日本食品科学工学会誌
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64 巻 , 11 号
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報文
  • 守田 和弘
    2017 年 64 巻 11 号 p. 527-532
    発行日: 2017/11/15
    公開日: 2017/11/28
    ジャーナル フリー

    搗精歩合の異なる六条皮麦における発芽処理がGABA生産および炊飯後の物性に及ぼす影響について検討した.発芽処理によりGABA含量の蓄積が認められ,GABA生成は搗精歩合が高いほど多かった.最適な発芽処理条件について検討を行ったところ,GABA生産および浸漬中の生菌数増殖の関係から,25℃で16時間の浸漬処理が適していると考えられた.発芽処理により炊飯後の皮麦が軟化し,皮麦が一般的に食される搗精歩合55%の無処理皮麦と比較すると,発芽皮麦では搗精歩合80%で炊飯後の硬さに有意差が認められなかった.また,発芽処理によって増加したGABAは,炊飯,レトルト処理によって減少しなかった.搗精歩合80%の発芽大麦を用いてパック麦ご飯を試作し,無処理大麦を用いて同様に調製した試作品を対照として官能評価を行ったところ,発芽大麦試作品は,やわらかく食べやすいと評価された.以上の結果,発芽処理を行うことで,機能性成分を増加させるとともに,搗精歩合を高めた皮麦の製品開発が可能となることが示唆された.

技術論文
  • 藤原 孝之, 久保 智子
    2017 年 64 巻 11 号 p. 533-541
    発行日: 2017/11/15
    公開日: 2017/11/28
    ジャーナル フリー

    三重県工業研究所が開発した特許製法によるニホンナシの加工を振興するにあたり,台風による落果の利用や,加工時期の拡大を目的として,未熟果の加工適性を検討した.通常の収穫適期並びに適期より1,2および3週間前に,‘幸水’ および ‘豊水’ の果実を採取した.果実の成熟に伴い,果肉硬度の低下,糖度,全糖および全糖におけるショ糖割合の上昇が見られたが,pHはほぼ一定であった.マイクロ波照射による前処理と熱風乾燥による製法により,それら果実を加工した.生果に対するドライフルーツの加工歩留りは,両品種および各採取日においてほぼ同等であった.採取初期の果実によるドライフルーツは,色彩の暗さや,わずかな表面硬化を示すとともに,適熟果のドライフルーツより破断応力が大きかった.熟度が異なる果実によるドライフルーツを用いて,順位法による官能検査を行った.採取初期の果実によるドライフルーツは,適熟果より硬く,甘くないと評価された.しかし,収穫適期より1週間前および2週間前の果実によるドライフルーツの外観,硬さおよび味に関する好みは,収穫適期のものとほぼ同等であった.ドライフルーツの酸味については,熟度が異なっても同等であった.ドライフルーツ表面のべたつきは,‘豊水’ より ‘幸水’ の方が強く,また,両品種ともに熟度の進行に伴い強くなった.各ドライフルーツを5℃および25℃で12週間保存したところ,25℃では明らかな色彩の暗化が見られた.果実の熟度がドライフルーツの色彩変化に及ぼす影響は認められなかった.以上のことより,収穫適期から概ね2週間前までに収穫したニホンナシをドライフルーツに利用することが可能と考えられた.

  • 奈良 一寛, 堀江 祐範, 髙城 彩湖, 山﨑 薫
    2017 年 64 巻 11 号 p. 542-548
    発行日: 2017/11/15
    公開日: 2017/11/28
    ジャーナル フリー

    アピオスにはイソフラボンが含まれることから,イソフラボンの新たな摂取源となることが期待される.しかしながら,アピオスの利用法については十分に検討されていない.そこで,アピオスを有効利用することを目的として,身近な食品であるパンへの加工を試みることとした.また調理加工に伴う,アピオスパンのイソフラボン組成とその変化,さらには,異なる製パン法がアピオスのイソフラボン組成に及ぼす影響についても調査した.

    アピオスを添加したアピオスパンとアピオス無添加のパンと比較したところ,香りおよび甘味において有意差が認められた.また,アピオスに含まれるイソフラボンは,パンへ利用することによって配糖体からアグリコンへ変換することが明らかとなり,その変換には強力粉由来のβ-グルコシダーゼが関与していると推察された.さらに,ストレート法と中種法とで,異なる製パン法によるアグリコンへの変換の程度を比較したところ,中種法で顕著にアグリコンが増加することが明らかとなった.中種の調製では,冷蔵24時間および常温2時間を比較したところ,冷蔵24時間で配糖体からアグリコンへの変換が大きかった.

    以上のことより,アピオスをパンの材料として配合することで,アピオスのイソフラボン配糖体からアグリコンへの変換がみられたことから,アグリコンとして摂取を期待したときには,有効な利用法のひとつであることが示唆された.

  • 黒飛 知香, 干野 隆芳, 羽倉 義雄, 風見 由香利, 早川 文代
    2017 年 64 巻 11 号 p. 549-558
    発行日: 2017/11/15
    公開日: 2017/11/28
    ジャーナル フリー

    本研究では,日本で市販されているイチゴジャムを試料とし,口中での風味の強さと持続をTI法による官能評価で数値化し,あわせて理化学分析を行い,以下の結果を得た.

    (1)試料の糖度は43.6∼66.2と広範囲で,主な糖の組成もさまざまであった.また,試料に含まれる有機酸はクエン酸が多く,次いでリンゴ酸であったが,その構成比はさまざまであった.

    (2)各試料の平均TI曲線を見ると,高糖度,中糖度,低糖度といった糖度別による分類は,試料のおおよその甘味の強さに一致するものの,それだけでは説明できないことが確認された.

    (3) TIパラメータは,風味を構成する官能特性におい.て,Imax,AUCおよびTtot間の相関係数が高く,これらのパラメータが各官能特性の強さを示していると考えられた.

    (4)官能評価データに主成分分析を適用したところ,第1主成分および第2主成分は,それぞれ,酸味および甘味に関するものと解釈できた.また,第3主成分として,TIパラメータのうち,摂食中の時間に関係するパラメータが寄与する主成分も抽出され,風味の詳細なプロファイリングのためには,時間の観点からの評価の必要性が示唆された.

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