日本食品科学工学会誌
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54 巻, 2 号
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報文
  • 井口 隆文, 川田 あゆみ, 有満 瞳, 渡辺 敏郎, Mazumder Tapan Kumar, 永井 史郎, 武藤 徳男
    2007 年 54 巻 2 号 p. 61-66
    発行日: 2007/02/15
    公開日: 2007/10/04
    ジャーナル フリー
    マウスによる大麦醗酵エキスの抗アレルギー作用について検討した.FBEをOVA感作鼻炎マウスに摂取させると,くしゃみや鼻掻き回数の増加が抑制され,鼻炎症状の緩和作用を示す事が明らかとなった.また血中OVA特異的IgE抗体価の上昇も抑制し,試験終了時に測定した脾細胞のサイトカイン産生では,Th2細胞型のIL-4産生が低値を示した.これらの結果より,FBEは,Th2細胞への分化を抑制し,IgE産生を減少させる事で抗アレルギー作用を示すものと考えられた.
  • 高橋 真美, 森高 初恵
    2007 年 54 巻 2 号 p. 67-74
    発行日: 2007/02/15
    公開日: 2007/10/04
    ジャーナル フリー
    紅麹色素がパンの組織と色調に及ぼす影響について検討し,以下の結果を得た.
    (1)紅麹色素の添加量が増すほど二次発酵後の生地のデンプン粒は明確には認められなくなり,パンでは気泡面の小孔が多くなった.
    (2)パンの比容積は無添加パンと比べ紅麹色素の添加量が増すほど大きくなり,パンの硬さは無添加パンと比べ紅麹色素の添加量が増すほど低下し,凝集性は無添加パンに比べ紅麹色素を1.0%添加したパンでは,大きくなった.
    (3)紅麹色素を添加したパンは,遮光保存ではa値,b値の変化は認められなかったが,紫外線照射でのa値は減少し,L値,b値は増加した.
    (4)紅麹色素を0.005%および0.01%添加したパンは,「色」,「香り」および「総合評価」において無添加よりも有意に好まれた(P<0.05).
  • 野口 智紀, 中村 和哉, 永井 武, 勝田 真一, 古賀 秀徳
    2007 年 54 巻 2 号 p. 75-81
    発行日: 2007/02/15
    公開日: 2007/10/04
    ジャーナル フリー
    ジャガイモを主原料としている既存製品,およびGABAを添加したモデル的なGABA強化ジャガイモ主原料菓子のそれぞれをラットに強制単回経口投与によるGABAの体内への吸収性,および血圧に対するGABAの影響について検討をし,以下の結果を得た.
    (1)GABA強化ジャガイモ主原料菓子の投与30分後に血中GABA濃度が最大となった.
    (2)GABA強化ジャガイモ主原料菓子(ジャガイモ主原料菓子)投与2~8時間後において顕著な血圧降下作用が観察された.
    (3)GABAの投与濃度依存的な血圧降下作用を示した.
    (4)高血圧自然発症ラット(SHR)では,血圧降下作用が観察されたが,正常血圧ラット(WIST)では影響は認められなかった.
技術論文
  • 内野 昌孝, 増渕 菜美子, 黒澤 有希子, 野口 智弘, 高野 克己
    2007 年 54 巻 2 号 p. 82-86
    発行日: 2007/02/15
    公開日: 2007/10/04
    ジャーナル フリー
    食品衛生法で表示義務を定められている小麦について,PCR法における新しいプライマーセットの開発を行った.その結果,UNI2fとVIErプライマーの組合せで,約800bpと500bpに小麦および小麦アレルゲンを含有するライ小麦に特徴的なバンドを示した.特徴バンド以外にもバンドが存在するため,検出時の判定の簡便化のために両バンドをクローニング,シークエンスを行った.決定した配列を基にSTSプライマーを設計した.構築したプライマーのうち,K500は加工食品由来DNAで試験した際にバンドが明瞭であった.以上,本研究では新しい小麦検出用プライマーセットK500を開発した.
技術用語解説
  • 原田 典
    2007 年 54 巻 2 号 p. 87-88
    発行日: 2007/02/15
    公開日: 2007/10/04
    ジャーナル フリー
    電解研磨は,1931年フランスのP. Jacquetにより発表された技術で,現在では高い鏡面度が要求される食品,半導体,薬品等のステンレスタンクや容器,配管,流体機器などの研磨に広く用いられている.
    電解液中に浸した電極と金属工作物の間に直流の電圧を加えると,陽極側の工作物が研磨され,表面粗さが改善されて行く(図1).これは工作物近傍に電解液より電気抵抗の大きい粘性層が形成され,粘性層が薄い工作物の凸部がより多く溶出することにより粗さが改善されるというものである(図2).
    溶出量W(g)はファラデーの法則に従い,下記となる.
    W=(I・t/96500)・(M/n)・η
    ここで I : 電流(A),M : 原子量,n : 原子価
    t : 通電時間(sec),η : 電流効率
    ステンレスの場合では鉄とクロムを主体とした不働態皮膜(酸化皮膜)に常に覆われているが,不働態皮膜は電気抵抗が大きいために電流効率として溶出量に影響を与える.
    電解研磨の目的を表1に示す.
    電解研磨の応用技術として開発された「電解砥粒研磨」は,ナノレベルの粗さを高い能率で達成する技術として最近特に注目されている.
    これは,電解液中で砥粒研磨を行いながら0.1A/cm2オーダーの直流電流を付加する方法である.この程度の電流密度での電解では不働態皮膜によって加工は進まないが,砥粒擦過によって凸部の皮膜が除去されるとその部分で金属の溶出が盛んに起こる一方,凹部の加工量がゼロに近いため,表面粗さが急速に改善される(図3).
    ステンレスは勿論,難加工材のチタン,耐熱合金,各種金型材など,殆どの金属に適用可能で,電解研磨をはるかに凌駕する数nm(平均粗さ)を達成出来る.
    表2に電解研磨,電解砥粒研磨,及び機械研磨(砥石,バフなど)の比較を示す.食品用のタンク,配管,各種機器では洗浄性が特に重要視されるが,電解及び電解砥粒研磨は,同一粗さの機械研磨に対してもはるかに優れた洗浄性を示すことが特長として挙げられる.
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