日本食品科学工学会誌
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71 巻, 1 号
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技術論文
  • 河野 凜々安, 西塔 正孝, 永井 毅
    原稿種別: 技術論文
    2023 年 71 巻 1 号 p. 1-11
    発行日: 2024/01/15
    公開日: 2024/01/15
    [早期公開] 公開日: 2023/09/15
    ジャーナル 認証あり

    本研究では, 小豆と米麹を用いた砂糖無添加の発酵あんの開発を試みた. 異なる9種類の麹菌のなかでは, 清酒用こうじ菌 (特別吟醸用) は発酵あんの調製に適した麹菌であった. 米麹と蒸煮小豆の混合比率を変化させた場合, 米麹:蒸煮小豆 = 1 : 1が原材料組成として望ましかった. また, 予め粉砕・分級した米麹粉 (粒子径212–425 μm) を用いて55 ℃-3日間発酵させることで, ざらつき感が弱く, なめらかで口溶けの良いあんとなった. 市販小豆あんと比較して, 発酵あんは赤色度および黄色度の高いあざやかな色彩と, 適度な硬さ, 付着性ならびに粘りを有していた. さらに, 糖組成と遊離アミノ酸組成も異なることから, 特徴ある呈味特性を有したあんであった. なお, Brix%ならびにエネルギーは低く, 麹菌の産生するGABAを豊富に含むため, 消費者の健康志向に対応した新たなあんとして期待できると結論づけた.

  • 水野 義隆, 西村 園子, 椛島 真一郎, 鍋田 優, 早川 文代, 稲津 康弘
    原稿種別: 技術論文
    2023 年 71 巻 1 号 p. 13-21
    発行日: 2024/01/15
    公開日: 2024/01/15
    [早期公開] 公開日: 2023/09/19
    ジャーナル 認証あり

    カット野菜の製造工程では喫食サイズにカットした野菜を次亜塩素酸ナトリウム水溶液により殺菌することが多く, それが野菜の食味変化や褐変などの原因となることもある. 一方, カット野菜の殺菌にはオゾン水も利用できる. 本研究は, 原体野菜のカットの際にスライサーに界面活性剤を含むオゾン水をかけ流す製造方法 (以下, 新製法) と, 水を流しながら同様にカットし, その後, 次亜塩素酸ナトリウム水溶液による浸漬処理を行う製造方法 (以下, 通常製法) の野菜の殺菌および品質に与える影響を比較した.

    菌数評価では, カットキャベツ, カットレタスおよびカット大根において, 新製法区の一般細菌数および大腸菌群数は通常製法区と統計的に有意な差はみられなかった. 成分分析では, カットキャベツおよびカット大根において, 通常製法区のアスコルビン酸含有量が新製法区に比べ有意に低下していた. 外観評価では, カットキャベツおよびカット大根において, 通常製法区は変色したのに対して, 新製法区では変色が認められなかった. 官能評価では, カットキャベツにおいては通常製法区は甘味が弱くなり, カット大根においては通常製法区はシャキシャキ感と甘味が弱くなり, 薬品臭, 苦味および水っぽさが強くなったのに対して, 新製法区では水洗いに近い食味であった.

    以上の結果より, 新製法は通常製法と同等の菌数を示し, 野菜本来の食味・外観を劣化させにくいことが判明した. さらに新製法は通常製法と比較すると浸漬処理工程を省略できることから, 製造時間の短縮や使用水量の低減につながる技術として利用できるものと考えられる.

  • 橋本 まき, 小谷口 美也子, 松本 裕貴, 琴浦 聡, 湯浅 浩気, 青木 基, 中根 正人, 北村 進一
    原稿種別: 技術論文
    2024 年 71 巻 1 号 p. 23-29
    発行日: 2024/01/15
    公開日: 2024/01/15
    [早期公開] 公開日: 2023/09/27
    ジャーナル 認証あり

    機能性表示食品の機能性関与成分のルーチン分析で求められるスループット性を考慮して, 構築したNP-HPLC簡易法の定量値の妥当性を検証した. ソフトカプセル2粒当たりのプラズマローゲン量をNP-HPLC簡易法と2D-HPLC法で分析し, 得られた定量値と比較したところ, 有意差はみられず定量値の妥当性が確認できた. NP-HPLC簡易法はソフトカプセルやその他の食品中プラズマローゲン含有量について日々のモニタリングに活用できると考える.

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