーストラリア産銘柄ASWの小麦粉からデンプンとグルテンを単離し,その特性を比較するとともに,これらを再構成した粉でゆでめんを調製し,破断特性および動的粘弾性を比較した.デンプン特性では,特にアミロース含量とセットバック(SB)の差異がゆでめんのテクスチャーに影響し,アミロース含量およびSBが低いことは,ゆでめんの破断時荷重Fおよび粘弾性指標値Vを有意に高め,動的弾性率G'を減少させた.一方,グルテンインデックス(GI)の高かった材料から単離したグルテンはこれらの両方を増加させた.したがって,G'とF,またはG'とVの関係は,デンプンの置換によって負の相関(各々r=-0.85*,-0.91*,*:p<0.05),グルテンの置換によって正の相関(各々r=0.96**,0.42,**:p<0.01)を示した.アミロース含量が低いデンプンの場合,GIが高いグルテンと組み合わせることによって,高いVと中程度のG'を示すゆでめんが得られたが,GIが低いグルテンとの組合せではG'は低くなり,粘弾性も低下した.すなわち,低アミロース小麦の優れた粘弾性を発揮させるためには,低アミロースによって生ずるG'の低下を抑制しうるグルテンの共存が重要であると考えられた.
  • 神山 かおる, 中山 裕子, 福田 節子, 檀 はるか, 佐々木 朋子
    2003 年 50 巻 8 号 p. 339-343
    発行日: 2003/08/15
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    キュウリの品種及び切り方が咀嚼に及ぼす影響を明らかにするため,咀嚼筋筋電図の測定を行った.一口大7gの輪切と約1mm間隔で切れ目を施した薄切を比較した.1品種は他の3品種よりも,より多くの咀嚼が必要であった.いずれのキュウリ品種においても,薄切は輪切よりも,咀嚼回数が増加し,咀嚼時間が延長し,1回の咀嚼当たりの筋活動量が高かった.薄切にすると,咀嚼初期に筋電位振幅が高く,ピークが噛んでいる間のより後期に出現した.本結果は,薄切キュウリが輪切よりも,多くの咀嚼活動を必要とし,噛み難いことを示唆するものであった.
  • 長野 隆男, 矢野 裕子, 西成 勝好
    2003 年 50 巻 8 号 p. 344-349
    発行日: 2003/08/15
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    市販の絹ごし豆腐について,圧縮試験による力学物性測定と共焦点顕微鏡によるミクロ構造の観察をおこない,以下の結果を得た.
    1) 豆腐の圧縮試験から得られた応力-歪み曲線をBST式でよくあらわすことができ,破断応力,破断歪み,ヤング率,弾性パラメーターnの4つのパラメーター値を抽出することができた.
    2) 共焦点顕微鏡を使用することで,豆腐を固定せずにタンパク質と油滴を特異的に観察できること,1mm程度の厚さのある試料を用いてもタンパク質のネットワーク構造と油滴の状態が画像として得られることが明らかとなった.
    3) 共焦点顕微鏡による観察結果から,市販の絹ごし豆腐は2つのグループに分けられた.すなわち,タンパク質の凝集が詰まって密にみえる「密構造タイプ」と,凝集が疎で粗い構造を示す「疎構造タイプ」である.
    4) 「密構造タイプ」と「疎構造タイプ」の違いは,破断歪みの平均値の結果によく表されており,前者は50%より高く後者は50%より小さい値を示した.
    5) 豆腐の力学物性測定結果は,タンパク質のネットワーク構造とよく相関し,油滴の状態との相関は低いと考えられた.弾性率,破断応力への寄与は,主にタンパク質のネットワーク構造によるためであろう.
  • 浦部 貴美子, 北尾 幸子, 香山 佳代子, 灘本 知憲, 川村 正純, 西川 善之
    2003 年 50 巻 8 号 p. 350-355
    発行日: 2003/08/15
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    滋賀県彦根市内に自生している野草を対象として抗菌力の有無を探索し,さらに抗菌活性を比較検討することにより,E.coli,S.aureus,B.subtilisに対する生育抑制効果の高い野草を見いだすことを目的として本研究を行った.
    一定量の試料を含んだ1.5%(w/v)寒天含有ブイヨン平板培地に接種菌液を注入し,37°Cで20時間静置培養後,菌の生育を試料無添加のコントロールと比較し,抗菌力を判定した.1%(w/v)添加による抗菌力試験では,野草27種のうち新鮮物試料13種,乾燥物試料11種に強い抗菌効果が認められ,ハハコグサやイタドリなど古くから食用とされているものも多くあった.また,キク科植物9種のうち,6種が1種以上の菌に対して強い抗菌力を示し,頻度高く抗菌性の高い野草が存在していた.
    抗菌力の大きい野草の抗菌活性をMICにより比較した結果,オオニシキソウが新鮮物,乾燥物ともにいずれの菌に対しても著しく大きい生育抑制効果を示した.このオオニシキソウの抗菌性に関与している物質は,主に酸性画分とフェノール性画分に含まれると考えられた.中でもS.aureusに対する両画分の抗菌活性はメタノール抽出物の4倍の値を示し,それらが精製されていない粗分画物であることを考慮すると,抗菌性物質である没食子酸に匹敵するほどの強い抗菌力を有していると推測された.
  • 土肥 貞夫, 羽倉 義雄, 鈴木 寛一
    2003 年 50 巻 8 号 p. 356-360
    発行日: 2003/08/15
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    凍結乾燥食品のコラプス(蒸発乾燥による発泡・収縮現象)発生を防止するための非破壊測定法を検討した.コラプスの発生は,凍結乾燥前工程(凍結工程)での凍結不足が主な要因である.食品のモデルとして固形分含有量が異なる3種類の味噌汁を用いた.まず,味噌汁の氷結率をDSC測定により調べ,さらに味噌汁を凍結乾燥し,コラプス発生率と氷結率との関係を検討した.その結果,氷結率が約95%以上でコラプスの発生が抑えられることが明らかとなった.味噌汁の固形分含有量を変えた場合も同様に氷結率が95%以上でコラプスの発生が抑えられた.次に,味噌汁の凍結温度を変えて電気容量を測定し,コラプス発生率との関係を検討した.その結果,電気容量が極大値を示す温度でコラプス発生率が約50%となった.電気容量変化とコラプス発生率との間には何らかの関係があることから,電気容量変化からコラプス発生を予測できる可能性が示唆された.さらに,味噌汁の電気容量変化のグラフを図微分すると,低温側の変曲点以下の凍結温度範囲ではコラプス発生率が0%になることがわかり,このとき,味噌汁の氷結率が95%に達していることが明らかとなった.以上の結果から,凍結乾燥食品の製造において,凍結過程の食品の電気容量を連続で測定し,コラプスの発生を抑制できる温度まで冷却することにより,凍結乾燥過程のコラプス発生を防止できる可能性が示唆された.
  • 石川 健一, 加藤 丈雄, 小宮 孝志
    2003 年 50 巻 8 号 p. 361-364
    発行日: 2003/08/15
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    発酵漬物の製造において,乳酸菌を添加した漬物を検討した.スターターカルチャー用乳酸菌の選択と発酵条件について,以下のような結果を得た.
    (1) 36株の乳酸菌から発酵漬物に適したものを検索したところ,生育速度が速いこと,好ましい酸味や香りを生産することなどから,8菌株を選択した.
    (2) 最も好ましい香気を生成した,Leuconostoc paramesenteroides DA-1株について性質を検討した結果,最適発酵温度は10°Cで,食塩0∼3%,グルコース無添加のモデル漬物中でよく発酵した.
    (3) 大根を用いて低食塩の漬物を調製した結果,Leuc.DA-1株を接種することで,腐敗や変色がおこらず,梅酢様の良好な香気,うま味を生成した.
  • 曹 小紅, 伊藤 寛, 王 冬浩
    2003 年 50 巻 8 号 p. 365-370
    発行日: 2003/08/15
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    中国は調味食品を産出する主要な国の一つである.世界各国は中国の調味食品の安全性について特有な懐疑的な態度をもっている.しかし実際上,中国の調味食品には,すでに4種類の厳格な基準規格がある.即ち中国国家基準,行政基準,地方基準,企業基準規格がある.
    これらの基準規格は既に制定され,多年にわたり実施されている.この基準規格は食酢,醤油.腐乳および,その他の醤の漬物や豆製品の特有な規定が実施されている.この基準規格を施行したため,中国の食品は高品質化され,安全性が高まり,消費市場を確保している.この基準規格を順守して中国の食品工業の発展に貢献している.
    調味食品の国家基準規格の資料や国家基準の設定,企画委員の資料を提供させて頂きました.張林,魯肇元,高級工程師に謝辞を申し上げます.
  • 2003 年 50 巻 8 号 p. 372-377
    発行日: 2003/08/15
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
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