日本食品科学工学会誌
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52 巻, 1 号
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総説
報文
  • 境田 博至, 渡司 奈穂子, 中原 徳昭, 甲斐 孝憲, 榊原 陽一, 西山 和夫, 水光 正仁
    2005 年 52 巻 1 号 p. 19-26
    発行日: 2005年
    公開日: 2007/04/13
    ジャーナル フリー
    本格焼酎のきき酒で重要な含み香を再現するために, SPMEファイバーを装着したRASを用いて分析を行った. その結果, それぞれの本格焼酎で, 含み香を表すWSAM区分は立ち香に相当するstd区分と比較して全体的に揮発性成分の放散が減少することが分かった. この減少の原因はα-アミラーゼであることが判明した. さらに, 中鎖脂肪酸エチルエステルのモデル溶液を用いて分析を行ったところ, 長鎖脂肪酸エチルエステルの濃度の増加は, 含み香には影響無いが立ち香に強く関与することが明らかとなった.
  • 河野 一世, 早川 文代, 香西 みどり, 畑江 敬子
    2005 年 52 巻 1 号 p. 27-33
    発行日: 2005年
    公開日: 2007/04/13
    ジャーナル フリー
    中国製鶏湯14種, 日本製鶏湯14種およびかつお昆布だし4種について, IMP, GMP, 遊離アミノ酸, 糖, 有機酸, ミネラルなどの成分分析とニオイセンサーによる分析を行った.
    その結果, 中国製鶏湯はグルタミン酸が有意に多く含まれ, おそらくMSGが添加されたうま味のあるスープといえる. 一方日本製鶏湯はTauとKが有意に多く含まれ, 標準偏差が大きく有意の差を出すには至らなかったがIMPが多い傾向にあった他, うま味および甘味を有するアミノ酸類が比較的多く含まれていた. 主成分分析から日本製鶏湯とかつお昆布だしは近くに位置し, 中国製鶏湯とは離れて分布した. 判別分析の結果, 3種の試料は呈味成分によって判別できることが分かった.
    また, 中国製鶏湯と日本製鶏湯, かつお昆布だしはニオイセンサーによっても判別できることが分かった.
    同じ鶏を主とするスープではあるが, 日本と中国では, 味とにおいがやや異なるものを食べていると考えられる. このことこそが, 日本人と中国人の食生活の違いを反映し, 嗜好の違いを示していると考えられるが, 今後さらに検討を要する.
  • 熊沢 賢二, 増田 秀樹
    2005 年 52 巻 1 号 p. 34-40
    発行日: 2005年
    公開日: 2007/04/13
    ジャーナル フリー
    緑茶飲料の香気変化に及ぼす加熱条件の影響について検討し, 以下の結果を得た.
    1) 2種類の加熱条件にて調製した緑茶の香気をAEDAにて比較したところ, 加熱による香気変化に大きく影響する6成分は両者に共通して増加した. しかし, 加熱条件により各成分の増加する割合には違いが認められた. すなわち, linalool, β-damascenone, geraniolおよび2-methoxy-4-vinylphenolはレトルト殺菌の条件で最も高い寄与度を示したのに対して, methionalはUHT殺菌の条件で最も高い寄与度を示した. これらの成分の変化は, 官能評価における香調変化の多くと一致したことから, 加熱条件の異なる緑茶の香気差は香気変化に関与する成分の種類の差ではなく, 各成分の含有量の違いにより生ずることを推定した.
    2) 加熱による緑茶の香気変化に関与する6成分の生成量と加熱条件の関係について検討したところ, 香気変化に関与する成分は, a) 低温あるいは短時間の加熱で生成するが, 加熱温度が高まるあるいは長時間になると減少するもの, b) 低温あるいは短時間の加熱で生成し, 温度あるいは時間が増加しても急激な生成量の増加が認められないもの, c) 低温あるいは短時間の加熱での生成量は少ないが, 加熱温度が高まるあるいは加熱が長時間になると急激に増加するものの3種に大別することができた. このように香気変化に関与する成分と加熱条件の関係が各々の成分で異なるため, 加熱条件の異なる緑茶は香気差を生じることを推定した.
  • 小林 美緒, 沖 智之, 増田 真美, 永井 沙樹, 福井 敬一, 松ケ野 一郷, 須田 郁夫
    2005 年 52 巻 1 号 p. 41-44
    発行日: 2005年
    公開日: 2007/04/13
    ジャーナル フリー
    紫サツマイモジュースに含まれる血圧降下作用を発現する成分を特定することを目的として, 「アヤムラサキ」から紫サツマイモアントシアニン含有物 (PSP-ANT) を調製し, 高血圧自然発症ラット (SHR) を用いてPSP-ANTの降圧効果について検討を行った. その結果, 400mg/kg PSP-ANTの単回経口投与では, 投与2時間後にはコントロール群と比較して有意な降圧効果 (p<0.05) が認められ, 本効果は投与8時間後まで持続することが示された. PSP-ANTの血圧上昇抑制効果はPSP-ANTを0.1%あるいは0.2%混合した食餌を用いた長期投与でも確認され, PSP-ANTの給餌を中断すると血圧はコントロール群と同レベルになった. 以上の結果, 紫サツマイモによる血圧降下作用にはPSP-ANTに含まれている成分, アントシアニンが関与していることが示唆された.
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