日本食品科学工学会誌
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46 巻, 5 号
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  • 飯島 明彦, 佐々木 仁, 若松 博之, 渡辺 杉夫, 前田 好美
    1999 年 46 巻 5 号 p. 279-284
    発行日: 1999/05/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
    わが国の伝統的発酵食品,糸引き納豆が発酵過程で発生する熱量を測定した.丸大豆を用いた納豆の場合,2段階の発熱を示した.菌体量を濁度であらわした増殖曲線は熱曲線とよく対応した.大豆を切断したり種皮を除去して発酵させた納豆では,2段階の発熱は示さなかった.したがって,2段階の発熱には種皮が影響することが分った.納豆菌の一次増殖によって生産された何らかの分泌酵素によって大豆の種皮が部分的に分解され,透過してきた栄養分を利用して二次的に納豆菌が増殖したか,または増殖を伴わない二次的な代謝が行われたためと推察された.
    最も発熱速度が大きく,かっ発熱がピークに達する時間も短い温度は42℃~47℃で,工業的な納豆製造における品温に対応した.
  • 佐藤 恵美子, 井藤 竜平, 山野 善正
    1999 年 46 巻 5 号 p. 285-292
    発行日: 1999/05/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
    「煮つめ法」により調製したゴマ豆腐のテクスチャーに影響する本葛澱粉とゴマの配合割合について,圧縮法を用いてテクスチャー測定と官能検査により検討した.さらに,テクスチャー測定値と官能検査について相関性を検討した.
    1) 硬さ,付着性及びガム性は,本葛澱粉やゴマの添加量の増加に伴い増加した.凝集性は,本葛澱粉の添加量の増加に伴い増大するが,ゴマの添加量の増加に伴い減少した.
    2) 官能検査の結果から,硬さは本葛澱粉,ゴマの添加量の増加にともなって硬くなった.口ざわりの順位は,本葛澱粉が30g,ゴマ40gの試料が最も高く,本葛澱粉の濃度が低い方が喉ごしがよいとして評価された.弾力はゴマの添加量の増加に従って減少した.嗜好の総合評価はゴマ40~60gの間で高い評点を示した.以上の結果から,本葛澱粉1の場合,ゴマの添加量1~2倍,加水量10~11倍の割合が適度な軟らかさ,口ざわり,弾力性があり,最も好まれた.
    3) テクスチャーの硬さと官能検査の硬さ(評点)の関係には,高い相関性が認められ,本葛澱粉添加量の影響では(r=0.94, p<0.001)であり,ゴマの添加量の影響では(r=0.92, p<0.001)であった.付着性と官能検査の粘りについては,本葛澱粉量の影響において,負の相関性(r=-0.55, p<0.O1)を示した.また,テクスチャー測定の硬さと官能検査の口ざわりでは,高い負の相関(r=-0.96, p<0.001)が得られた.一方,ゴマの添加量の影響では凝集性と硬さ(評点)に負の高い相関(r=-
  • 伊藤 新次, 吉岡 薫, 寺川 美加, 関口 陽子, 小久保 謙一, 渡辺 敦夫
    1999 年 46 巻 5 号 p. 293-302
    発行日: 1999/05/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
    種々の加工食品の資材として利用可能なハチミツの開発を目的として,カステラの膨らみ不良および清涼飲料水の沈殿の原因の検討,ハチミツに含まれる微生物の測定を行った.さらに,膜処理によるそれらの問題の解決を試みた.カステラ,清涼飲料水,微生物の混入を避けたい食品などに添加できる食品資材用ハチミツが膜処理により製造できることが判明した.以下に得られた結果を要約する.
    (1) ハチミツ添加カステラの膨らみ不良やきめ細かさの低下は,総アミラーゼ活性値が大きいハチミツほど顕著に現れた.
    (2) 果汁入り飲料にハチミツを添加した時に現れる沈殿はハチミツ中の水溶性タンパク質量と相関があった.
    (3) ハチミツを希釈した時の濁度は,弱酸性域で大きく,低pH域および中性域で小さかった.
    (4) ハチミツには沸騰浴中で10~30分の耐熱性を有する菌が存在し,加熱殺菌は困難である.
    (5) 分画分子量10000の限外濾過膜でハチミツを濾過したところ,アミラーゼ,水溶性タンパク質,微生物をすべて除去できた.
  • 田村 貴起, 竹中 陽子, 竹中 哲夫
    1999 年 46 巻 5 号 p. 303-310
    発行日: 1999/05/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
    酸化に対して比較的安定なおからに存在する抗酸化物質に着目し,その主要物質について検討した.
    1. おからをヘキサン可溶性画分(HSF),エタノール可溶性画分(ESF)及び熱水可溶性画分(WSF)に分け,各画分の抗酸化力を測定したところ,WSFに強い抗酸化力が認められた.
    2. WSFを透析およびDOWEX 50W X-2カラムクロマトグラフィーにて精製したWSF-S-A中に大豆由来抗酸化物質であるサポニン類,イソフラボン類,トコフェロール類及びフィチン酸は検出されず,91%以上を分子量10000以下のペプチドとアミノ酸が占めていた.
    3. WSF-S-Aには数種の抗酸化ペプチドが存在していたが,分子量800~1400のペプチドが比較的抗酸化力が強く,その構成アミノ酸には抗酸化力の強いメチオニンやヒスチジン等も含まれていた.
    4. WSF-S-Aは酸性下で特に安定であり,沸騰水浴中で2h加熱してもその活性は低下しなかった.また,l0%のNaCl添加でも影響は見られなかった.
  • 石川 健一, 加藤 丈雄, 小宮 孝志
    1999 年 46 巻 5 号 p. 311-318
    発行日: 1999/05/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
    発酵漬物に乳酸菌スターターカルチャーを利用することを目的とし,乳酸菌の選択と風味の向上効果について検討を行った.
    (1) 供試した48菌株の乳酸菌のうち9株は低温増殖能を有していた.特にLeuconostoc sp.D-133株,Lactobacillus casei L-14株は何ら栄養補給することなく緩やかに増殖し,有害微生物の生育を阻止して長期発酵を行うことができた.
    (2) 乳酸発酵大根の香気成分分析を行った結果,D-133株を接種して60日を経過すると「こく」や「まろやかさ」に関与するといわれている2,3-ブタンジオールが220μg/ml生成した.また,一定量以上の生成で不快臭となるアセトアルデヒド,アセトイン,ジアセチルはほとんど生成しなかった.
    (3) L-14株接種では遊離のグルタミン酸は培養開始時に2.6mg/100gであったのが,発酵60日後に16mg/100gとなり,うま味成分が増加することが明らかとなった.
    (4) D-133株,L-14株を接種した大根では,対照と比べてa値とb値の増加が抑制され,肉眼的にも白色が維持されたことから,乳酸菌接種による変色防止効果が確認された.
  • 奥 和之, 茶円 博人, 福田 恵温, 栗本 雅司
    1999 年 46 巻 5 号 p. 319-322
    発行日: 1999/05/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
    魚肉加熱時のトリメチルアミン(TMA)生成に及ぼすトレハロース添加の影響について検討した.
    1. サバ肉ミンチにトレハロースを添加して加熱した場合の気相中のTMA濃度は,糖質無添加系の64%であった.マルトースおよびネオトレハロース添加系では,それぞれ84%および90%であり,グルコース,フルクトースおよびスクロース添加による影響は認められなかった.
    2. サバ肉加熱後にトレハロースを添加した場合,またはTMA水溶液にトレハロースを添加して加温した場合には,気相中TMA濃度は糖質無添加系と差がなかった.
    3. 加熱によるサバ肉中のトリメチルアミンオキシド(TMAO)減少量は,トレハロース添加系では糖質無添加系の40%であり,TMA生成量も糖質無添加系の37%と低かった.
    以上の結果から,トレハロースは,加熱によるTMAOからのTMA生成を抑制することが明らかになった.
  • 杵淵 美倭子, 関谷 美由紀, 山崎 彬, 山元 皓二
    1999 年 46 巻 5 号 p. 323-328
    発行日: 1999/05/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
    1. コシヒカリの原料玄米中の遊離アミノ酸
    コシヒカリの原料玄米からは6.4mgのGABAが抽出された.特に多く含まれていた遊離アミノ酸はアスパラギン,アスパラギン酸,グルタミン酸であった.
    2. 圧力処理による玄米の水分変化
    400MPaの圧力処理によって玄米中の水分の吸収が早まった.700MPaの場合は圧力処理直後の水分吸収が顕著であった.しかしそれ以降の吸水は無処理のものと比較して大きな差が認められなかった.
    3. 圧力処理および浸潰時間による玄米中へのGABAの蓄積
    (1) 400 MPaで圧力処理を施し,25℃で浸漬した玄米からは10時間で13.0mg,18時間で18,3mgのGABAが抽出された.200MPa,700MPaでは400MPaよりGABAの蓄積量が少なく,無処理では更に少なかった.
    (2) 玄米と水が1:1(w/w),1:0.3(w/w)の場合とも10時間後に玄米中へ蓄積されたGABAの量に違いは認められなかった.
    4. その他の遊離アミノ酸の変化(1) 玄米を浸漬することによって多くの遊離アミノ酸が増加したが,400MPaで圧力処理を施した後に浸漬をした場合にはそれが顕著であった.GABAの基質であるグルタミン酸も増加した.しかし圧力処理の有無にかかわらず浸漬中にアスパラギンとアスパラギン酸は減少した.
    (2) 圧力処理後浸漬を施した玄米中には無処理に比較して制限アミノ酸であるリジンの増加が認められた.
  • 杵淵 美倭子, 関谷 美由紀, 山崎 彬, 山元 皓二
    1999 年 46 巻 5 号 p. 329-333
    発行日: 1999/05/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
    1. 圧力処理による玄米中の微生物の変化
    (1) コシヒカリの玄米中には,好気的・通性嫌気的な微生物が3.3×106 cfu/g検出された.25℃で浸漬すると18時間後には3.7×107 cfu/gまで増殖した.玄米と水を1:1として圧力処理を施した場合,圧力処理直後には400MPaで1.3×102 cfu/g,700MPaで1.0×10 cfu/gに減少した.18時間後には400MPaで2.1×104 cfu/g,700MPaで8.5×104 cfu/gまで増殖した.玄米と水を1:0.3として圧力処理を施した場合,圧力処理直後には400MPaで1.7×104 cfu/g,700MPaで1.1×104cfu/gに減少した.18時間後には400MPaで2.0×106cfu/g,700MPaで2.8×106 cfu/gまで増殖した.
    (2) 圧力を媒介として殺菌効果を十分なものにするためには,玄米1に対して水0.5以上が必要で,微生物の増殖を考慮すると,GABAを蓄積するための浸漬時間は10時間が一つの目安となった.
    2. 玄米米飯のGABAの蓄積量
    玄米に水を1.3倍量加えて27℃で10時間浸漬し,浸漬水を捨てずに炊飯すると,乾物100gの米飯中に12.0mgのGABAが含まれていた.
    3. 圧力処理を施して製造した加工玄米の性質
    加工玄米は,吸水を開始して1時間後には30%の水分となり,未加工の玄米が水中で平衡となる水分の94%が吸水されていた.無処理の約1/3の時間で吸水が可能となった.加工玄米のアミログラムの結果,最高粘性点の粘度は約10%程低下した.しかし膨化玄米に比較して澱粉の損傷が少ないことが観察された.加工玄米の一般生菌数は10 cfu/g,GABAの蓄積量は13.0mgであった.
  • 大久 長範, 菅原 真理, 菅原 久春, 一色 賢司
    1999 年 46 巻 5 号 p. 334-338
    発行日: 1999/05/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
    大腸菌Ol57(CR-3,CE-273)を接種したワラビに,カキ殻由来のカルシウム製剤を0.2%になるように添加したところ,生菌数が減少した.しかし,このワラビを乳糖肉汁液体培地に移したところ,ワラビ中のOl57は増殖した.
    0.2%カルシウム製剤の存在下で60~70℃,10分間ワラビを処理するとOl57は完全に滅菌された.しかし,カルシウム製剤が存在しないと,同温度条件で完全に滅菌できなかった.
    カルシウム製剤と温度処理の併用はワラビ等の山菜の大腸菌群を抑制するための有効な方法と考える.
  • 外山 一吉, 浅野 祐三, 井原 啓一, 高橋 清孝, 土井 一慶
    1999 年 46 巻 5 号 p. 339-345
    発行日: 1999/05/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
    (1) ファットスプレッドのような半固体状の乳化物であっても撹拌乳化で調製されたものより膜乳化によるもののほうが,冷蔵時では分散粒子径変化の点で安定であることが判明した.
    (2) 凍結解凍時においても膜乳化法によるファットスプレッドのほうが撹拌乳化法によるものより安定である事が判明した.
    (3) 撹拌乳化法で調製されたファットスプレッドでは油相部の結晶量が多いものほど顕著に,保存後3日から7日の間に分散粒子の細分化が観察され,油脂の結晶構造が分散粒子の存在状態に大きな影響を及ぼしていることが推察される.このことは,ファットスプレッドの白色度変化からも示唆された.
    (4) 油相部の固体脂指数(SFI)は分散粒子が細分化されている期間においてもほぼ一定であるため,分散粒子の微細化は保存中における結晶量の増加によるものではないことが判明し,その原因としては油脂の結晶構造の変化によるものが考えられる.
    (5) 膜乳化法によるファットスプレッドの白色度は撹拌乳化法のものよりも大きく,ファットスプレッドの白色度はその安定性を反映しているものと考えられる.
    (6) 本結果より,ファットスプレッドにおいて膜乳化法で,従来法(撹拌乳化法)より安定なファットスプレッドを得ることができた.
  • 山下 純隆, 久保田 朗, 深堀 奈保子
    1999 年 46 巻 5 号 p. 346-351
    発行日: 1999/05/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
    撹拌槽型や充填層型リアクターを利用して,シュウ酸オキシダーゼにより,緩衝液やショウガ搾汁液中のシュウ酸の除去を試みた.
    撹拌槽型リアクターにより酸素加圧latm下でシュウ酸オキシダーゼを含む乾燥麦芽根を反応させると,反応開始15分間のシュウ酸分解速度は緩衝液では452mg/h・g-乾燥根に,ショウガ搾汁液では104mg/h・g-乾燥根に達した.また,反復回分反応を行うと,反復回数が増える度にシュウ酸分解速度は急速に低下し,3回目の反応では初回反応開始時の半分以下の分解速度になった.充填層型リアクターにより酸素通気を行いながら,空間速度SV=41.7h-1で通液した時の,シュウ酸分解速度は緩衝液では77mg/h・g-乾燥根に,ショウガ搾汁液では28mg/h・g-乾燥根に留まった.
  • 盛永 宏太郎
    1999 年 46 巻 5 号 p. 352-355
    発行日: 1999/05/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
    粉砕後に焙煎した大豆と粉砕せずに焙煎した大豆のトリプシン消化阻害,その他を調べて次の所見を得た.
    (1) 粉砕後に焙煎した大豆のCL液可溶区分のタンパク質は未加熱大豆に比較して,3分の1量に減少したのに対して,粉砕せずに丸のまま焙煎した大豆は約10分の1量に減少し,前者の加熱不溶化するタンパク質量が少ないことが認められた.
    (2) 粉砕後に焙煎した大豆を,カゼインに添加してトリプシン消化したものはカゼインの消化が大きく阻害され,生大豆に酷似する阻害の程度を示した.粉砕せずに焙煎した大豆では,顕著な消化阻害は認められなかった.
    (3) 粉砕せずに丸のまま焙煎した大豆は加熱処理によって,TI活性値が20分の1に減少した.しかし,粉砕後に焙煎した大豆では,TI活性値は2~3割減少するだけであり,両者に大きな差異があることが認められた.
  • 徳安 健
    1999 年 46 巻 5 号 p. 356-360
    発行日: 1999/05/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
  • 三好 恵真子
    1999 年 46 巻 5 号 p. 361-364
    発行日: 1999/05/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
  • 添田 孝彦
    1999 年 46 巻 5 号 p. 365
    発行日: 1999/05/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
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