日本食品科学工学会誌
Online ISSN : 1881-6681
Print ISSN : 1341-027X
ISSN-L : 1341-027X
44 巻, 2 号
選択された号の論文の14件中1~14を表示しています
  • 山野 善正
    1997 年 44 巻 2 号 p. 83-92
    発行日: 1997/02/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
  • 天野 武雄, 高田 悟, 三浦 靖, 石田 欽一, 大島 克己
    1997 年 44 巻 2 号 p. 93-101
    発行日: 1997/02/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
    小麦澱粉20.6%,糖14.4%および蒸留水65.0%からなるゲルを調製し,2℃で貯蔵した際のゲルの硬化および水分子の運動性に対する糖の添加効果を検討し,次の結果を得た.
    1) 糖添加ゲルの硬化過程は,一般に対照ゲル(糖無添加ゲル)と同様に,クリープコンプライアンスが(1)貯蔵数時間まで指数的に減少する過程(領域1),(2)その後,数時間だけ一定あるいは緩慢に増加または減少する過程(領域II),(3)初期値の延長と見なせる指数関数的に減少する過程(領域III),(4)最終的にさらに緩慢に減少する過程(領域IV)とに分けられた.
    2) 領域Iにおける初期クリープコンプライアンスは,D-リボース添加ゲルを除いて大差なく対照ゲルよりも小さかった.D-リボース添加ゲルは,他の糖添加ゲルの約60%の応力でほぼ同程度のひずみを示し,著しく柔らかかった.
    3) D-リボース,マルトース,トレハロース,スクロース,マルトースとマルトトリオース,あるいはマルトトリオースを主成分とするマルトオリゴ糖は領域Iと領域IIIにおける硬化速度を有意に低下させた.
    4) D-フルクトース,D-ガラクトース,メリビオースは,領域Iと領域皿における硬化速度を対照ゲルよりもむしろ増加させた.
    5) 二糖およびオリゴ糖では,構成単糖が同一でもグルコシド結合様式により澱粉ゲルの硬化抑制能が異なった.
    6) ゲル中の水分子の運動性を17O-NMR法によって測定したところ,2℃での貯蔵の経時に伴うT2の変化率は,マルトース添加ゲル≦トレハロース添加ゲル<スクロース添加ゲル<対照ゲル<メリビオース添加ゲルの順であった.
    7) 硬化速度定数は調製直後のゲル中の水分子が束縛されると共に,ゲルの貯蔵に伴い水分子がさらに束縛されるのが遅い試料ほど小さかった.
  • 深井 洋一, 松沢 恒友, 石谷 孝佑
    1997 年 44 巻 2 号 p. 102-111
    発行日: 1997/02/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
    米一粒中の各種成分.特性の分布を解明し,利用特性との関係を明確にして,米の利用加工条件の最適化を図っていくという観点から,梗米3品種(ハバタキ,オオチカラ,キヌヒカリ)の米粒について搗精部位層の澱粉の糊化特性とこれに起因する理化学的性質との関係について検討した.
    (1) 3品種とも各層における成分および性質は均一でなく,外層ほど,澱粉以外の成分である水分,ミネラル(Mg,K,Fe),タンパク質の各含量が高い.逆に内層部ほど主成分を成す澱粉含量が高く,澱粉の見掛けのアミロース含量は高い傾向であり,色調L(明度)は高く,a(赤度)およびb(黄度)は低かった.アミロペクチン側鎖長分布解析では,品種間および層間の差異は小さかった.
    (2) 各層のビスコグラフの結果は,内層ほど粘性が高く,糊化特性値の各項目(最高粘度および最低粘度,最終粘度,ブレークダウン,コンシステンシー)が増加する傾向であった.粘性変化は段階的で品種間で差異があり,外層ほど顕著に低下し,ハバタキは4段階,オオチカラは2段階,キヌヒカリは3段階で変動した.
    (3) 各層の糊化特性(粘性)と理化学的性質の各項目間の相関関係を検討した.その結果,3品種とも糊化特性値の各項目と澱粉,見掛けのアミロースおよびタンパク質含量,色調の間においてそれぞれ総じて高い相関値を示した.
    各層の糊化特性に影響を与える成分として,見掛けのアミロース含量を含む澱粉含量とタンパク質含量が示唆された.
  • 衣笠 仁, 竹尾 忠一, 矢野 信礼
    1997 年 44 巻 2 号 p. 112-118
    発行日: 1997/02/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
    原料の摘採時期と製造方法の違いによる茶飲料の主要成分と香気成分の変化について検討した.
    1. その結果,生育初期原料で製造した茶飲料は,カテキン類,遊離アミノ酸類,カフェインの含有量が多く主要成分が豊富であった.
    生育が進んだ原料では,カテキン類,遊離アミノ酸類の減少に伴い主要成分,特に旨味成分が低下する.
    飲料の製造工程中の加熱工程により,EC,EGCgが異性化し+C.GCgとなり,著しく増加した.
    2. 原料の摘採時期と製造方法の違いによる各種茶飲料の香気成分の変化について検討した.その結果,原料の摘採時期が早い1番茶で製造した茶飲料には,テルペンアルコール類等の配糖体が多いため,熱による成分変化が激しく不快臭が多く生成すると考えられた.2,3番茶になるにしたがって配糖体量が少なくなるため,不快臭の生成が押さえられると考えられた.
  • 玉井 正弘, 丸子 修, 門 隆興
    1997 年 44 巻 2 号 p. 119-125
    発行日: 1997/02/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
    酢酸濃度が10%(w/v)の食酢の効率的な連続生産を目的として,中空糸膜モジュールを装着して菌体を発酵槽外に排出しない菌体完全濃縮培養と中空糸膜モジュールを装着しない培養を行い,本法における酢酸生産について評価した.
    (1) 中空糸膜モジュールを用いて酢酸菌を発酵槽外に排出させないようして培養することにより,973時間後に菌体濃度は11.27g-dry cell/lに増加した.10%(w/v)濃度の食酢を700hにわたって平均13.Og-aceticacid/(l・h)(膜モジュールを装着していない場合の3.4倍)という高い酢酸生産速度で安定に生産できた.
    (2) 酢酸生産は,増殖と維持代謝に伴うものとに分けることができ,その比率は,前者の方が貢献度は高く,培養が安定した200h以降においてそれぞれ69と31%であった.
    (3) 菌体増殖が安定した108~708hの間での,増殖可能及び酢酸生産可能菌体量は,それぞれ0.35および1.23g-dry cell/lであり,菌体完全濃縮培養法では酢酸生産に寄与しない菌体を時間の経過と共に発酵槽内に多量に蓄積することが認められた.
  • 玉井 正弘, 丸子 修, 門 隆興
    1997 年 44 巻 2 号 p. 126-132
    発行日: 1997/02/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
    中空糸膜モジュールを用いた酢酸の連続生産において,酢酸濃度が10%(w/v)の食酢の効率的な生産と共に菌体濃度の過度の増加を抑制することを目的に,中空糸膜モジュールを用いて濃縮した菌体の一部を培養液と共に発酵槽外に排出する一部排出培養法について検討した.
    (1) 希釈率が約0.07h-1以上では,排出比が高くなるにつれて菌体濃度の変動幅は大きくなったが,菌体濃度はほぼ一定値となり,菌体濃度と排出比との間には次式に示すような直線関係が存在し,菌体濃度は排出比により制御が可能であることが認められた.
    Cx=0.117(1/θ)+0.0551
    (2) 本研究における酢酸生産速度の最大値は,16.6g-acetic acid/(l・h)(膜モジュールを装着していない場合の4.4倍)であった.酢酸生産速度に対する菌体の増殖に由来する酢酸生産速度と維持代謝に由来する酢酸生産速度の比率は,希釈率が高くなるに従って増殖に由来するものが高くなった.本システムにおける高い酢酸生産速度の達成は,高い増殖速度の維持が大きく貢献していることが認められた.
    (3) 希釈率を0.0769h-1,θを0.2の条件下で80日間培養を行い,酢酸と残存エタノール濃度が平均で105.1g-acetic acid/lと4.5g-ethanol/l(0.57%(v/v))の食酢を平均で8.1g-acetic acid/(l・h)の酢酸生産速度と13.8g-acetic acid/(g-dry cell・h)の酢酸比生産速度と0.95g-acetic acid/1.304g-consumed ethanolの収率で安定に生産できた.
  • 本江 薫, 大泉 徹, 林 清志, 川崎 賢一
    1997 年 44 巻 2 号 p. 133-139
    発行日: 1997/02/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
    1988年の1月から7月に石川,静岡,神奈川,兵庫,福井,富山の各県において採集されたホタルイカの一般成分組成,無機質成分およびビタミン含有量を測定した.脂質は3月から5月に最大となる山形を示し,ホタルイカの肝臓中の脂質含量変化を反映していた.無機質成分のうち,CuとMnはホタルイカの体成長と共に3月から7月にかけて増加傾向を示し,特にCuは7月の値が3月の2倍に達した.全体重に占ある肝臓重量の比率は3月以降ほぼ横這いを示すことから,肝臓中のCuとMn含量が増加していると考えた.ビタミンB1は3月から5月にかけて増加したが,5月以降はほぼ一定の値を示し,この変化は主としてチアミン量の増加によるものであった.レチノールおよびトコフェロールはそのほとんどが肝臓由来と考えられ,レチノールは脂質と同様に4月から5月に最大となる山形傾向を示し,トコフェロールは3月から7月にかけて緩やかな増加傾向を示した.採集期間を通じて,ホタルイカが成長を続けていること,およびこの採集期間はホタルイカの産卵期に該当することから,これら栄養成分はホタルイカの成長や産卵と関連して変化することが示唆された.
  • 市川 富夫, 松浦 寿喜, 内田 三香子, 村上 亜由美, 施 紅雲, 君塚 房夫
    1997 年 44 巻 2 号 p. 140-143
    発行日: 1997/02/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
    SHRの血圧ならびに組織過酸化脂質に対するラカンカ果実熱水抽出液の影響を調べ以下の結果を得た.
    1. オリエンタル酵母(株)製粉末MF飼料に重量比が2%,あるいは4%となるようにラカンカ果実熱水抽出物を加えた飼料をSHRに与え,血圧の変化を観察した結果,ラカンカ投与で血圧上昇抑制傾向が見られた.心臓の重量の増加抑制があった.
    2. 組織の過酸化脂質量を測定したところ,肝臓,腎臓ではラカンカ投与群と対照群で差は認められなかったが,心臓ではラカンカ投与群で有意に高値を示し,血漿では有意に低値を示した.
    3. ラカンカ果実熱水抽出液の抗酸化作用は組織によって異なり,必ずしも,本条件下では,一義的に抗酸化作用を持つとはいえなかった.
  • 小嶋 道之, 鈴木 信幸, 大西 正男, 伊藤 精亮
    1997 年 44 巻 2 号 p. 144-148
    発行日: 1997/02/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
    アズキ種子の発芽過程のトコフェロール含量およびクロロホルムーメタノール(2:1)抽出物の抗酸化活性の変動を検討した.全抽出物の抗酸化活性は,吸水7日目まで多少変動したが,10日目以降には著しく減少した.また,非極性脂質(NPL)画分の抗酸化活性は高く,3日目以降は若干減少した.しかし,δ-トコフェロールは吸水1日目以降急速に減少した.また,極性脂質(PL)画分の抗酸化活性は種子にはほとんどみられなかったが,吸水10日目までのそれには20%程度の酸化抑制作用がみられた.アズキ発芽体のクロロホルムーメタノール(2:1)抽出物には,δ-トコフェロール以外にも有効な抗酸化物質(脂溶性の非極性および極性物質)が存在すると考えられる.
  • 笠井 孝正, 長岡 直美, 井上 勝弘, 辻村 卓
    1997 年 44 巻 2 号 p. 149-152
    発行日: 1997/02/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    カラフトマス背肉脂質含有量は1.51±0.28%から2.62±0.36%であり,漁獲時期および雌雄の比較において有意差は認められなかった.脂質含有量は試料の体重が重いほど高い傾向を示した.漁獲時期の違いによる構成脂肪酸の変動については明白な傾向はみられなかった.主要な脂肪酸はCl4:0,Cl6:0,Cl8:0,Cl6:1,Cl8:1,C20:1,Cl8:2,C20:5そしてC22:6であり,これらの総量は全脂肪酸の85%以上を占めた.雄はCl8:0,C18:1,全飽和脂肪酸および全ポリエン酸が高値を示し,雌はC20:1,C24:1そして全モノエン酸含有量が高かった.
    総飽和脂肪酸は25.41±3.09%,総モノエン酸は48.90±6.93%そして総ポリエン酸は21,88±5.32%であった.
  • 和田 直樹, 滝本 真一, 徳永 博之, 馬場 英行
    1997 年 44 巻 2 号 p. 153-155
    発行日: 1997/02/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
    使い捨て型血糖値センサを利用して,真珠養殖用アコヤガイ貝柱内のグリコーゲン定量を検討した.貝柱-酸加熱-冷却-上澄み採取-pH調整-定溶-血糖値センサ測定からなる簡易法を従来法と比較した結果, このセンサ出力と従来法によるグリコーゲン含有率との間で相関係数0.99の直線関係が得られた.また,グリコーゲン含有率2.0%の貝柱を試料にした場合の変動係数は2.8%(n=10)であった.この結果,比較的簡単な設備だけで貝柱内のグリコーゲン量を迅速に測定できるようになった.
  • 安田 俊隆, 篠山 浩文
    1997 年 44 巻 2 号 p. 156-159
    発行日: 1997/02/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
    (1) 各種難水溶性アルコール共存下でのダッタンそば由来ルチン分解酵素(RDE)I,IIの安定性と反応性を調べた.RDEは,1-ヘキサノール,1-ヘプタノール,1-デカノールといった炭素鎖長の長いアルコール20%(v/v)共存下においても高い安定性を保持していたが,反応性は,炭素鎖長とともに低下した.
    (2) 各種難水溶性アルコール10%(v/v)共存下でのRDEによるルチン分解反応生成物について,Asahipak NH2カラムを用いたHPLC分析を行ったところ,ルチノースと異なる位置に現れる新規な生成物が検出され,またこの新規生成物の溶出時間はアルコールの炭素鎖長が長くなるほど速くなった.
    (3) 13C NMRによる構造解析により,1-ペンタノール,1-ヘプタノール,1-デカノール共存下でのRDEによるルチン分解生成物を,それぞれペンチルβ-D-ルチノシド,ヘプチルβ-D-ルチノシドおよびデシルβ-D-ルチノシドと同定した.
  • 中村 弘康, 岡本 春実, 宮木 康有, 浜 芳明, 栗木 隆辮, 岡田 茂孝
    1997 年 44 巻 2 号 p. 160-163
    発行日: 1997/02/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
    クラスターデキストリンは,重量平均重合度900(分子量,約146000)で,構造的にアミロペクチンのクラスター単位を保持し,さらに環状構造を形成している.このクラスターデキストリンにはデンプン糊化液の粘度を低下させ,透明度を上昇(すなわち白濁度を降下)させる効果があることを見出した.また,これらの現象はデンプン糊化液の調製方法に関係なく生じ,さらに同じグルコースの重合体であるマルトースにはこれらの効果が顕著に見られなかった.
  • 山下 純隆, 深堀 奈保子, 馬場 紀子, 古田 正範
    1997 年 44 巻 2 号 p. 164-168
    発行日: 1997/02/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
    グルコースオキシダーゼとカタラーゼを酸素加圧密閉条件下で反応させ,グルコン酸生成速度の向上を図るとともに,濃縮ニンジン汁を原料に生成したグルコン酸による爽快な酸味を持つニンジン飲料の製造を試みた.
    酸素加圧2atm下で17.4mg protein含量のグルコースオキシダーゼとカタラーゼの粗酵素液を反応させると,反応開始10分間のグルコン酸生成量は30gに,その生成速度は180g/l・hに達した.
    酸素加圧下での酵素反応では,加圧程度を強めるほど生成速度は向上し,酸素3atm加圧下で6時間後には52g/lのグルコン酸が濃縮ニンジン汁中で生成した.
    固定化酵素により反復回分反応を行うと,反応回数が増える度にグルコン酸生成速度は徐々に低下し,グルコースを含む緩衝液では6回以上,濃縮ニンジンジュースでは4回以上反応を繰り返すと反応開始時の半分以下の生成速度になった.
    酵素反応を行った濃縮ニンジン汁を,蒸留水と濃縮ニンジン汁原料液で希釈調整すると,まろやかで爽快なグルコン酸の酸味を持つニンジン飲料が製造できた.
feedback
Top