日本食品科学工学会誌
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64 巻, 1 号
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総説
  • 川本 伸一
    2017 年 64 巻 1 号 p. 1-15
    発行日: 2017/01/15
    公開日: 2017/01/24
    ジャーナル フリー

    Food poisoning is a serious threat to public health. During the past decades, society has undergone significant lifestyle changes, including the use of new methods for processing and preparing foods. Surveillance of food poisoning has been emphasized because of the centralization of food production and increased international trade and tourism. The responsibility for food safety has moved from individuals to industries and governments, and these changes have created the potential for outbreaks of food poisoning. In this paper, I provide an overview of the current trends in food poisoning in Japan from 2006 to 2015, focusing on prevalence and mortality with respect to food preparation facilities, causative agents and the food sources involved. This review is based on food poisoning statistics collected in Japan, published by the Ministry of Health, Labor and Welfare of Japan. An English version of all figures and tables in this paper is presented in the Appendix.

報文
  • 山家 一哲, 古屋 雅司
    2017 年 64 巻 1 号 p. 16-22
    発行日: 2017/01/15
    公開日: 2017/01/24
    ジャーナル フリー

    ウンシュウミカン果実において,秋季のプロヒドロジャスモン加用ジベレリン(以下,GP)散布と収穫後の青色LED光照射が貯蔵中の腐敗に及ぼす影響について調査した.ジベレリン3.3ppmとプロヒドロジャスモン25ppmを混合して,9月に散布し,12月に果実を収穫し,予措を行った後に8°C貯蔵庫にて92日間貯蔵した.貯蔵中,青色LED光(ピーク波長465nm,放射照度10μmol·m-2·s-1)を果実に照射した(照射時間 : 1日当たり12時間).その結果,青色LED光照射により試験開始63∼92日目の累積腐敗果率が,低く推移することが明らかとなった.また,GP散布のみでは,累積腐敗果率に対する抑制効果が,認められなかった.GP散布と収穫後青色LED光照射の両方を行った果実は,収穫後の滴定酸含量が高い傾向にあったが,糖度についてはこれらの処理による差は認められなかった.以上の結果から,カンキツ貯蔵庫における収穫後の青色LED光照射は,貯蔵後期のウンシュウミカン果実の貯蔵病害を中心とした腐敗を抑制するが,上記濃度におけるGP散布のみでは腐敗抑制に寄与せず,青色LED光との交互作用も小さいことが示唆された.

  • 山本(前田) 万里, 廣澤 孝保, 三原 洋一, 倉貫 早智, 中村 丁次, 川本 伸一, 大谷 敏郎, 田中 俊一, 大橋 靖雄
    2017 年 64 巻 1 号 p. 23-33
    発行日: 2017/01/15
    公開日: 2017/01/24
    ジャーナル フリー

    内臓脂肪を減少させメタボリックシンドローム(MetS)を予防する食品は有用であり,MetS改善作用の評価は,農産物単品にとどまってきたため,日常消費される組み合わせ食品としての有用性の検証が必要である.肥満傾向を有する健常な成人の昼食に,機能性農産物を組み合わせた機能性弁当を継続摂取させ,機能性農産物を使用していないプラセボ弁当を摂取した場合と比較して,腹部内臓脂肪の減少効果について検証した.

    BMIが25以上30未満および内臓脂肪面積が100cm2以上の肥満傾向を有する健常な成人を対象に,ランダム化プラセボ対照試験を行った.被験食品は,機能性農産物を使用した「おかず」,「べにふうき緑茶」および「米飯」(50%大麦ご飯および玄米),プラセボ対照食品は,機能性農産物を使用しない「おかず」,「茶」(麦茶)および「米飯」(白飯)であり,3因子の多因子要因1/2実施デザインを採用して,試験群は機能性の「おかず」「茶」「米飯」それぞれ1要素のみ被験食品とする3群とすべての機能性要素で構成される被験食品1群の計4群とした.平日の昼食時に12週間摂取した.主要評価項目は,内臓脂肪面積,副次評価項目は,ヘモグロビンA1c (HbA1c),グリコアルブミン,1,5-AG(アンヒドログルシトール)などとした.

    159名が登録され中途脱落はなかった.全期間の80%以上の日で弁当の配布を受けたPPS (Pre Protocol Set)解析対象者は137名であった.試験に入ることによる効果はPPSで-8.98cm2と臨床的にも統計的にも有意であった(p=0.017)).主要評価項目のサブグループ解析の結果,試験開始時の内臓脂肪面積が中央値100∼127cm2の被験者で,被験米飯の効果はPPS で平均-7.9cm2であり,p値は0.053とほぼ有意であった.被験米飯については女性でも有意な(平均値-14.9cm2p=0.012)減少効果が観察された.副次評価項目では,1,5-AG に関してべにふうき緑茶の飲用で有意差が認められた.また,安全性に関して特筆すべき問題は生じなかった.

    食生活全体の変化と機能性農産物を使用した機能性弁当の連続摂取により,内臓脂肪面積の低減効果等の可能性が示唆された.

研究ノート
  • 田中 福代, 庄司 靖隆, 岡崎 圭毅, 宮澤 利男
    2017 年 64 巻 1 号 p. 34-37
    発行日: 2017/01/15
    公開日: 2017/01/24
    ジャーナル フリー

    前報でリンゴみつ入り果の嗜好性の高さは2-メチル酪酸エチル,ヘキサン酸エチル,チグリン酸エチルなどのエチルエステル類と関連すると推定した.これを検証するために,リンゴ非みつ果の加工品(混濁果汁,ピューレ)とリンゴ風味の加工食品(果汁飲料,キャンディ)に対し,みつ入り果の香気成分プロファイルを再現した7種のエチルエステル類からなるみつ香フレーバーの添加実験を行った.その結果,リンゴ非みつ果の加工品においてみつ風味および嗜好性が高められたことから,エチルエステル類はみつ入り様風味を与え,リンゴの嗜好性を高める主要な成分であることが確認された.また,リンゴ風味食品にこのフレーバーを添加した場合も,みつ風味と嗜好性を強化する効果があり,特に清涼飲料とキャンディにおいて顕著であった.

  • 谷岡 由梨, 美藤 友博, 竹内 崇, 竹中 裕行, 山口 裕司, 古庄 律, 石田 裕, 渡邉 文雄
    2017 年 64 巻 1 号 p. 38-42
    発行日: 2017/01/15
    公開日: 2017/01/24
    ジャーナル フリー

    食用藍藻ノストコプシス(Nostochopsis sp.)から熱水抽出物を調製し,化学的および生理的な特徴を明らかにした.調製した熱水抽出物は,炭水化物(約52.3g/100g乾燥重量)が主要な成分であり,そのほとんどが水溶性食物繊維であった.調製した水溶性食物繊維の構成糖は中性糖(約51.2g/100g乾燥重量)と酸性糖(約24.3g/100g乾燥重量)から成り,主要な中性糖はグルコース,フコース,マンノースであった.また,熱水抽出物は0.1% (w/v)の濃度で高い粘性(1.90mPa·s)を示した.耐糖能の評価において,0.5% (w/v)熱水抽出物を摂取させたラットの血糖値がマルトース投与後30分でコントロールに比べ顕著に低下した.以上のことより,ノストコプシス熱水抽出物は食後の血糖値の上昇を遅延させる効果を有していることが示唆された.

  • 伊藤 和子, 阿久津 智美, 渡邊 恒夫, 謝 肖男, 小松 渡, 吉澤 史昭, 宇田 靖
    2017 年 64 巻 1 号 p. 43-49
    発行日: 2017/01/15
    公開日: 2017/01/24
    ジャーナル フリー

    ナス下漬液から回収されるナスニン含有色素粉末が示す抗酸化性とその色素粉末のCD包接体に見られたヒアルロニダーゼ阻害活性に寄与する成分およびその寄与度を明らかにするための検討を行った.

    まず,回収色素粉末からナスニンを精製するため,HP-20およびLH-20カラムによる分画を行い,ナスニン画分とクロロゲン酸画分を分離した.このナスニン画分からさらに分取HPLCにより,精製度96%のナスニン精製物を得,そのLC-MS/MS分析によりcis体とtrans体の混在したナスニンであることを確認した.

     次に,ナスニン精製物のH-ORAC値による抗酸化性評価を行ったところ,1g当たり13250μmolのTrolox当量であり,デルフィニジン標準品の1.45倍に相当する強い抗酸化性を示した.ナスニン含有粉末におけるナスニンの含有率から算出した寄与度は約26%であり,クロロゲン酸は約48%の寄与が認められた.また,ヒアルロニダーゼ50%阻害率により抗アレルギー性を評価したところ,ナスニン精製物には阻害活性は認められず,前報2) に示されたナスニン含有色素のCD包接体が示した本阻害活性は共存するクロロゲン酸を含むナスニン以外の成分に起因するものと考えられた.

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