日本食品科学工学会誌
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49 巻, 10 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
  • 山本 万里
    2002 年 49 巻 10 号 p. 631-638
    発行日: 2002/10/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
  • 小麦粉グルテンの脱アミド化による機能付与に関する研究(第2報)
    則松 優子, 熊谷日 登美, 永井 龍一, 櫻井 英敏, 熊谷 仁
    2002 年 49 巻 10 号 p. 639-645
    発行日: 2002/10/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    小麦粉グルテンについて,陽イオン交換樹脂を用いて脱アミド化することを試みた.また,脱アミド化した試料と水との親和性を,低水分域では水分収着等温線の測定およびその熱力学的解析により,高水分域では溶解度の測定により評価した.さらに,未処理および脱アミド化処理した試料について起泡性および泡沫安定性の測定を行った.
    (1) 陽イオン交換樹脂を用い,全アミド量の30%が脱アミド化されたグルテンが得られた.
    (2) 水分収着等温線の測定により,脱アミド化を行うことでグルテンの水の収着量を高められることが分かった.
    (3) 水分収着等温線の熱力学的解析から,脱アミド化による水との親和性の向上の程度が定量化された.
    (4) 脱アミド化により,グルテンの水および塩化ナトリウム水溶液に対する溶解性が増加した.
    (5) 脱アミド化により,グリアジン,グルテン共に起泡性および泡沫安定性が増加した.
  • 玉 正浩, 仲川 清隆, 宮尾 興平, 並木 満夫, 宮澤 陽夫
    2002 年 49 巻 10 号 p. 646-651
    発行日: 2002/10/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    本研究では,タマネギ抽出物がAmadori-PEの生成と細胞毒性に与える影響を調べDioleoyl PEとD-グルコースをメタノール中でインキュベート(60℃, 1日)すると,dioleoyl PEの50%がAmadori-PEに変換されていた.また,dioleoyl PEとグルコースをインキュペートして,その脂質抽出物をマクロファージ系細胞株であるJ774A.1に処理すると,顕著な細胞死が認められた.このインキュベート溶液にタマネギ抽出物を少量(0.1%, v/v)加えると,madori-PEの生成と細胞毒性が顕著に抑制された.これらの結果から,タマネギは脂質グリケーションの抑制成分を含み,Amadori-PEの生成を抑えることで細胞毒性を和らげていることが初め明らかになった.
  • 増田 俊哉, 小山 保夫, 稲葉 譲, 戸井 由紀子, 荒田 智裕, 武田 美雄, 仲本 勝男, 國永 秀樹, 西里 さおり, 野中 亮
    2002 年 49 巻 10 号 p. 652-661
    発行日: 2002/10/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    沖縄産食薬用植物の抗酸化関連機能について,そのエタノール抽出物を用いて検討した.抽出物のDPPHラジカル消去活性,脂質酸化抑制活性,ならびに酸化的細胞死の抑制活性を測定し評価した.その結果,各方法で顕著な活性を有する植物抽出物がいくつか見出されたが,中でも,バンジロウ,ビョウヤナギ,ゲットウに総合的に高い活性が認められ,新たな抗酸化機能食材としての可能性が示された.また,サツマイモの抽出物に,他の植物種とは異なる特徴的な細胞保護機能を認めた.
  • 渡辺 敏郎, 山田 貴子, 石知 史, Tapan Kumar Mazumder, 永井 史郎, 辻 啓介
    2002 年 49 巻 10 号 p. 662-669
    発行日: 2002/10/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    自己消化処理したシイタケが本態性高血圧自然発症ラット(SHR)の血圧に対してどのような影響を及ぼすかを検討した.シイタケを自己消化させることにより遊離アミノ酸含量が増加した.また,γ-アミノ酪酸(GABA)についても自己消化によりその含量が増加した.自己消化処理したシイタケ(AutolyzedLE)および処理前のシイタケ(LE)を飼料中へ2%添加した場合では,SHRに対してAutolyzed-LE投与群がコントロール群に比べて有意に血圧を降下させた.しかし,LE群はコントロール群に比べて血圧降下作用を示さなかった.AutolyzedLEおよびLEにはエリタデニンやアデノシンが存在することが確認された.次にAutolyzedLEとLEについてアンジオテンシン-I変換酵素(ACE)活性阻害効果を調べたところ,LEに比べてAutolyzedLEのACE阻害活性は5倍高かった.これによりAutolyzed-LEの血圧降下作用はGABA,アデノシン,ACE阻害活性成分などの相互作用により起こっていることが考えられた.AutolyzedLEおよびLEを食餌成分としてSHRに与えた結果,血清総コレステロール(TC),特に(VLDL+LDL)-C,トリグリセリド(TG),動脈硬化指数,リン脂質(PL)の値が有意に低下した.これはシイタケに含まれるエリタデニンの作用であることが考えられた.
  • 玉木 雅子, 鵜飼 光子, 村田 容常, 本間 清一
    2002 年 49 巻 10 号 p. 670-678
    発行日: 2002/10/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    北海道産タマネギ6種について,貯蔵による品種特性の変化を調べた.
    (1) 貯蔵中にいずれの品種でも固形分,糖度,平均一球重の変動が認められたが,「蘭太郎」,「さらり」では貯蔵による変動が少なかった.これら2種はピルビン酸生成量あるいはその貯蔵中の増加量が少なく,従来のF1種とは異なる性質を示した.最多に栽培されている「スーパー北もみじ」は,冷蔵貯蔵前の11月はピルビン酸生成量,硬度ともに低値を示したが,12月以降は両者とも急激に上昇した.
    (2) ほとんど全てのタマネギは,長期保存中もソテー加工に適する固形分量およびパウダー加工に適する還元糖量を示した.
    (3) タマネギの硬度を品種間で比較したが,測定時期(貯蔵期間)により変動し,品種による硬さの位置づけはできなかった.
    (4) 鱗茎部分の色彩および遊離糖の組成は貯蔵により変動し,その傾向は淡路産タマネギと類似していた.本研究を行うにあたり,北海道産タマネギの品種についてご指導いただいた北海道立北見農業試験場場長宮浦邦晃氏,ならびに試料タマネギの栽培,採取および選定にご協力いただいた同試験場園芸科科長田中静行氏に深く感謝の意を表します.
  • 森山 洋憲, 片山 泰幸, 中林 錦一, 受田 浩之, 沢村 正義
    2002 年 49 巻 10 号 p. 679-682
    発行日: 2002/10/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    高知県の農産品についてSOSAを測定した.測定した17個の試料の中で,ギャバロン茶と碁石茶の活性が特に高かった.水あるいはエタノールによる両茶葉の抽出物は,ESR法,CL-FIA法そしてWST-1法のそれぞれにおいて高い活性を示した.緑茶の活性と比較したところ,両茶葉の活性は緑茶のものと同等以上であることが明らかとなった.
  • 沖 智之, 増田 真美, 納 美由紀, 小林 美緒, 古田 收, 西場 洋一, 須田 郁夫
    2002 年 49 巻 10 号 p. 683-687
    発行日: 2002/10/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    サツマイモ葉部を高い抗酸化活性を有する「茶」様飲料の原料として利用することを目的にして,「シモン1号」葉部から熱水抽出液を調製し,DPPHラジカル消去活性とポリフェノール含量の測定を行った.その結果,抽出する際の温度が高いほど.高いラジカル消去活性を有する飲料の調製が可能であることが示された.また,8月収穫の葉部で最も高いラジカル消去活性が認められた.葉部熱水抽出液中にはラジカル消去成分として,クロロゲン酸,カフェ酸に加えて数種のポリフェノール成分が存在していた.
    本研究の一部は,科学技術振興事業団の実施する重点研究支援協力員事業によって行われたものである.
  • 茂木 弘之, 宇佐見 衛, 勝崎 裕隆, 今井 邦雄, 樋廻 博重, 小宮 孝志
    2002 年 49 巻 10 号 p. 688-691
    発行日: 2002/10/15
    公開日: 2010/03/08
    ジャーナル フリー
    15種の香辛料粉末の80%エタノール抽出物についてヒト白血病細胞の増殖抑制率を調べた。
    (1) タイム,ナツメグ,スターアニス,クローブ,トウガラシ,ターメリック,ジンジャー,ガーリック,シナモン,ブラックペーパー,オールスパイス,ローズマリー,セージ,ローレルの抽出物のうち200μg/mlの濃度で80%以上の細胞増殖抑制率を示したものはタイム,ナツメグ,クローブ,ターメリック,ジンジャー,シナモン,ブラックペーパー,ローズマリー,クミン,ローレルであった。これらの香辛料抽出物の50μg/ml濃度で細胞増殖抑制率が70%以上のものはナツメグ,ターメリック,シナモン,ブラックペーパー.ローズマリー,セージ,ローレルであった。香辛料抽出物の10μg/ml濃度でターメリックは100%,ローレルは95%の高い細胞増殖抑制率を示したのに対して,他のものはいずれも50%以下であった。
    (2) 細胞増殖抑制率の高かったターメリックローレルの抽出物の作用機構としてDNA断片化が観察され,アポトーシス誘導によるものと推定した。
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