日本食品科学工学会誌
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64 巻, 8 号
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総説
  • 安藤 泰雅, 根井 大介, 河野 晋治, 鍋谷 浩志
    2017 年 64 巻 8 号 p. 391-428
    発行日: 2017/08/15
    公開日: 2017/09/12
    ジャーナル フリー

    Freezing is one of the most important long-term preservation techniques for foods, and offers a means to suppress microbial growth and to preserve taste and nutritional value superior to any other method. However, during freezing, cold storage and thawing, changes in physical and chemical structures due to the formation of ice crystals, recrystallization or various chemical reactions can affect the quality of foods. The causes, types and degree of quality loss vary depending on the food items, and scientific reports on the mechanisms responsible for the quality loss as well as the technical solutions of pretreatment, freezing, storage and thawing technology have accumulated. Also, various analytical and observational technologies of ice crystal and tissue structure in foods have contributed to the development of effective freezing, storage and thawing technologies. The purpose of the present paper was to review the current state of studies on freezing and thawing technologies, and on evaluation technologies of physical and chemical properties of frozen foods, and to present future issues of the technologies concerned with frozen foods to enable their further development.

報文
  • 山元 裕太, 佐田 宏子, 森 健二, 大島 賢治, 高橋 芳弘, 満生 慎二, 柿原 秀己, 迎 勝也
    2017 年 64 巻 8 号 p. 429-436
    発行日: 2017/08/15
    公開日: 2017/09/12
    ジャーナル フリー

    熊本県産養殖ヒトエグサ由来ラムナン硫酸の硫酸基がヒアルロニダーゼ阻害活性に及ぼす影響およびその阻害機構を検討した.硫酸基含有率20% (w/w)のラムナン硫酸を用い,ラインウィーバー=バーク式からヒアルロニダーゼ阻害様式は酵素の活性部位に直接作用する拮抗阻害であることが確認された.ラムナン硫酸の硫酸基含有率がヒアルロニダーゼ阻害活性に及ぼす影響を調べるために,硫酸基含有率20% (w/w)のラムナン硫酸の脱硫酸処理,過硫酸化処理により,硫酸基含有率が0.5,7,41% (w/w)のラムナン硫酸を調製し,硫酸基含有率20% (w/w)のラムナン硫酸を含め,各ラムナン硫酸の濃度を変えて,ヒアルロニダーゼ阻害試験を行った.その結果,ラムナン硫酸のヒアルロニダーゼ阻害率は硫酸基含有率の増加と共に高くなった.ラムナン硫酸とヒアルロニダーゼの混合により生成した白濁物質について,そのIR分析および1H-NMR分析結果から,この白濁物質はラムナン硫酸とヒアルロニダーゼの複合体であり,ラムナン硫酸中の硫酸基の負電荷とヒアルロニダーゼのリジン残基の正電荷のイオン相互作用により複合体が生成していることが示唆された.硫酸基含有率の高いラムナン硫酸ほど複合体生成率は上昇し,複合体を除去したろ液のヒアルロン酸分解率は低下した.すなわち,ラムナン硫酸はヒアルロニダーゼとイオン相互作用により水に不溶な複合体を生成し,ヒアルロニダーゼを不活性化することで,ラムナン硫酸のヒアルロニダーゼ阻害が発現していることが推察された.

技術論文
  • 塩谷 茂信, 鈴木 貴則, 米山 明, 柳内 延也, 萩原 昌司, 鍋谷 浩志
    2017 年 64 巻 8 号 p. 437-445
    発行日: 2017/08/15
    公開日: 2017/09/12
    ジャーナル フリー

    食品中のイミダゾールジペプチドはカルノシンとアンセリンの混合体として存在している.これらを経口摂取すると腸管から吸収され,血中で速やかに分解されてその構成アミノ酸となる.血中のイミダゾールジペプチドとその代謝物である構成アミノ酸の同時定量法としてアセトニトリルを含有する溶離液を用いた逆相-HPLC法が報告されている.しかし,これらの方法で用いられる溶離液では血しょう成分や除タンパク質剤のピークがオーバーラップするために,血しょう中のイミダゾールジペプチド代謝物,特に1-または3-メチルヒスチジンを同時定量することが困難であった.これを解決するために,我々はアセトニトリルを含有しない溶離液をアイソクラティックの条件で通液してイミダゾールジペプチドとその関連物質の保持時間を長くし,定量が可能な方法に改良した.その結果,血しょう成分や除タンパク質剤の影響を受けることなく同時定量が可能であった.この改良法を用いて市販されている2社の鶏肉由来精製イミダゾールジペプチド粉末製品を10名の健康な被験者に経口摂取してもらい血中濃度推移と生物学的利用能に差異があるか否かを二重盲検クロスオーバー方式で試験した.アンセリン濃度は1-メチルヒスチジンの約1/10であったが,その血中最高濃度Cmaxは摂取後40分に観察され,2社の鶏肉由来製品で同等であり,市販されているイミダゾールジペプチドの製品間には血中濃度推移も生物学的利用能にも差異は認められなかった.これらの結果から,本改良逆相-HPLC法はヒト血しょう中のイミダゾールジペプチドおよびその代謝物を精度よく同時定量できる分析法であることが示された.

技術用語解説
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