澱粉はそのゲル物性を利用して,様々な食品のテクスチャーを変化させるために利用されている.我々は
α-アミラーゼによるタピオカ澱粉粒の限定的な加水分解処理が,澱粉のゲル物性を高める画期的な技術であることを報告した(
J. Appl. Glycosci.,
61, 15-20 (2014)).今回,この新しい酵素処理技術と,従来から澱粉のゲル物性改変のために広く利用されてきた化学的架橋化技術とを組み合わせることを試みた.未加工タピオカ澱粉,リン酸架橋タピオカ澱粉,そしてそれを
A. niger 由来
α-アミラーゼで処理した
α-アミラーゼ処理リン酸架橋タピオカ澱粉を準備し,糊化特性とゲル物性について評価した.分析した3つの澱粉の中で,
α-アミラーゼ処理リン酸架橋タピオカ澱粉は最も弾力に富むゲルを形成することが確認され,酵素処理技術がリン酸架橋澱粉に影響を与えることが示唆された.
今後は,酵素処理技術と化学修飾との組み合わせにより,これまでにない新たな物性を示す澱粉をさらに作り出していきたいと考えており,食品·非食品分野全般において,広く活用されていくと期待される.
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