日本食品科学工学会誌
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48 巻, 2 号
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  • 池田 新矢
    2001 年 48 巻 2 号 p. 81-86
    発行日: 2001/02/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    イオン強度及びpHに応じて変化する乳清タンパク質加熱ゲルの網目構造の変化は,ねじり破壊試験によって得られる真の破壊応力及び真の破壊歪に顕著に反映されることが示された.即ち,中性付近のpHにおいてはイオン強度の増加と共に紐状ゲルから球状ゲルへの変化が生じるが,紐状ゲルは大きな破壊歪と小さな破壊応力によって,また,球状ゲルは小さな破壊歪及び小さな破壊応力によって特徴付けられることが確認された.酸性pH下で分子間共有結合が形成されない場合は,破壊歪及び破壊応力共に非常に小さい脆いゲルが形成された.更に,破壊歪に対する破壊応力の比である破壊弾性率や,線形領域における微小歪下で測定された貯蔵弾性率の値に基づいてゲルの官能特性を予測することは容易ではないことが示唆された.
  • 宮口 右二, 矢口 聡志, 堤 将和
    2001 年 48 巻 2 号 p. 87-93
    発行日: 2001/02/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    と畜血液タンパク質の有効利用を目指し,グロビンに牛血清アルブミン(BSA)を添加したグロビン-BSA混合物の加熱ゲル形成性について検討したところ,以下のような結果が得られた.
    (1) グロビン(50mg/ml)単独溶液はゲル化しなかったが,10mg/ml相当のBSAを添加することでゲル化が観察された.また,グロビンおよびBSAをそれぞれ50mg/mlおよび40mg/ml含む混合物の場合,広いpH域(pH 3-9)でゲル化が認められた.
    (2) グロビン-BSA混合物(モル比で5/1)ゲルはpH7で最も高い破断強度を示した.また,同混合物ゲルの保水性はpH 3および9で高かった.
    (3) グロビンでは2.0% (w/v)以上のNaSCNによってゲル化が強く阻害されたが,BSAでは2.5% (w/v)のNaSCNを添加してもゲル化は完全に阻害されなかった.
    (4) グロビン-BSA混合物のゲル強度はNaSCNの影響を受け,pH 7では混合物に1% (w/v)相当のNaSCNを添加することで加熱ゲルの破断強度が高くなった.
  • 天野 義久, 新井 潤一郎, 山中 俊介, 一色 賢司
    2001 年 48 巻 2 号 p. 94-98
    発行日: 2001/02/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    酸素電極法による細菌検出法を食品検査に応用した.
    (1) 従来48時間を要した一般細菌数検査を迅速に行うことが可能であった.105[cfu/g]の場合,6時間で菌数を推定できた.
    (2) 105[cfu/g]以上の偽陰性が観察されず,実用性が確認された.
    (3) 菌数の多いものほど早く結果が出るという特性は,食品微生物検査に適していた.
    (4) 以上の特徴から,本法は食品衛生の向上を目的とする食品細菌検査法として有用であると考える.
  • 寺沢 なお子, 山崎 希, 福井 優美子
    2001 年 48 巻 2 号 p. 99-104
    発行日: 2001/02/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    各種フレッシュハーブの抗酸化能の評価及びカレープラント中のポリフェノール類の分離同定を行ない,以下の結果を得た.
    (1) ロダン鉄法による抗酸化能測定の結果,新たにカレープラント,スイートラベンダーにおいて32mg BHA/ml/g以上に相当する高い抗酸化能が認められた.
    (2) DPPH法によるラジカル消去能測定の結果,ナツメグでは約0.6mg BHA/ml/g,フローレンスフェンネル,イタリアンパセリ,ローズマリー,スペアミント,スイートラベンダー,スーパーアロエでは0.4mg BHA/ml/gと同等かそれ以上に相当する高いラジカル消去能が見られた.
    (3) カレープラントのラジカル消去能は総活性の約25%がポリフェノール由来と考えられた.
    (4) カレープラント中のポリフェノールをHPLCで検出した結果,ヒドロキノン,没食子酸,レゾルシノール,ピロカテコール,クロロゲン酸,(+)-カテキン,ゲンチシン酸,EGCgと思われるピークが検出され,ゲンチシン酸,EGCg,(+)-カテキンが多く含まれていた.またこれらについてラジカル消去能を測定した結果,EGCgが約500mg BHA/ml/gと特に高かった.以上より,カレープラント中ポリフェノールのラジカル消去能はその活性・含量から主にEGCgに由来すると考えられた.
  • 竹炭の調理・加工への利用(第1報)
    福田 靖子, 大石 友子, 貝沼 やす子, 溝口 忠
    2001 年 48 巻 2 号 p. 105-111
    発行日: 2001/02/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    竹を電気炉で一定の昇温速度で炭化して竹炭を作成した各温度の竹炭の性状とフライ油に添加した場合の油の熱酸化防止効果を検討し,以下の結果が得られた.
    (1) 竹は炭化温度が300-400℃で収率が最小となり,収縮率が最大となり,900℃以上ではほどんど変化はみられなかった.精錬度(電気抵抗値)は700℃位から除々に電気抵抗はなくなり,800℃で48.7±15Ω, 900℃以上では10Ω未満となった.比表面積は炭化温度とともに増加し,600℃で8.89m2/g, 800℃で314.21m2/g,900℃で419.80m2/gとなったが,1000℃では11.69m2/gと急激に減少した.
    (2) 500℃非通電炭,800℃通電炭,1100℃通電炭を1cm角に切断し,油に20%添加180℃, 6h加熱後のAn. Vは500℃炭は平均値で151.4,無添加油150.2であり,同程度に酸化されていた.800℃, 1100℃炭は,54.7, 59.1と低く,非通電炭より通電炭の方が油の酸化防止力は高かった.
    (3) 800℃と1100℃炭の比較では800℃の方が酸化防止力は高く,添加量は1%では酸化防止力はなく,800℃炭の5%と10%添加とも油の酸化防止力は高く,その差はわずかであった.
    (4) 形状の異なる800℃炭を5%油に添加し,180℃ 6h加熱後の油の酸化防止力は,粒径0.5-1.0mm>0.5mm未満>1.0mm以上,1cm角状の順に高かった.
    (5) 800℃炭を5%油に添加し,180℃ 6h加熱後の竹炭内と竹炭外の油の酸化の比較では竹炭内の方が酸化が防止されていた.
  • 大西 理恵子, 原 安夫, 新井 映子
    2001 年 48 巻 2 号 p. 112-118
    発行日: 2001/02/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    古米をアルカリ性水および水道水で炊飯し,米飯特性を比較した.アルカリ性水で炊飯した米飯は,水道水で炊飯した米飯と比較して,炊飯1時間後の硬さの値が低下し粘りの値が上昇したことから,アルカリ性水による炊飯は,古米の米飯テクスチャー改変に有効であることが確認された.一方,アルカリ性水で炊飯した米飯は,水道水で炊飯した米飯と比較して,保存12時間以降のテクスチャー特性値が低下して老化感のスコアが増し,保存による品質低下の大きいことが判明した.
    でんぷんゲルによるモデル実験から,アルカリ性水ででんぷんを糊化させると,糊化でんぷんの老化が早く進行することが確認された.このことが,アルカリ性水で炊飯した米飯のテクスチャー低下に関与していると推察された.
    アルカリ性水で炊飯した米飯の保存によるテクスチャーの低下を遅延させるためには,トレハロースまたはPPGMの添加が有効であった.
  • 河原 芳和, 中村 眞樹子, 阪上 泉
    2001 年 48 巻 2 号 p. 119-125
    発行日: 2001/02/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    亜硝酸塩無添加塩漬の際の乾塩漬と湿塩漬のマイクロフローラの相違と乾塩漬と湿塩漬を組み合わせた二段階塩漬によって塩漬中のマイクロフローラを制御し,かつ消費者に受容される食塩濃度のハムを製造することを目的として本研究を行ったところ,次のような知見を得ることができた.
    (1) 原料肉重量に対し3%または6%の食塩を使用した1または3日間の乾塩漬をすることによって乳酸菌を除き原料肉表面の菌を抑制できる.
    (2) 湿塩漬に比べ,乾塩漬は一般生菌,グラム陰性桿菌,グラム陽性球菌を有意に抑制し,効果的な抑菌が期待できる.
    (3) 乾塩漬後,湿塩漬を行う二段階塩漬は一次塩漬を食塩濃度6%・3日以下の乾塩漬とし,二次塩漬で塩漬液の食塩濃度を調整し,製品食塩濃度2%以下の製品を得ることが可能である.
    (4) 二段階塩漬,特に食塩濃度3%・3日間の乾塩漬試験区では湿塩漬よりもグラム陰性桿菌とグラム陽性球菌を塩漬期間を通して低く保つことができる.
  • UHT牛乳の官能特性および物理化学的性状に関する研究(第5報)
    岩附 慧二, 松井 洋明, 溝田 泰達, 外山 一吉, 住 正宏, 冨田 守
    2001 年 48 巻 2 号 p. 126-133
    発行日: 2001/02/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    UHT牛乳の物理化学的性状および官能特性に及ぼす均質圧力の影響を把握することを目的に,間接加熱法で130℃で2秒間の殺菌を行ったUHT牛乳について検討を行った.
    なお,官能特性については,専門パネルによる官能評価を行い,また,嗜好については,一般消費者である主婦パネルによる官能評価を行った.
    (1) 均質圧力を高くするに従って,脂肪球は細分化され,脂肪球平均粒子径は減少した.これに伴い,UHT牛乳の粘度,白色度,屈折率は,それぞれ増加する傾向にあった.また,レンネット凝固能については,均質圧力を高くするに従って,減少する傾向にあった.
    (2) 10℃保存中における脂肪浮上率(クリーミング)は均質圧力が高く,脂肪球が細かくなる程減少し,クリームラインの形成が抑制される傾向にあった.また,保存日数が長くなる程,その傾向が顕著であった.
    (3) 風味の属性評価およびそれらの主成分分析の結果,均質圧力が低いほど,脂肪感,コク,ミルク味,甘味が強く,濃厚感の強い牛乳という評価が認められた.逆に,均質圧力を高くすると,さっぱり感が強くなった.
    (4) 主婦パネルによるおいしさの評価の結果,均質圧力が低い方が好まれ,いわゆる濃厚感が強い牛乳の方が好まれる傾向にあった.
  • 柏原 恵子, 丹尾 式希, 久保田 浩二
    2001 年 48 巻 2 号 p. 134-137
    発行日: 2001/02/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    市販納豆よりプロテアーゼを精製し以下のような結果を得た.
    (1) 納豆600gより0.2mgの納豆由来プロテアーゼが精製でき,抽出液より46.9倍に精製され,活性の収率は0.2%であった.分子量はSDS-PAGEで29kDa,質量分析で28077.4と測定された.
    (2) N末端21残基のアミノ酸配列はB. nattoから産生される菌体外プロテアーゼやナットウキナーゼと一致した.
    (3) 等電点9.6を示すアルカリプロテアーゼであった.
    (4) 過ギ酸酸化インシュリンB鎖に対して既知ズブチリシンでは報告のないAla14-Leu15の箇所を切断した.
  • 山内 宏昭, 高田 兼則, 桑原 達雄
    2001 年 48 巻 2 号 p. 138-141
    発行日: 2001/02/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    10g少量生地を用いる簡便な生地物性測定法を確立し,この測定法によって得られる生地物性値(破断力,破断変形,物性比,破断エネルギー)と製パン比容積との関係について検討した結果,破断力,物性比と比容積との間には明らかな正の相関,破断変形と比容積の間には明らかな負の相関が認められたが,破断エネルギーとはほとんど相関がなかった.これらの結果は,破断エネルギーの結果以外従来法のエクステンソグラフによる物性測定値と比容積との関係について,一般に言われている結果とかなり一致した結果であった.本法は,少量小麦粉サンプルでの物性測定が可能であるため,育種初期世代での小麦粉の製パン性の評価への応用が期待できる.
  • 安藤 貞, 西田 武弘, 石田 元彦, 河智 義弘, 加味 亜希子, 瀬 寿美子
    2001 年 48 巻 2 号 p. 142-145
    発行日: 2001/02/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    乳牛の飼料にシナモン,バジル(ハーブミックス1)及びキャラウエイ,ローズマーリー(ハーブミックス2)からなるハーブミックスを乳牛に給与したところ,1期では牛乳中へハーブ成分の移行が確認され,ハーブミックス1では牛乳臭が低下するなどの風味の改善がみられたが,ハーブミックス2では風味の改善がみられなかった.2期では牛乳中へハーブ成分の移行が確認されなかった.
  • 丸 勇史, 大西 淳, 山口 信也, 小田 泰雄, 掛樋 一晃, 太田 泰弘
    2001 年 48 巻 2 号 p. 146-149
    発行日: 2001/02/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    We examined an estrogen-like activity in the pomegranate (Punica granatum) juice. The juice or its methanol eluate from C18 cartridge competed with 17β-estradiol for estrogen receptor (ER) binding and also stimulated proliferation of human ER-positive cell (MCF-7) in vitro. Furthermore, they effectively increased uterine weight in the ovariectomized rat. On the basis of these data, we concluded that the pomegranate juice contained estrogen-like compounds.
  • 高崎 義幸
    2001 年 48 巻 2 号 p. 150-156
    発行日: 2001/02/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
  • 松本 清, 受田 浩之
    2001 年 48 巻 2 号 p. 157-163
    発行日: 2001/02/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
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