日本食品科学工学会誌
Online ISSN : 1881-6681
Print ISSN : 1341-027X
ISSN-L : 1341-027X
69 巻, 12 号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
報文
  • 山谷 祥史, 細川 雅史, 宮下 和夫
    原稿種別: 報文
    2022 年 69 巻 12 号 p. 549-555
    発行日: 2022/12/15
    公開日: 2022/12/15
    ジャーナル フリー

    ニンニク抽出液およびニンニク関連化合物の抗酸化作用をDPPHラジカル消去試験で評価した. 水溶性含硫化合物では, ALおよびGlu-PECのラジカル消去率が高かった. ニンニク抽出液では, 国産ニンニクと比較して輸入ニンニクで収穫後に長期貯蔵することで生成するIALと, それが熱反応により変化して生成するCAが検出された. また輸入ニンニクは褐変度も高かった. そのため輸入ニンニクには熱が加わったものと考えられた. 輸入ニンニクは国産ニンニクと比較して褐変度が高く, メイラード化合物が多かったためか, ラジカル消去率が高かった. ニンニクのラジカル消去率については, 含硫化合物の含量に加え, 褐変度も併せて考慮する必要があると考えられた.

    脂溶性含硫化合物では, アリシンと1, 3-VDのラジカル消去率が高かった. アリシンを含む脂溶性含硫化合物を魚油に添加したところ, 50℃, 24時間の保持で, POVが12以下となり, アリシンがPOVの上昇を抑制した. アリシンはラジカル消去率も高く, 魚油のPOVの上昇を抑制したことから, 抗酸化作用を示す主要な成分だと考えられた.

技術論文
  • 硯 弘乃介, 村山 真一, 伊藤 智子, 伊藤 裕信, 河野 洋一, 中里 孝史, 中村 宗知, 小竹 英一, 安井 明美
    原稿種別: 技術論文
    2022 年 69 巻 12 号 p. 557-564
    発行日: 2022/12/15
    公開日: 2022/12/15
    ジャーナル フリー

    日本を代表する食品成分のデータべースである成分表への収載のための成分分析は, マニュアルに従い進めている. マニュアルでは, 公表当時最適であると考えられる分析方法を提示したものであるが, クロロホルムを使用した方法が収載されているなど, 環境や人への悪影響が問題となっている. 本検討では, 現行のマニュアルでクロロホルムを使用する卵類の脂質分析および今回検討した5つの食品群の脂肪酸分析において, クロロホルムを使用しない方法への代替が可能であることが確認された. また, 一部の食品において特殊引火物であるジエチルエーテルを使用する脂質抽出法SXに対して, 特定化学物質および特殊引火物を使用しないHIが代替法となりうる可能性が示唆された. 加えて, 加熱状態の溶液にヘキサンを添加しないメチルエステル化法としてFLMが現行のマニュアル法と同等であることが確認された. 以上より, 環境や人に配慮された方法として, メチルエステル化法はFLM, 種実類および卵類の脂質分析はHI, 脂肪酸分析はSPがマニュアル法として適用されることが望ましいと考えられた. 大豆などの極性脂質を多く含む食品の脂質分析においては, 特定の抽出条件における有機溶媒可溶性物質の総質量としての脂質を測定する場合において, 限定的なクロロホルムの使用が必要であると考えられた. 一方で, エネルギー算出を目的とした場合は, SPにて脂肪酸量を測定し, TGEを算出することで, クロロホルムを使用しない方法に代替できると考えられ, 目的に応じた分析法の使い分けが必要であると考えられる.

  • 西村 亮我, 中本 裕之, 小林 太
    原稿種別: 技術論文
    2022 年 69 巻 12 号 p. 565-572
    発行日: 2022/12/15
    公開日: 2022/12/15
    ジャーナル フリー

    食感推定の精度を向上させるために, 食品押し込み時の荷重と振動と音のデータから特徴量を算出し, 推定に使用する方法を提案した. 8種類のサンプルを磁気式食感センサとマイクを併用した食感計測器で計測すると, 荷重と振動と音の計測結果に違いが見られた. この計測データから算出した特徴量のうち, 荷重, 荷重と振動, 荷重と音, 荷重と振動と音の特徴量を使用してGPRにて推定を行うと, ザクザクは荷重と振動で推定を行なった場合が最も推定精度が高く, サクサク, カリカリ, パリパリの3つの食感は荷重と振動と音の3種類の要素を使った場合の精度が高かった. 異なるサンプルで近い値を持つ特徴量を推定に使用すると, 推定精度が低下することが考えられるため, ザクザクにおいても, 標準偏差が小さく, 平均値が他のサンプルと異なる新たな特徴量を用いることで荷重と振動と音を使った場合の精度が向上することが考えられる. 以上より, 他のサンプルと異なる特徴量の値が算出されるサンプルの食感推定には, 荷重と振動と音を用いた食感推定が有効であることが確認された.

研究ノート
  • 山谷 祥史, 能登谷 典之
    原稿種別: 研究ノート
    2022 年 69 巻 12 号 p. 573-578
    発行日: 2022/12/15
    公開日: 2022/12/15
    ジャーナル フリー

    ニンニク (Allium sativum) 加工食品の一つである黒ニンニクの機能性に関する品質向上に資するため, 加温処理前の貯蔵期間と加温処理温度がS-アリルシステイン (S-allyl-L-cysteine, SAC), シクロアリイン (cycloalliin, CA) およびγ-アミノ酪酸 (γ-aminobutyric acid, GABA) 3アミノ酸に与える影響について検討した.

    加温処理前貯蔵期間, 加温処理温度に関わらず, SAC, CA, GABAは加温処理初期に顕著に増加した. その後, 加温処理の継続により, SACとGABA含量は減少したが, CA含量に大きな変化はなかった. 原料ニンニクの処理前貯蔵 (-2℃) 期間の影響は, SAC含量やGABA含量に比較して, CA含量において大きいことが示された. 65℃と75℃の加温処理温度では, CAは処理温度の影響は小さかったが, SACとGABAは65℃処理より75°C処理で処理期間中の減少が顕著であった.

feedback
Top