山形県産うるち玄米およびもち玄米を用いた玄米豆腐の開発を目的として,玄米の新たな加工利用の可能性を検討した.製粉した玄米粉の粒子径は大きく(212 µm以上),澱粉損傷度は顕著に低かった.玄米豆腐の色彩は,米粉添加量の増加に伴い黄色度が高く,あざやかとなった.またヒメノモチ粉を用いた場合,破断強度が低下し軟らかくなり,はえぬき粉では付着性が増大し,べたつきが増した.官能試験結果も踏まえて,はえぬき粉15 g,本葛粉15 g,上白糖15 g,食塩0.2 g,水140 mlにより調製した玄米豆腐の品質は最も優れていると判断した.以上のことから,更なる検討は必要であるが,玄米豆腐は新たな「変わり豆腐」のひとつとして期待できる.
発芽にんにくを70 °C,14日間加温することにより黒にんにく中の機能性成分であるシクロアリイン含量は1100 mg/100 g(dry wt.)となり,加工前のニンニクの約2.6倍,同様の加温処理を施した生ニンニクの約1.6倍に増加した.これは発芽処理によりシクロアリインの前駆物質であるイソアリインが増加し,続く加温処理によりシクロアリインへ変換したことに由来すると考えられた.また,発芽処理の有無による黒にんにくの代表的な機能性成分であるS-アリル-L-システインへの影響はなかった.一方,刺激臭であるアリシンの前駆物質であるアリインは減少していることから,風味改善効果が期待できる.これまでは3 °Cで12週間保存後に加温処理を施すことでシクロアリインが増加することが報告されていたが,本手法では1週間の発芽処理後に加温処理を施すことで同等の効果が得られることが判明した.従って,発芽にんにくを用いる黒にんにくの製法は,シクロアリインを有意に増加させ,さらに従来法よりも迅速,簡便かつ安価な手法であると結論づけた.